約 2,471,764 件
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/38.html
第一章 「きょうちゃん、今日これから家に寄れない? 朝、言うの忘れてたんだけど新作和菓子の試食して欲しいんだー」 下校の途中、校舎を出たばかりのところで、麻奈美がそんな事を言い出した。 もちろん、俺は快諾しようとしたのだが── 「あ──、ダメだ。今日は多分、無理」 俺は今日が木曜日だというのを思い出した。 「あ、なにか予定あった?」 「予定というか──用事が」 「……どんな用事か聞いていい?」 なんだよ、麻奈美の奴、めずらしく食い下がるな。こんな時に限ってよ…… 「その、妹の奴が……」 俺はどんな風に説明したものか悩みつつきりだした。 「ああ。確か、こないだも木曜日に急に用事が出来たんだよね。もしかしてあれも桐乃ちゃん?」 「ま、まあな」 「そっかー。もしかして、いつかの相談がまだ続いてるのかな?」 「あ、ああ。まあ、そんなとこだ」 渡りに船とばかりに麻奈美の話に全のっかりでやりすごそうとする俺。 「ふーん。いいお兄ちゃんしてるんだあ」 そういいながら、キラキラした瞳で俺の顔を覗き込んでくる麻奈美。俺は思わず目をそらさざるを得なかった。 「桐乃ちゃんと約束してるなら仕方ないね。じゃあ、また都合のいい日にお願い」 「あ、ああ。すまねえな。明日でよければ伺うよ」 「うん! あ、実は私、今日、色々買い物して帰らないと行けないんだ。そういう事なら、ここでバイバイね」 そういって、校門を出ていつもとは逆の方向に去っていく麻奈美。俺はかすかな罪悪感を持って、その後姿を眺める。 「ふー」 思わず、大きなため息をついてしまった。 桐乃。なんでも出来て、自信満々で、クソ生意気な三つ年下の俺の妹。 最近の俺と妹の関係はというと、──努めて客観的に表現するなら──まあまあ良好と言っていい。 俺との関係だけではない。今まで食事時はほとんど口を開かなかった桐乃が、わずかではあるが、 学校の部活や友達の事などを話すようになった。 おふくろの配膳の手伝いも(たまにだが)進んでやるようになったし、 この間なんて親父が晩酌をしている時、コップが空いてる事に目ざとく気付いて 手ずから酌をするというサービスっぷり。 その時の親父の顔は、正直見れたものではなかった。親父がニヤつくのを必死で我慢しようとしてる様は、 傍で見てて頬の筋肉をつるんじゃないかと心配するほどだった。 その日、食事を終えて部屋に戻ろうとする俺に親父がこう言った。 「京介。お前の事を見直したぞ」 ……と。親父はおそらく、俺が桐乃のオタク趣味の件で色々動いてやった結果が、 今の桐乃の姿に繋がったと考えているようだ。 何年かぶりに親父に褒められたというのに、その時の俺はひきつった笑みを返す事しかできなかった。 それというのも、俺自身は現在の妹との関係を素直に肯定する事が出来ないでいたからなのだ。 「ただいま」 「おそーい!」 扉を開けるとそこには仁王立ちで妹が待っていた。 「あんた、何してたわけ? 今日が木曜日ってわかってるよね? もう、人をどれだけ待たせたら気がすむのよ!」 案の定、桐乃の中では木曜日は約束の日という事になっていたようだ。 一度も約束だなんて話、した事ないのによ。やれやれ、麻奈美の誘いを断っておいて正解だったな。 「仕方ねえだろ。今日は掃除当番だったんだよ」 「もう、それならそうと、言っておいてくんない? こっちも予定ってもんがあるんだからさあ」 いったい何の予定だよ。 「もう、時間なくなっちゃうじゃん! ねえ、早く……しよ?」 はにかむような妹の表情にドキっとする。 「あ、ああ」 顔を熱くしながら俺はそう応じた。 木曜日。 それは専業主婦であるおふくろが習い事で家を開けている日である。 そして、いつも部活だなんだで忙しい桐乃もこの日の放課後は定休日のようなものなんだそうだ。 つまり、家で俺と妹が二人っきりになることができるほぼ唯一の時間という事になる。 そういうわけでいつの間にか、毎週この日の午後は、俺と妹にとって二人で過ごす時間として定着した。 最初の頃は俺も気にせず別の約束などを入れていたのだが、結局、桐乃によって強制キャンセルさせられるので、 今日のように最初から用事を入れないでおくようになったのだ。 それに俺自身も……なんだかんだ言って、この時間を楽しんでいるみたいなのだ。 そこのところが俺のここしばらくの最大の悩みでもあった。 俺は足早に二階の自室へと駆け上がり、カバンをベットの上に放り投げると 急いで妹の待つリビングへと向かう。 そこでは桐乃が準備万端整えて俺を待っていた。 「あ、ああん! ちょ……やめてったら、もう! こ、このっ! ああん!」 2PWINという文字がTVの大画面に表示される。ちなみにプレイヤー2は俺である。 さすが移植版と言えば良いのだろうか。PC版シスカリに比べると格段にバランスが良くなってる。 桐乃愛用の隠しキャラも、PC版での反則的強さが抑えられており、相変わらずPC版のつもりで 戦っている桐乃の勝率はあまりかんばしくない。 「もう、何よ、コレ! せっかく新型PSPごと買って来たのに、とんだ劣化移植じゃない!」 いや、かなり良く出来た移植作だと思うぞ。なんといっても元のゲームの欠点が修正されてる点が素晴らしい。 ちなみに俺が使ってるPSPは桐乃のお下がりの旧型である。 PSPで対戦するためには、PSPが二台にソフトも二本必要ってことで、結構な金がかかっているんだと。 ただいま、俺たち兄妹はリビングで格ゲー大会の真っ最中。 本来、携帯ゲーム機であるPSPで遊ぶのにテレビは必要ないのだが、 桐乃曰く、大画面だとやはり迫力が違うそうだ。 「もう、今日はやめ。違う事しよ?」 そう言って桐乃は、PSPとTVをつなぐ出力ケーブルを乱暴に引っこ抜いた。 「違う事ってなんだよ?」 「うーん。あんた何か考えて」 なんだそりゃ。相変わらず勝手放題だな、この妹様は。 「言っとくけど、お母さんがいない時ならではの事じゃないとダメだかんね」 「なぬ!?」 「あたりまえでしょ。お母さん居るときに出来る事、今したって意味ないじゃん」 だとさ。 うーん、おふくろが居ない時にしかできない事ねえ…… じゃあ、また一緒に風呂に入るとか…… 「あ、一緒にお風呂とかもダメだから」 「わ、わかってるよ!」 あーびっくりした。冗談で思いついただけなのに、心の底からびっくりしたぞ! ドギマギする俺に、悪戯っぽい表情で桐乃が言葉を続ける。 「本当に? 少し考えてたでしょう?」 ぷぷぷと、いやらしい含み笑いをしながら流し目で俺を見る。 「か、考えてねえよ!」 考えたけど! 「あはは。ま、そのうち気が向いたらね──。今日は普通に遊びたい気分なの」 「そんな気、向かなくていい!」 くそ。そのうち気が向くのか? 本当に? いや、どうでもいいけどさ。どーでも。 あーもう、考えるな。股間が反応したらまたからかわれ放題だ。 そんなことより、今のあははって笑ったところ。腹立つくらい可愛い顔しやがって。ああ、もう、納得いかねえ……! 「……じゃあ、またメルルのDVDでも見るか?」 知恵を絞ってはみたものの、気の利いた事は何にも思いつかなかった俺は、 とりあえずもっとも無難な案と思われるものを言ってみる。 すると桐乃は少し思案顔になった後でこう答えた。 「……ううん。それはパス」 「なんだよ、見たくないのかよ」 「だって、あんたあんまりアニメに興味ないじゃん。……もっと、二人で楽しめる事がいい」 「そ、そっか」 やべえ。今のとこもちょっと可愛かった。 くそっ! 最近のこいつはちょっとおかしいぞ。いや、おかしいのは俺の方なのか? 「……ねえ。あんたは、何かしたいことないの?」 「え? 俺?」 それはあまりに意表をついた言葉だった。 「そ。考えたら、あんた普段、何やってんの? あたし、あんたの趣味とか全然知らないんだけど」 俺の趣味? 「ええと……読書とか?」 「読書? どうせ漫画ばっかりでしょ。絵に書いたような、無趣味人間ね、あんた」 「う、うっせい」 図星をつかれて思わずそんな言葉が口をつく。 しかし趣味……ねえ。確かに趣味って言われても特別なものは何もねえ。 でもさ、漫画やテレビや音楽聴く以外の趣味なんて、ある奴の方が珍しくね? 「はあ……あんたねえ。少しは、妹以外の事にも興味もちなさいよ」 「ほっとけ! っていうか、今さらりと変な事言っただろ、おまえ!」 しかし、桐乃は完全スルーで言葉を続ける。 「あんた、普段……あの女とばかりつるんで、いったい何してるわけ?」 ジトっとした視線で見つめながら桐乃が俺に問う。 何してるっていわれてもなあ…… 「特に何も……。麻奈美や麻奈美の弟やじっちゃんばあちゃんと茶飲みながらだべったり……」 「は? でも毎日のように通ってんだから、それだけってことないでしょ?」 「ああ、勉強したりもしてるぞ。おまえが思ってるより意外に俺は勉強してんだぜ」 俺だってやることはやってんだ。少しは兄貴を尊敬しやがれ。 しかし桐乃は呆れ顔で言う。 「……勉強くらい家でしたら?」 勉強くらい一人で出来ないのかと蔑むような視線。俺はたまらずいい訳する。 「ま、麻奈美は教えるのが上手いんだよ。中学時代から教えてもらってるから、俺がひっかかりそうなとこも ちゃんと心得てるからな。効率が全然違うんだって」 「へえー……。ま、そんなこと、ど~~~~~でもいいんだけど……」 ウザったそうに、どうでも、って所をやけに強調して桐乃が言う。 なんだよ、てめえが聞いて来たくせにさ。 「とりあえず、あんたは特にやりたい事って無いわけね」 「まあ……なあ……」 正確に言うと、おまえと一緒にできる事が思いつかない。一人でならいくらでも時間潰すことくらい出来るけど。 ……ここらへんが桐乃と麻奈美の一番違うとこだな。麻奈美なら何もせずとも、一緒にぼーっとしてるだけで間が持つんだが。 「はあ……」 大きくため息をつく桐乃。 「いいわ。じゃあ、気を取り直してシスカリの続きやろ。あたし、キャラ変える」 「あ、ああ」 桐乃は慣れない新キャラを使うのに苦労していたが、俺も慣れないキャラの相手で苦労したため 結果、戦績ば五分だった。こうして俺と桐乃の低レベルな格ゲー大会は終了した。 翌朝。 「ふっふーん♪ はちみつトースト作ってみた。ほら、美味しそうでしょ?」 バターの上から、匂いが鼻を付くほど蜂蜜がたっぷり塗られたトーストを桐乃が差し出してくる。 桐乃自身の前の皿にも一枚のっかてるから、これは俺の分って事らしい。 「ゲ……甘すぎるだろ、それ」 「ハァ? このあたしがせっかく作ってあげたのにケチつける気? じゃあ、食べんな!」 「ヘン、いらねえよ。……おふくろ、食パンは?」 「もうないわよ。桐乃が焼いたのが最後」 「ふふん。恩知らずは空腹のまま学校に行って餓死するべき」 「仕方ねえ。これ食べてみるか ……ん、あれ? 意外と美味い」 「あ、泥棒! このっ!」 「痛え! わき腹に蹴り入れんな!」 「いらないって言ったくせに、あんたが勝手に食べたからでしょう!」 「悪かったよ。美味しいよ、作ってくれてサンキュー……これでいいだろ?」 「全然、感謝の気持ちが足りない!」 朝から騒ぐ俺たちに、呆れ顔でおふくろがつぶやく。 「はあ……あんたら、仲良くなったみたいなのはいいけど、朝っぱらからじゃれるのやめなさい。 まるで小学生に戻ったみたいよ? お父さんからも言ってやって」 「ん……あ、ああ。あ──、桐乃。それ今度、父さんにも作ってくれ」 ガクリとおふくろが肩を落とす。 「いいケド……甘いよ?」 「はあ……父さんは、桐乃が作ったものならなんだっていいのよ」 親父の言葉に再び呆れ顔でおふくろがため息をつく。 「ふうん。じゃあ、今度、タラモサンド作ったげる。そっちのがお父さん向きだろうし」 「あ、ああ。じゃあ、それを頼む」 広げた新聞を隠れ蓑にして、親父が嬉しそうに頬をひきつらせる。まったく、普段の威厳はどこへやらだ。 ところで親父、タラモサンドって何かわかってんのか? それにしても── 桐乃が少ししゃべるだけで、なんとなく場が華やぐ。こいつが学校で人気あるってのもよく分かる。 結局、家の外も家の中も、世界はこいつを中心に回ってるようだ。 俺自身、桐乃と過ごす時間は、決して不快なものではなくなっている。 しかし、相変わらず俺はこの妹を心から好きにはなれないでいるのだった。 そして、その日の放課後。 昨日の約束を果たすべく麻奈美と共に下校しようとしていると校門で見知った顔が待っていた。 「げ……あやせ」 「お久しぶりです。お兄さん」 「あ、あやせちゃんだ~~ひさしぶり~」 「お姉さんも、お久しぶりです」 「どうしたの?今日はこんなところで……って、きょうちゃん!? なんで素通りして行こうとしてるわけ?」 う、麻奈美の奴め余計な事を……。 「よ、よう。久しぶりだな。といっても、一ヶ月たってないか」 「そうですね。ところでなんで今、逃げようとしたんですか?」 う、このパターンは……! 俺の脳裏にコミケ帰りの桐乃を追い詰めるあやせの恐ろしい姿が蘇る。 「まさか、桐乃に何かしたんじゃ……?」 「し、してない。何もするわけねえだろ!?」 とりあえずそんな風に言っておく。最近あった諸々の話は、あやせの耳には伝わってないらしい。 ま、あたりまえか。 「え~またまた、きょうちゃんたら照れちゃって。きょうちゃん、最近、桐乃ちゃんに色々やってるんだよ~」 「ハアッ!?」 恐ろしい形相であやせが俺を睨みつける。 「ば、バカ! 誤解を招くような言い方するんじゃねえよ!」 「え~~? わたし、何かわるい事言った……?」 事情をよく知らない麻奈美は何の事やらわからないというそぶりである。 「と、とにかく、今日はどうしたんだよ?」 ここはとっとと話を変えよう。 「あ。今、話をごまかそうとしましたね?」 「してねえよ!」 くそ、相変わらず勘のいい娘だ。 「……ま、いいです。後でゆっくりと聞かせてもらいますから」 「あ、後で?」 「はい。今日はお兄さんにお話があって来たんです」 「俺に話……?」 「はい」 そう言うとあやせは、麻奈美の方をちらりと見やる。 こういう事には意外に気が回る麻奈美は、 「あ、じゃあきょうちゃん。私、先に帰って家で待ってるから」 そう言ってその場を去ろうとする。 「え……? いや、ちょっと待て。俺も一緒に……」 しかし麻奈美を追いかけようとする俺を背中でブロックしつつあやせが言う。 「すみません、お姉さん。少しだけ、お兄さんお借りします」 「ううん、気にしないで。じゃあ、きょうちゃん、後でね~」 結局、麻奈美は去ってしまい、後には俺とあやせだけが残された。 しばしの沈黙。それがたまらなくって、俺は単刀直入に切り出した。 「あ──、……話ってのは桐乃の事だよな?」 あやせと俺の間の話題は、それ以外ありえない。 「はい。実は……」 あやせが言うには、なんとあの責任感の固まりのような妹が、部活をサボってるって言うのだ。 継続的にサボってるわけではない。サボる頻度がそれほど多いわけでもない。 だから、特に部で問題になってるわけではないらしいのだが、あやせはたまたま陸上部のクラスメイトと 桐乃が話しているのを耳に挟み、そのクラスメイトを問いただしたところ、桐乃がたまにサボるって話を知ったらしい。 「でも、変ですよね? たとえ、たまにだろうと理由もなく桐乃がサボるなんて……」 「確かに……な」 親友のあやせと仲たがいした時でさえ、落ち込むのをひとまず横においておいて、部活に没頭するくらい 自分に与えられた役割はきちんと果たすような奴だ。 「どうやら、サボる日は木曜日が多いみたいです」 「木曜日? あれ、木曜日は……」 部活が休みの日なんじゃないのか? そう聞き返そうとした俺は、すんでの所で言葉を止めた。 「何か、知ってるんですか?」 「あ、いや。うちの母親も、よく家を空けるなあと思って」 「お母様が? じゃあ、それと関係があるのかな……」 ふう。どうやら俺にしてはうまくごまかせたようだ。 「ああ! まさか、お母様が留守なのをいい事に、家で二人っきりになったりしてないでしょうね!?」 怒りの形相で俺に問いただすあやせ。うわあ、まったくごまかせてなかったよ! 「まさか二人でいかがわしい事をしていたりってことは……?」 「んなわけないだろ!」 実際、いかがわしい事をしてたわけではない──少なくとも木曜日は──ので俺はきっぱり否定する。 「そ、それより、なんで直接、桐乃に聞かないんだ?」 そういうと、あやせは少し悔しげな表情をする。 「……怖いんです。また、前みたいに隠し事をされたらって思うと……」 あの喧嘩は、当然ながら桐乃だけでなくあやせにも大きなダメージを与えていたのだろう。 実際、あやせの判断はある意味、賢明だった。 もし問い詰められたとして、桐乃は本当の事を言う事は出来なかっただろうから。 「あ、ところで、さっき桐乃に色々してるって言ってましたよね? 一体、桐乃に何したって言うんです?」 思い出したようにあやせが俺の方を問い詰める。 「だ、だから、何もしてねえよ! あれは単に、おまえとの事とか色々と相談にのってやった事だよ」 「本当に?」 「あたりまえだろ。どこの誰が幼馴染に、妹に手を出した話を自慢げに吹聴するってんだよ!」 「はあ……それもそうですね……きゃっ!」 その時、校門を吹き抜ける風がつむじ風となってあやせのスカートをふわりとまくり上げた。 それも、下着だけでなく、へその辺りまで丸見えになるほど高く。 大慌てでスカートを抑えつつ顔を真っ赤にしながら、あやせが恨めしそうに俺を見る。 「……み、見ましたね?」 白に控えめのレースとフリル。しかし馬鹿正直に答えるわけにもいかない。 「え、ええと……」 だからといって、この状況で見てないとか、下手な言い訳はこいつにはきっと逆効果だ。そう思った俺は、 『見えたけど、女子中学生のパンチラなんかにまったく興味はありませんよ』って体で、世間話をするように言った。 「あ、……あやせは、あれだな。見せパンってのは穿いてないんだな」 しかし、あやせの表情は逆に険しくなる。 「……いったい、誰と比べてるんです!?」 「へっ?」 「なんで、桐乃がスカートの下にショートスパッツつけてること、お兄さんがご存知なんですか?」 「げっ!? そ、それは……」 「返答いかんによっては、タダじゃすみませんが……」 ひええっ! 結局、そこからあやせをごまかすのにまた一苦労してしまったのだった。 その後、俺は麻奈美の家に寄って店で出す新作和菓子の試食をすませ、 爺ちゃんたちの相手をしてしばらく過ごした。しかし普段、田村家にいる時と違い、俺の気持ちはザワついたままだった。 田村家の居間にある古めかしい柱時計が6時を告げた頃、麻奈美の 「今夜のおかずは、きょうちゃんの好きな、おばあちゃん特製の里芋の煮っ転がしだよ~」 という夕飯の誘いも断って足早に家に帰った。 部活をサボってる事を桐乃に問い詰めたりするつもりはなかったが、 それでも早く、妹の顔を見ないと落ち着かない気分になっていたのだ。 「ただいま……!」 息せき切って家に帰ると、リビングはライトもつけられず薄暗いまま、しんとしていた。 テーブルの上にはおふくろの置手紙らしきもの。 ライトをつけて確認すると親父に届け物をしてくるので少し遅くなるとの事。 そしてソファには桐乃が制服のままで横たわり、ライトの光に目を覚ますこともなく静かに寝息を立てていた。 相変わらずしゃべらなければ可愛いうちの妹。寝顔もやはり可愛らしい。 「……なあ、木曜日は部活休みなんじゃなかったのかよ?」 妹の寝顔に向かって、小さな声でつぶやくように言葉を投げる。 そんなにリビングの大画面でアニメみたりゲームしたりしたかったのか? ……おまえに限ってそんな理由で部活サボったりするわけないよな。じゃあ、なぜ? 俺の中にまた、桐乃に対するもやもやした感情が蘇る。 俺は複雑な想いで『黙ってれば可愛い』、妹の寝姿を凝視する。 今日は部活で汗を流してきたのか化粧は落ちている。俺はこのすっぴんの時の妹の顔の方が好きだった。 魅力的なのは顔だけでない。スラリとした手足。中学生と言えども十分に女らしさを際立たせたプロポーション…… 「……おわっ!」 さっきは暗くてわからなかったが、よく見ると、桐乃のスカートが随分まくれあがっていた。 「む……」 ゴクリと生唾を飲み込み、俺はほかに誰もいないとわかっている室内をキョロキョロと見回し、 そこに俺と寝ている妹以外存在しないことを再確認する。 そして、確認が終了すると、室内をイライラと歩き回ってる風を装い、ソファに寝そべる桐乃の足元に回った。 桐乃は学校では短いスカートから下着が見えるのを防ぐために下着の上にもう一枚、桐乃曰く 「見られても大丈夫なの」をつけているらしいが、家に帰ったら脱いでいることがほとんどだ。 「……!」 期待した通り、短い制服のスカートからおしりの部分……白に薄いブルーのストライプの入った下着が丸見えになってる。 にょっきり伸びた白い太ももが眩しい。そして色んな妄想をかきたてる股間部分のシワ。 そこに先日の風呂場で見た妹の全裸を思い浮かべ重ねるとあっという間に俺のモノが痛いほど反応する。 「……ゴク」 再び唾を飲み込むと、思わず俺は、震える手で携帯電話を取り出し、撮影モードにセットし、狙いをつけた。 カシャ。 桐乃のあられもない寝姿を写メに収める。 「芋」という名前をつけたフォルダに他の写真とは別にして保存する。 同じフォルダには既に、以前、おふくろに置き場所を教えてもらった親父のスクラップブックを接写した 桐乃のモデル写真が10枚ほど保存されていた。 どれも、ミニスカートなどの露出の高めの服や、体の線がわかりやすい服を着た写真。 最近俺がよくお世話になっている『オカズ』である。 そして、初めて生で撮影した写真である妹のパンチラ写真をプレビューで確認しながら暗い満足感に耽る。 「これが見つかったら、さすがに自殺するしかねーな……」 口の中でつぶやき、密かにそう覚悟する。 ダメージはいつぞや見つかった、パソコンでエロ画像検索した事の比ではない。 『妹のパンチラばかり狙う変態シスコン兄貴』 ちょっと前まで桐乃がよく使ってたフレーズだが、半分は俺をからかう冗談として言っていたのだろう。 そんな桐乃が、本当に自分のパンチラ写真を、それも寝ている時に盗撮された写真を俺が持っていると知ったら…… 今度こそ俺たち兄妹の関係は修復不可能なまでにぶち壊れるのは必至だ。 もっとも、保存場所は自分の携帯。しかも通常デフォルトで保存されるフォルダではなく、 カモフラージュしたフォルダの中。 借り物のPCと違い、その危険性はほぼ皆無といって良いだろうが…… そう考えると共に、毒を食らわば皿までと言うフレーズが俺の頭に浮かぶ。 俺はズボンのチャックを開き、ペニスを取り出す。そして、桐乃の股間、下着に触れる寸前のところまで もっていって、下着とペニスが写るようにして、再び写メに収める。 カシャリ。携帯のシャッター音が、やけに大きく、そして淫猥な響きに聞こえる。 「……」 再び桐乃の様子を伺う。静かな寝息を立てており、気付くそぶりも見せない。 よく見ると、半開きになった口から少しヨダレが垂れている。それは俺にある種の連想をさせるに十分だった。 たまらなくなった俺は大胆にも、桐乃の寝顔のまん前、丁度、口のあたりに自分のペニスを突き出した。 妹の吐息がかかる距離に、俺の亀頭がある。この異常な光景に俺の興奮は頂点に達した。 戯れに2回、3回、手でしごいてみる。今まで感じた事の無い快感が俺の脳天を突き抜ける。 このまま、妹の顔にぶちまけたい。この小さな口の中に突っ込んで咥え込ませたい。 そんな衝動が起こるが、それを実際に行動に移すほどまでには俺は常軌を逸してはいなかった。 カシャ。 とりあず、この光景を写メに収め、「芋」フォルダに保存する。その時── 「んん……」 シャッター音に反応したのか、桐乃が身を振るわせる。 俺はあわてて、ペニスをズボンの奥にしまいこむ。全身から血の気が引くのと一緒に、 怒張からも血液が引いていく。 「……スー」 桐乃は再び静かに寝息を立て始めた。 無事、最高のオカズを手に入れる事に成功した俺は、喜びを感じると同時に たまらない自己嫌悪に襲われる。 『妹相手に恋愛とか、こいつらおかしいんじゃねえの?』 最初そんな風に俺が思っていた桐乃のエロゲに出てくる主人公たちは、 それでも純粋に妹の事を愛していた。ただ、女としても愛しているがゆえに、欲情する。 それは純愛である。作品の中では、たまに周囲の無理解により蔑まれたりもするが、愛を貫くためにそれらに耐え、 それらと戦ったりもする。 しかし俺はどうだろう。ただ、妹の事を性欲の対象としか見ていない。 単に身近に非常に俺好みの容姿をした女がいて、家の中って事で無防備になっているってだけで、 自分の性欲のはけ口にしているのだ。先ほど俺の携帯に納められた写真にしても本来なら犯罪である。 『あんたが性犯罪に走らないように私が相手してやってんでしょ』 そんな桐乃の言葉が頭の中でリフレインする。ばかやろう、むしろお前のせいで、とうとう性犯罪に走っちまったよ! ……いやいや、ここで桐乃のせいにして、さらに男を下げてどうするんだ、俺。 いや、もうこれ以上、下がりようないけどな…… しかし、それでも俺は自己弁護をせずにはいられない。 たとえば、別の誰かが妹だったとして、俺は同じ行動に出ただろうか。答えはノーだと自信を持って言える。 この妹は、あまりに色っぽすぎる。あまりに容姿が突出しすぎてるんだ。 今までは、こいつに対する嫌悪感が先にたって、そこらへんをあまり意識せずに済んでいた。 しかし、こないだの一件からこっち、何度も可愛いところを見せられて、こいつの魅力を再認識させられて、 両親からも言われるほど、「普通に仲が良い」兄妹みたいになっちまって…… そりゃ変になっちまうのは当然だろう。この気持ちは日本中、いや世界中でも俺以外誰にもわからない。 たとえ俺と同じように妹がいる兄貴連中にだって、絶対わかるはずはないんだ。 なぜなら、桐乃の兄貴は──世界で、この俺、ただひとりなのだから。 「……何してんの? そんなとこで携帯、握り締めたままボーっと突っ立って」 「……っ!!」 俺は飛び上がるほどびっくりしたが、気持ちとは裏腹に体は完全に硬直していた。 俺、どのくらいこうしてたんだろう? いや、それより桐乃のやつ、いつから目を覚ましてたんだ? 「お、おう。起きたのか。いや、ちょっとな。あ、おふくろ出かけたみたいだぜ?」 「……」 キョドっている俺の言葉に、あまり関心を示した様子はなく、 それよりも桐乃の視線は俺の右手に握られた携帯電話に注がれていた。 バシッ! 「えっ!?」 俺が桐乃の視線に気付いた時はすでに遅かった。桐乃は目にも止まらない動きで、一瞬の内に俺の右手から 携帯電話をもぎとったのだ。 「お、おまえ! 何すんだよっ!!」 俺は大慌てで取りかえそうとするも、桐乃は足を突き出して俺を押し留め、 俺の携帯を開いて、パパっと操作する。 「寝てる間にあんたが、あたしのヘンな写真撮ってないかチェックするだけ」 なにぃ──!? あやせといい、なんで女子中学生ってのは、こんなに鋭いんだよ! ありえないだろう!? 心底焦りまくっている俺は、大声を張り上げる。 「撮ってるわけないだろ! おい、やめろって。何、人の携帯、勝手にいじってんだよ!」 強引に取り替えそうとする俺を、桐乃はおもいきり蹴飛ばした。 「うわっぷ!」 思わず俺は、テーブルの上にしりもちをつく。 そして、桐乃は携帯画面と俺の顔を見比べるように視線を行ったり来たりさせる。その表情の変化は読めない。 もはや俺は体を動かす事さえ出来ず、桐乃の様子をただ見守るしかなかった。 すると桐乃は、「ふん」と鼻を鳴らして、携帯を俺の方に軽く投げ返す。俺は、わたわたしながらそれを受け取った。 「で、あ……、あんたは何をボーっとしてたのよ?」 何事もなかったように桐乃が言う。ふう。どうやらバレなかったようだ…… よかった。隠しフォルダに保存しておいて、本当によかった…… 「だ、だから。おふくろが親父の用事で出て行ったみたいでさ。遅くなるから夕飯勝手に食べとけって感じらしい」 俺はそう言って、おふくろの置手紙と、一緒に添えられてた五千円札を一枚、ひらひらとさせてみせた。 桐乃はそれにも、ぱっと手を伸ばし、自分の目でおふくろの置手紙を確認した。 「ま、そういう事だ。何を取る? ピザか?」 しかし桐乃は俺の言葉にすぐに反応する事なく思案顔になっていた。そして、しばらくしてポツリと言った。 「外に食べに行く方がいい」 予想外の答え。そして俺は桐乃の言った言葉を反芻する。 『外に食べに行く』ではなく、『外に食べに行く方がいい』……ほとんど同じに見えて、微妙にニュアンスが異なる言い回し。 それは自らの意思の表明ではなく、俺に対する要望であった。 「外に……って、一緒にか?」 俺がそう聞き返すと、桐乃は拗ねたような表情で答える。 「嫌ならいいよ。あたし一人で行く」 「い、嫌なんて言ってねえだろ!」 でも、一緒に外食するなんて何年ぶりだ? いや、アキバに行った時に桐乃のオタ友たちと ファーストフードくらいは食べたけど。あと、親父との一件の時、スタバにも行ったりしたが…… 少なくとも二人だけで『外食』なんて、もはや記憶には残ってないぞ? 「なに、グズグズしてんの? 置いてくよ?」 「わ、わかったって」 こうして、俺たちは制服を着替えて、二人して飲食店へと向かう事になった。 「……ねえ、なんでそんなに後ろの方に離れて歩くワケ?」 歩みを止めて俺より10mほど先を行く桐乃が振り返って言った。 「だって、お前、怒るじゃねえか」 距離を保ったまま俺も足を止めて答える。 知り合いなんて居ないであろうアキバでさえ、デートしてると思われたら困るとか言って嫌がるんだから、 こんな近所じゃ、さらに嫌だろうなって気をきかしてやってんだよ。 「ハァ? じゃあ、あんた、お店に行っても別のテーブルで食べるつもり?」 「……」 桐乃の問いに俺が答えら得れずずにいると、スタスタと桐乃が俺の傍まで近づいてくる。 「……言ったでしょ。最近のアンタの事は、そんなに嫌いじゃないって。でなきゃ一緒に外食なんて行かないって」 桐乃がまっすぐに俺の目を見てそう語りかけてくる。俺はなぜか母親に怒られた子供のように目をそらしてしまう。 「は、はっきりそうとは言われてねえよ。"たぶん”嫌いじゃない"かも”って言われただけだし」 俺のそのつぶやきは、まさに怒られた子供の言い訳のようだった。 桐乃はあきれたようにため息を一つついて、こう言った。 「ウザいなあ……じゃあ、今、言ったげる。最近のあんたは嫌いじゃない。はい、これでいい?」 そう言われて桐乃の方を見返すと、今度は桐乃が目を逸らす。 しかめっ面で顔を少し紅潮させている桐乃。結局、また怒らせてしまったようだ。 ただ……その表情は、どこか照れているようにも見えた。 いわゆるツンデレ……? って、俺のエロゲ脳もかなり重症だな。普通にイラついてるだけに決まってるじゃねえか。 なんと言っても俺自身でさえ、自分にこれだけイラついてるってのに。 そうして、桐乃と並んで歩いてみると、結局、桐乃と並んで歩きたくなかったのは俺の方なのかも? ……と、そんな気がしていた。 「あれ? きょうちゃん?」 突然の聞きなれた声が俺の思考を遮った。 気付くと俺たちは麻奈美ん家の前を通りかかっていたのだ。 そしてたまたま店を閉める手伝いをしていた麻奈美と出くわしたというわけである。 「どうしたの、お家に帰ったんじゃなかったの?」 確かに麻奈美にしてみれば、今日は家で夕飯を取るからと言って帰った俺が舞い戻って来ていたら 疑問が生じて当然だろう。 「い、いや。おふくろが急用で出かけちまって。夕飯は勝手にしろって事になったんだ」 「そうなんだ……あ、だから桐乃ちゃんも一緒なのかな?」 そう言って麻奈美は視線を桐乃に向ける。 しかし桐乃はそっぽを向いたまま、まるで聞こえないふり。 とげだらけのオーラを全開にして俺の影に入ってる。 「あ、あはは」 麻奈美は俺の方に視線を戻して苦笑いである。 「あ、そうそう。さっきも言ったけど、今晩はきょうちゃんの大好物だよ。 そういう事なら、やっぱりウチで食べて行ったら? もちろん、桐乃ちゃんも一緒に」 麻奈美がそんな誘いをかけてくる。 俺としてはこの状況では特に断わる理由はないのだが、問題は桐乃だ。 それは麻奈美も心得てるようで、俺と同様、桐乃に視線を注いでいた。 一身に注目を浴びる形になった桐乃は、俺に向かって言った。 「あんた、そうしたいんなら食べてくれば? あたしは遠慮しとく。今日はもう、外で食べる気分になっちゃってるから」 そう言って桐乃はすたすたと歩いて行ってしまった。 俺はひきとめることもせず、ボーっと、ただ桐乃の後姿を見送る。 「……きょうちゃんは、どうする?」 その麻奈美の言葉で俺も我に返る。 「い、いや。やっぱ今日はやめとくわ。ワリィな」 「うん、そうだね……。早く追いかけないと、桐乃ちゃん見失っちゃうよ?」 麻奈美は予想通りの答えが返ってきたと言った風で、俺にそう言った。 「あ……ああ。じゃあ、またな」 「うん。またね」 なぜだろう。そう言って手を振る麻奈美に、俺は、いつにない距離を感じたのだった。 「──おい、待てよ、桐乃」 桐乃の歩みは結構早く、俺が追いついたのは田村屋からかなり離れた場所であった。 桐乃が一直線に歩いて行ったのでなければ、見失っていたかもしれない。 「なんだ。寄ってこなかったの?」 そう言葉を返してくるも、桐乃は俺の方を振り向いたりせず、前を見据えたまま歩き続ける。 「お、おれも、今日は、が、外食気分、だった、からな」 小走りで駆けてきた俺は、荒い息をつきながらそう答えた。 「……」 桐乃は無言のまま、少し歩くペースを落とす。 そしてしばらく経ち、俺の呼吸が整った頃にようやく口を開いた。 「夕飯……誘われてたのに、なんで食べてこなかったの?」 桐乃が言ってるのは、今ではなく、俺が家に帰る前の事なのだろう。 詳しく経緯を説明はしていなかったが、麻奈美の口ぶりから、俺がもともと誘われていた事を察したらしい。 その理由を問われて、俺はあやせから聞いた話を思い出した。 思い出したが、特にその話を桐乃にしたりはせず、別の事を言った。 「なんでって……自分の家で夕飯を食べるのに理由なんかいらないだろ?」 「……」 桐乃はその俺の答えに、何か言いたそうな顔をしつつ、それでも顔は前を向いたまま、 しばらくは視線だけをちらちらと俺に向けていた。 そしてようやく、少しだけ顔を俺に向け、拗ねたような表情で言った。 「……でも、誘いを断わるには理由があったんじゃないの?」 今度は俺が返答に窮する番だった。 「た、単に、今日は家で食べたい気分だっただけだよ」 桐乃の言い様を真似てみる。 「今日、お父さんが遅いって知ってたでしょ? お母さんの手抜き料理が好物よりよかったワケ?」 「それはだな……」 結局、俺は返事を返せないまま黙り込んでしまったのだが、桐乃もそれ以上は追求してはこなかった。
https://w.atwiki.jp/vip_oreimo/pages/588.html
「ではよろしくお願いします」 そういうと加奈子は親父とおふくろに抱いていた娘を差し出した。 昇進祝いの豪勢な食事の後、加奈子の提案で俺達3人は久しぶりに水入らずで飲むことにしていた。 勿論今から飲みになど出るわけはない。 リビングでの家飲みである。 『「或る結末の続き」の続き』 「飲みすぎるなよ?」 「わぁーってるよ」 「ばいば~い」 「おやすみ~か~なみちゅあ~ん」 「ご迷惑おかけします」 「なに他人行儀なこと言ってるの。好きでやってるんだからいいのよ」 三者三様に挨拶を交わす俺たち。 それから二言三言話して親父たちは自分たちの寝室へと向かった。 パタンとリビングの扉が閉まるのが合図。 「さてそんじゃ始めますか」 そう声を掛けて俺たちはささやかな酒宴の用意を始めた。 ※ 「さて俺はそのままビール続行でいいが・・・っと」 がさごそと冷蔵庫の中身を物色しながら、俺はキッチンでつまみの用意をしてる二人に声を掛けた。 「なー、桐乃と加奈子はなに飲むー?」 「シンガポールスリング」 「私はジンフィズでお願いします」 「はいよっと・・・シンガポールスリングにジンフィズっと・・・は?」 おい待て。 今こいつらなんてった? 「す、すまん聞き違えたみたいだ。なに飲むかも一回言ってくれ」 「シンガポールスリング」 「私はジンフィズで・・・」 「いや、さらっと同じこと繰り返してんじゃねぇよ!?」 立ち上がりながらツッコむ俺。 なにその洒落た名前の飲み物!? ほぼ聞いたことすらないんですけど!? しかしその俺の激しいツッコみに、本当に、ほんとーに面倒くさそうに桐乃がじろりと目を向けた。 「・・・は?なにが?」 うおお・・・視線が氷点下だ。 しかもドM大喜びの視線に加え、吐き出す言葉も怖いくらいに冷たい。 お兄ちゃん、ちょっぴりあの頃のこと思い出しちゃったよ。 「や・・・あのほら、家に、カクテルなんてもんないじゃないッスか?」 「うん。それで?」 「そりゃあのつまり・・・俺に今から買った来いって事ッスか?」 「はあ?ばかじゃん?」 言い方まで当時と一緒ですか。 桐乃はふんっと鼻を鳴らすと、腰に手を当てて俺に向き直った。 「今更お店行ったって閉まってるし、大体シンガポールスリングなんてその辺じゃ売ってないっつーの」 「んじゃそのありえない無理難題を、なんで今俺に言ったんですかねぇ!?」 「決まってんじゃん、あんたが作るから」 「・・・は?」 「聞こえなかった?あんたが、作るの」 さも当然のように言われた、明らかに異常な言葉に俺は混乱する。 数瞬間を置き、頭の中で言葉を吟味しこねくり回して、口から出たのはこの一言だった。 「あー・・・桐乃?お前何言ってんの?」 「はあ!?なに言ってんのじゃないでしょ!?あんたが作るんだって言ってんじゃない!!」 予想通りというかなんというか・・・お前ってほんと変わんねーのな。 そのまったく説明になってない説明はよっ!! 「いやそもそもその言葉の意味がわかんねんだっつの!!なんで俺が作るの!?つか俺つくれねーよ!?」 「はあ?その程度のスキルもないわけ?はあまったく、これだから万年平社員は・・・」 「いや俺出世したし!てかそーゆーこっちゃねーよ!!道具もなしにどうやって・・・!?」 「道具ならありますよ?」 白熱した言い合いに発展しかけたところで、傍らから声がかけられた。 「加奈子?」 頭一つ小さい俺の嫁は、にっこりと笑いながらすっと人差し指を自分の唇に添えた。 「とりあえず二人とも声が大きいです。お義父様たちに迷惑ですからもう少し静かにしましょうね?」 その仕草は愛らしい外見にとてもよく似合っていて、俺は思わずこう思った。 俺の嫁はこんなにもかわい・・・。 「見惚れてんな。キモッ」 繰り出された右拳は、見事に俺のこめかみを打ち抜いていた。 あやせといいお前といい、その的確に急所を狙う癖やめねーか? 「はあ・・・なるほどねえ」 俺は桐乃が楽しそうにテーブルの上に並べていくブツ達を見ながら、大きく息を吐いた。。 むろん溜息なわけだが。 「ちょっと何よそのリアクション?もっと驚きなさいよ」 「驚くっつーかむしろ呆れたわ」 そう言って俺は、今一度テーブル上のカクテル製造用具一式に目を向けた。 あのシャカシャカと振る銀色のコップやら、何やらおかしな形状のスプーンらしきもの、それを注ぐための高価そうなグラスが詰まった箱。 それにカクテルに使うであろう数種類の酒とリキュール。 本格的なやり方などもちろん知らないが、家で飲む分には十分なように見えた。 「どこで手に入れたんだこんなもん?」 当然の疑問を口にすると、桐乃が嬉しそうに答えてくる。 「撮影の小道具。使用後に欲しいって言ったら格安で譲ってくれたの」 「ほー、モデルってそういうメリットもあるのか」 なるほど、ギブアンドテイクとはよく言ったものである。 「へへん。凄いでしょ?」 得意げに鼻を鳴らす妹に、少なからず感心したのも事実で。 「ああスゲーな。お前が頑張ったからこその特典だもんな。大したもんだ」 素直に賞賛の言葉を贈る俺。 だったのだが・・・。 「フ、フンッ!」 「?桐乃?」 「こ、心にもないこと言ったってわかってんだからねっ!どーせ、コネで貰ったーとかそんな風に思ってんでしょ!?」 「んなっ!?」 吐き捨てるようにしてそっぽを向く桐乃に絶句する。 なんだってこいつは素直に褒めると怒りやがんだ!?いつもいつも! 「い、言ってねーじゃねーかそんなこと!」 「い、言ってなくても、か、顔見りゃわ、わかるし・・・」 なんっだそりゃ!? 「おまっ・・!被害妄想も大概にしろよ!人が心底感心していったセリフを・・・」 「う、うっさいっ!!」 「うっさいじゃねーよ手前ぇ!大体俺がいつ・・・」 「二人とも・・・」 「「はいっ!」」 小さくかけられた声に背筋をピンと伸ばす俺と桐乃。 恐る恐る目を向けた先には、ニコニコと微笑む加奈子がいた。 その口が再び開く。 「同じことを・・・何度も言わせないでくださいね?静かにしてくださいと言いましたよね・・・私?」 微笑みの表情はそのままだが、妙な迫力がありやがる・・・やべえ。 「だ、だってこいつがさ・・・っ!」 「桐乃」 「はいっ!!」 「いい加減にしないと・・・おこるよ?」 「す、すいませんでした!!」 なおも食い下がろうとした桐乃が、冷や汗を浮かべて頭を下げる。 そのお辞儀は、腰の角度が完璧な理想的なお辞儀だった。 よっぽど怖かったんだな・・・バカな奴め。 加奈子は結婚する前から、俺の幼馴染である田村麻奈実に家事一般の指導を受けていた。 当時は『師匠』と呼んでいたから、軽い弟子入りみたいなものだったのかもしれない。 その関係は、呼び方が麻奈実さんに変わった今も続いており、嫁の家事スキルは日々上昇を続けている。 まことにもってありがたい話しなのだが・・・一つだけ困ったというか、迷惑なものがある。 それが先ほどの『おこるよ?』である。 麻奈実は決して本気で怒ることなどない奴だが、同時に本気で怒らせてはいけないという、稀有な特性の持ち主である。 本気で怒らせたが最後、死よりも嫌な体験をさせられる羽目になることを、身をもって知っている俺である。 その迷惑極まりないスキルを・・・あろうことか加奈子に伝授してしまったわけだ。 師匠・・・やりすぎッスよ。 「あー・・・スマン加奈子。久し振りの水入らずだもんな。折角なら楽しく飲みたいよな」 「わかって下さったならいいんです」 ニコニコと微笑む嫁は、先ほどの迫力などどこへやら、楽しそうに飲み会の準備に取り掛かる。 「ほら桐乃、あれ」 「あ、うん」 どうにか落ち着いたらしい桐乃が、加奈子に促されて先のカクテルセットが入ってたバックをゴソゴソと漁る。 「ん、しょっと」 取り出したのは何枚かの紙の束。 それを「ん」と俺に差し出してくる。 訝しみながら受け取った俺だったが、表面に目を走らせた途端なるほどと腑に落ちた。 「用意周到だな」 苦笑交じりの俺の言葉に、へへっと二人が笑った。 それは、カクテルのレシピだった。 ネットで調べてプリントアウトしてあるそれは、素人でも一応は作れるように細かく書かれていた。 「どうせカクテルなんて洒落たもの知らないあんたのために用意してやったのよ」 あーめんどくさかったー。 ふんと鼻を鳴らして恩着せがましく言う桐乃。 ホントに一言一言がムカつくなこいつは。 ひくひくと頬をひきつらせてる俺の耳に、クスクスと楽しそうな笑い声が届いた。 「そんなこと言って。『兄貴にカクテル作ってもらうんだー』って嬉々としてネットで調べてたのは誰だっけ?」 「・・・おいおいマジかよ?素直じゃないねぇ、うちの妹は」 さっき、チラリと加奈子が俺に視線をくれた。 なるほど。 明らかにからかう為の加奈子の言葉。 それを敏感に察知して俺は乗っかった。 案の定、桐乃は真っ赤になって否定し始める。 「ちょっ、加奈子!やめてよそんな言い方するの!勘違いされたら迷惑じゃん!あんたも納得すんなっ!!」 「そう?『なにこのサイト不親切ー!!もっとわかりやすく書きなさいよねー!?兄貴が悩んじゃうじゃん!』」 「うっわ泣きそう俺」 「わああああっ!!」 「『よっしこれでOK!加奈子、兄貴のカクテル楽しみだね!!』」 「おまえ・・・そんなこと思って・・・」 「きゃーーーーーーーーーっ!!」 でっかい声出すなよ。 面白そうだから加奈子に乗っただけだって。 お前がそんなこと、死んでも言うはずないもんなぁ・・・。 そう心で呟いて、ちらりと傍らの嫁を見る。 ひとしきり桐乃をからかった気が済んだのだろう、加奈子は満足そうな笑みを浮かべていた。 実はこの辺、若い頃と同じで加奈子の悪い癖であったりする。 今でも俺、たまにからかわれるもんな・・・。 「かかかか加奈子?」 「ん?なに?」 「あ、秋物の新作バッグ、今度貰えるんだけどさ・・・いらない?」 「?え?」 すると突然桐乃が、加奈子に向かってプレゼントの提案をしだした。 しかも真っ赤になって必死に。 おいおい桐乃のやつ。 もしかして口止めしようとしてんのか? 誰もマジにしないってのに言われたくないとか・・・そんなに俺が嫌いかね? ちょっとへこむな。 「あ、あと!肌に超いい化粧水があるんだ!そ、それも、どう!?」 「・・・あ。もしかして私、脅してるとか思われてる?」 ようやく思い至ったらしい加奈子が、パンと両手を打ち鳴らす。 「そ、そんなことないよ?」 完全にひくついた笑いを浮かべている桐乃。 相変わらずわかりやすい奴だ。 「あはは桐乃。そんなものいらないよ。言われたくないなら言わないって」 ケタケタと笑いながら加奈子が両手を振る。 加奈子の言葉に桐乃がほっとした表情を浮かべる。 だが次の瞬間、桐乃は胡乱な目で加奈子を見つめて言う。ちょっと芝居がかった言い方で。 「・・・そう?・・・昔の加奈子なら絶対脅してたでしょ?ねえ?私本気にしていいのかなぁ・・・?」 「あー・・・黒歴史は勘弁してもらいたいかなー?」 心底イヤそうに苦笑いを浮かべる加奈子。 それを見て笑う桐乃。 その顔にふとあのころの面影が重なる。 「・・・ああいいな、それ」 「兄貴?」 「あなた?」 思わず零した俺の言葉に二人が顔を向ける。 そんな二人に向かって、俺は思いついたことをそのまま口にした。 「なあ、折角3人で久しぶりに飲むんだからよ。どうせなら学生時代に戻ってみないか?」 「は?」 「どういうことですか?」 頭にはてなを浮かべたような顔で聞いてくる二人。 すかさず俺は加奈子を指差した。 「ほらそれだ加奈子」 「え?」 いきなり指摘された加奈子は、訳がわからずはてなを3つほど増やしている。 そこですかさず答えを出してやる。 「お前が昔俺にそんな口をきいてたか?学生時代を思い出してみろ」 「・・・あ」 「・・・なるほど」 得心がいったと頷く桐乃と加奈子。 頭の回転の早いことで。 実に助かる。 「な?どうせだからさ・・・面白そうだろ?」 ニッと口の端を上げて笑うと、二人とも悪戯っぽい顔になって笑い返してきた。 「なーるほどねえ・・・フン。ま『京介』にしちゃ割とマシな提案なんじゃない?」 つんと顎を逸らせ不敵に笑いながら、まずは妹様の降臨だ。 「てゆってもぉ?『京介』は他にとりえなんてないわけだしぃ?せめて企画くらいはやってもらわないとねえ?」 「おーおー久しぶりだなぁ呼び捨て」 水を得た魚のように、遠慮なく俺を呼び捨てにする桐乃に知らず笑みがこぼれる。 俺と加奈子がつきあい始めてから桐乃は、俺のことを『兄貴』と呼び方を固定していた。 それまで『京介』と併用していたのに、だ。 当時、一度だけ理由を聞いたことがあるが「ケジメつけないと」とだけ言われた。 正直・・・少し寂しくも感じたもんさ。 「兄貴一辺倒だったからなお前。さぞや嬉しいんじゃねーの?」 そんなことはおくびにも出さず、俺は桐乃をからかってやる。 「ばばばばかじゃん!?あんたのこと呼び捨てんのなんか嬉しくもなんともないっつーの?」 「そうか?なんなら『お兄ちゃん』って呼んでもいいんだぜ?」 俺の言葉に真っ赤になって桐乃が怒鳴りつけてくる。 相変わらず煽り耐性ねーなお前。 「き、キモッ!おおおお兄ちゃんなんて一回も呼んだことないし!」 「そーか?俺、何度かお前の寝言で聞いたことあんだけど?」 「!?ねねね寝言なんてどどどどこで聞いたのよっ!?」 嘘に決まってんだろバカ。 「あー、そーいや聞いたことねーな。やー勘違い勘違い」 「なっ!?ああああんたねえ・・・!」 「・・・ひひっ」 俺達が当時(今も大して変わらんが)の口論をしていると、それこそ悪戯好きな小娘の声が耳朶を打つ。 俺と桐乃は一瞬顔を見合わせると、プッと噴き出してから声の主にゆっくりと目を向ける。 「よう」 「・・・あのぉ?シスコンにブラコンとかぁ、まじキメーんですけどー?」 「・・・初っ端っから全開だな『クソガキ』」 俺の言葉に、目の前の『クソガキ』は目を細め、意地の悪そうな笑顔を浮かべた。 「はあ?なにゆってんの『セクハラマネージャーさん』?オメーがやろーって言い出したんだべ?」 「・・・一瞬で後悔したぜ」 視線の先加奈子は、あろうことかソファーの上に胡坐をかいてニカッと歯を剥いた笑顔で座っていた。 「スッゲー当時のままだなお前・・・」 髪の色を除けばまったく当時の出で立ちの我が嫁に、少なからず俺は驚いた。 こいつ成長とかマジしてんのか? 「あんだよ『京介』ぇ?この成長しきった加奈子様の、どこが当時のままなんだヨ?」 「主に胸」 「なっ!?」 さらっと本当のことを言ってやると、加奈子は真っ赤になって両手で自分の胸を隠した。 「て、てめーっ!?い、今、一番触れちゃいけねー部分に触れたぞっ!?」 「そーかそーかー気にしてたのかー。加奈子様はかわいいなあ」 頭を撫でながら、俺は、はっはっはとわざとらしく大声で笑ってやった。 心配すんな。俺はその小さい胸が好きだから。 「て、てめー調子乗ってんじゃ・・・」 「加奈子」 「え?」 不意に名前を呼ばれて、加奈子が桐乃に向き直る。 なんだおい桐乃?その真剣な表情は? 「加奈子」 「な、なんだよ?」 「・・・カナカナちゃん、て呼んでいい?」 「いや、それまじキメエからかんべん」 「あううう・・・」 玉砕し、目の前でorz←こんな感じになってる我が妹に俺は声をかけた。 「・・・お前って、良くも悪くも成長しないよな・・・」 ――――俺の妹がこんなに残念なわけがない・・・。 俺がそう思ったかどうかはともかく、俺たちの『なりきり』飲み会はこうして幕を開けた。
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/21.html
■春休みの昼下がり、高坂家の玄関にて 大きなカバンを抱えて階段を駆け降りる桐乃 リビングからボケっとした表情で自分の部屋に向かう京介 ちょうど双方の死角になるところでぶつかってしまった二人 桐乃の鞄から小さな箱が落ちる トレフィグか何かかと思い桐乃に渡そうとして拾う京介 うすうす0.02 勘違いとわかり、気まずい沈黙がおちる 耳まで真っ赤にして京介から箱をひったくる桐乃 玄関から逃げ出すように走り去る桐乃 後ろめたい気分になる京介 ■夕食時、高坂家の食卓にて 桐乃を除く高坂家の家族が食卓を囲む 桐乃がその場にいないが両親ともそのことに触れない もくもくと食事をする一家 思わず、桐乃のことを母親に聞く京介 桐乃は一週間読者モデルの仕事で沖縄へ出かけた、と答える母親 少し不機嫌そうな父親 不安定に思考を巡らせる京介 ■一週間後、高坂家のリビングにて お土産で膨らんだ荷物を抱えて帰宅し、リビングに入ってくる桐乃 ソファで漫画雑誌を読む京介 沈黙 日焼けした桐乃の表情が少し大人びた、と感じる京介 つんとした目で京介を見たあと、ふん、と、目をそらす桐乃 言葉を交わすことなく、気まずく各々の部屋に帰っていく二人 ■桐乃が帰宅した深夜、京介の部屋にて 連日のように眠れず、思考を巡らせながら天井の一点を見つめる京介 不意に京介の部屋のドアを開ける桐乃 寝たふりをする京介 はじめての人生相談の時と同じく、京介の上に馬乗りになる桐乃 ぱし、と、京介のほほをたたく桐乃 人生相談 それだけで諒解し、無言のまま桐乃の部屋に向かう二人 ■桐乃の部屋にて 自室のドアを開ける桐乃 桐乃の部屋に入る京介 無言で床を指さす桐乃 猫の座布団に胡坐をかいて座る京介 ベッドに腰掛ける桐乃 どちらも、言葉を切りだそうとしながらも、切り出せない、無言のままの二人 そのまま沈黙が続く ■ベッドにて① すく、と、立ち上がる京介 桐乃の肩に手をかける京介 京介の腕を振り払おうとするが、男の腕の力に抗えない桐乃 ベッドに桐乃を押し倒す京介 桐乃のピンクのパジャマの前を強引にはだける京介 あらわになった小麦色に日焼けした桐乃の肌 妹のその肌を、その乳房をむさぼる京介 ■ベッドにて② 桐乃の腹から、乳房から、首筋から、頬から、額から、唇へキスをする京介 その身体をもはや兄のなすがままにゆだねる桐乃 ねぶるように、唇を、舌を絡める二人 そのままパジャマのズボンに手を入れる京介 突然のことに一瞬目を見開くが、唇を貪られ、目をとろけさせる桐乃 ショーツの上から桐乃のその部分を、なぞるように触れる あ、 と、声をあげる 濡れてる と、ありきたりの言葉を耳元で囁く その言葉に、身体をびくつかせる桐乃 いったんだ 問うように囁く兄から目をそらす 少し強引にショーツを横にずらし、湿った桐乃の中に人差し指を挿し入れ、 そのまま、親指でクリトリスを執拗に触れ続ける もはや堪えることを諦めた桐乃は艶っぽい声を洩らしつづける ■ベッドにて③ おねがいだから 責めるように弄び続けられ、耐えられずに、思わず乞う桐乃 腰をあげて うん 素直に従う桐乃 桐乃の中で濡れた手で、ショーツを引きずりおろす 京介の手が、張りのあるすらりとした脚に触れる 自分の露で濡れた兄の指に、恥じらい、堪え切れず、思わず瞳を濡らす桐乃 ■ベッドにて④ 兄に応えてベッドに横になったまま、慣れない手つきで兄のパンツをおろす桐乃 その手が、大きくなった兄のそれに触れてしまう いとしい、と思う その手で兄に触れられたら、その身で兄を受け入れられたら、 理性はとうに消え、軽くうつろな目で、兄を見る 挿れて だが兄は、桐乃の願いにこたえてくれない 挿れて ……ください 何時もであれば、兄に慈悲を乞うことは耐えられない屈辱だ だがもはやそれは喜びであり、恍惚であり、絶対的な快楽であった 桐乃の哀願にこたえて、強引に兄が中に入ってくる 破瓜の痛みすら、桐乃にとって悦楽であった ■ことのおわりにて 行為ののち、京介にじゃれるように抱きつく桐乃 おまえ・・・初めてだったのか? そうだよ。はじめては、兄貴が・・・おにいちゃんがよかったの。 だっておまえ、出かける前のあれはなんだったんだよ? あれ、って? だから、・・・ゴムだよ。コンドーム。 あはは、あれはね。あれは保健の授業で女子は持ってなさいって言われて、みんなで買ったんだよ。加奈子がさー、調子に乗って、これ、最近出た体温まで感じられるやつだ!なんていって。 なんだよ、それ・・・ ねえ、もしかして、あたしのこと、心配してた?誰かのものになっちゃうかもって、しんぱいしてたんでしょう?ほれほれ? う、うるせーな! でも、使えばよかったね。そのまましちゃったし。 ・・・・・・ えへへ。また、こんど、つかおう?ね? 照れくさそうに微笑んで、ぎゅっと、京介にすがりつく桐乃 まったく、おれの妹がこんなに可愛いわけがない。
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/186.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1273071103/926-948 兄貴はちょうどキッチンで冷蔵庫から麦茶を取り出してコップに注いでいた。 あたしがこっち来たことに気付いて「え? なんでコイツ来てんの?」みたいな顔してる。 いいじゃん、いっしょにいたいんじゃん。バカ兄貴 「あたしにもちょうだいよ」 兄貴に麦茶を要求する。 「……おらよ」 勝手に何か合点したのか、変な顔つきはやめて、コップを差し出してきた。 そして、もう一個コップを取って自分の分を注いでいく。 へへ、何気ないけど、優しいじゃん。 やっぱ兄貴はシスコンなんだよねー? はっきり認めて言ってくれればいいのに。 そしたら、あたしの彼氏になってよって言うのにさぁ~あ。 受け取った麦茶を飲みながら時計を見ると午後十一時を回っていた。 お母さんたちはもう寝てるのか、家の中はあたしと兄貴がコクリコクリと麦茶を飲む音しかしない。 兄貴の方へ向き直ると、兄貴もこっちを見てた。 視線がまた交差する。 「な、なに見てんの? ウザ」 「――なぁ桐乃」 兄貴はあたしの言葉には反応せず、なにかを思案するような顔であたしを見てた。 え? な、なんなの? てっきり「なんでもね~よ」とか言ってくるものかと思ってたのに。 なんかいつもと違う切り返しにあたしは少し狼狽した。 「あのさ、お前日本に帰って来たんだよな」 「は? 見りゃ分かんじゃん」 どうしたの? 兄貴頭おかしくなった? 帰ってきたのはもう数週間前じゃん。 他ならない兄貴があたしんとこ来てくれて、二人っきり~で夜過ごしてぇ~、二人でハネムーンみたいに飛行機乗ってぇ~、帰ってきたんじゃん? 兄貴は何も言わず麦茶を飲んでいる。 「なんなのよいったい」 じれてあたしは兄貴に問いかけた。 そしたら兄貴は、飲み干したコップを置いて、あたしの正面を向いて「すぅ」と一呼吸すると――、 「桐乃、帰って来てくれて――ありがとな」 ……!? な、なななんで? お、お礼? いきなりのことにあたしは動転した。 あ、あたしが日本帰ってきたのは兄貴が寂しいって言ってくれたからで、それがチョー嬉しかったからで、 「あんたに……、お礼言われるような……、ことじゃ…ない」 ふいうちの言葉に心臓の鼓動が高まって、うまく言葉が出せなかった。 「それでもよ、一応言わせておいてくれ。ありがとな」 「べ、別に……いい…ケド」 え、その……。お、お礼って……兄貴、それって、それってあたしが帰って来て嬉しいってことだよね? あたしが兄貴のそばにいるの嬉しいって、ことだよね? そ、そうなんだよね? 何か言いたいけど、嬉しさと恥ずかしさと緊張から、あたしは肩をちぢこませて、両手で掴んだコップから麦茶をクピクピ飲むだけだった。 あたしの様子を少し眺めていた兄貴はやがて、 「もう寝るけど、お前も早く寝ろよ」 そう言ってリビングから出て行った。 後に残ったあたしの胸には、階段を上がっていく音がひどく心地よく響く。 兄貴のバカ、そんなこと言われたら、ガマンできそうにないじゃんあたし―― リビングに桐乃を残し、部屋へ戻ってベッドに再び入ると、心地よい眠気が襲ってきた。 一階に下りていったらまだ桐乃のやつがいて、麦茶飲もうとしたらあいつも『くれ』って言ってきたんで、二人で飲んでた。 別にどうだっていうほどのもんでもねぇんだけどな。 あいつと二人で麦茶を飲んでいるとき、さっき考えてたことが頭をよぎっちまったんだよ。 もしかしたら、そう本当にもしかしたらだけど、桐乃は俺が意識する前から、俺の方を向いていたのかもってさ。 だとしたら、あいつの心は、実は俺が思うものほどには違ってんのかなって、あいつの顔見てたら思っちまったんだ。 だから俺は、『ありがとう』って言った。 寂しがって、泣きついちまった情けない兄貴を見捨てないで帰って来てくれて、俺の方を向いていてくれて、俺のことをちっとは見て、考えてくれていて、〝ありがとう〟ってさ。 確証なんて無かったから、その後に続く言葉は言わなかったけどよ。 ハッ。妹相手になっさけねぇこった。でもよ、不思議と悪い気分じゃあねえんだわ。 やっぱシスコンだろって? ちげーよ、そんなんじゃねえんだよ、俺と桐乃は――さ。 ……多分な。 へへ、今になって少し恥ずかしくなってきた。 これ以上起きてられん、あーはずかしっ。 いい感じに眠たくなってきてるし、さっさと寝るとしよう。 なんとなくだが、今日はいい夢が見れそうな気がするよ。 時計の短針がいつの間にか1をさしていた。 もうかれこれ二時間近く、ベッドで身じろぎしていたことになる。 夕方に少し寝ていたから眠気は襲ってこない。いや、それだけじゃないか。 兄貴のことが頭から全然離れないからだ。いや、離したくないから。 「兄貴、眠れないよ。兄貴のせいだよ、変なこと言うから。どうしてくれんの?」 さっきのこと、あたし超嬉しいんだよ。 兄貴があたしのこと見て、言葉にしてちゃんと言ってくれたから。 「兄貴、兄貴、兄貴、兄貴、兄貴、兄貴、兄貴、兄貴、兄貴……、あに…きぃ」 濡れた瞳で壁の向こうに何度も呼び続けた。 「あにきぃ、あたしのこと、もっと見てよ。兄貴スケベだからさわりたいでしょ? さわってもいんだよ? 兄貴……、兄貴……、あに…きぃ……」 さっきからもうずっとこんなことの繰り返しだった。 同じような言動を繰り返すたびに、想いだけが雪のように積もっていく。 凍えるカラダを両の腕で抱いても、いっこうに温まらない。 兄貴にあっためてもらいたい、溶かしてもらいたいよ。 「兄貴、もう……寝たよね……。今、なら……。兄貴、あにき、アニキ……、もう、あたし、あたし……」 だ、だめ、もう無理だよ、あたし、あたし――っ! 情欲に駆られたカラダをベッドから起こし、ふらふらとあたしは部屋を抜け出し、兄貴の部屋へ来た。 音がしないようにドアを静かに開ける。 部屋は薄暗いけど、外灯と月の明りが窓のカーテンから漏れており、中の様子はなんとか把握できた。 ベッドからはスゥスゥと寝息が聞こえてくる。 あたしは少し開けたドアの隙間からそうっと部屋へ入り込んだ。 ゆっくりとベッドに近寄り、かたわらに腰を下ろして兄貴の顔を窺う。 けっこう眠りが深いのか、起きる気配はないみたい。 「はぁ…はぁ……」 ごめん兄貴。あたし、あたしもうガマンできないからね? 兄貴が悪いんだよ、あたしにあんなこと言うから。 あたしにあんな……あんな嬉しいこと言ってガマンできなくさせちゃったんだから。 責任、とってよ……。 震えながら兄貴の顔に自分の顔を近づけていき、 「あ、あに…き……。……………………ん」 唇が触れた瞬間、ビリっと体中に電気が走り抜けた気がした。 しちゃっ…た……キス。キス……した。あ、あたし兄貴とキスした、キスしちゃったよぉぉ! 唇をはなして、いったん呼吸を落ち着かせる。 「んぁ……。はぁ、はぁ、はぁは……」 や、やた。あたしの初キス、兄貴と出来た。 あはぁ、チョー嬉しいよぉ。メルルちゃん、あたしやったよ! 兄貴とキスしたよ! 兄貴、あたしが勝手にキスしてんの、どう思うかな? やっぱり怒るかな……? ごめん、でも、だって……もう抑えられそうにないもんあたし。 自分の気持ちに気付いてから、これまでガマンしてきたけど。 これまで―― 兄貴のハブラシで歯磨きしたり、 兄貴の後をこっそりつけてたり、 兄貴がいないときにベッドで寝てみたり、 兄貴のイスにあたしの匂い擦りつけたり、 兄貴の靴の匂い嗅いだり、 兄貴がトイレ出た後すぐに入ってみたり、 兄貴の飲みかけのペットボトルに唾液入れたり、 兄貴の箸で間違えたフリしてご飯食べたり、 兄貴にパンツ見せつける為に前に座らせてみたり、 兄貴の捨てたゴミ漁ったり、 兄貴の毛が落ちてないか探してみたり、 兄貴のパンツを履いたり嗅いだりしてた『くらい』だったけど……。 今日はどうしてもガマン、出来そうにない、あたし。 だから……今日だけ、今日だけだから、さ? あたしが自分に言い訳を言い聞かせている間も、兄貴は変わらず眠っている。 これくらいじゃ全然起きそうに無いみたい。 だ、大丈夫だよね? だから、もうちょっと、もうちょっと……いいよね。 「ん、ちゅ。ん……んふっ。ちゅぷ……、ちゅ、ちゅ……」 あたしは何度も何度も兄貴の唇をついばみはじめた―― 明晰夢って言葉知ってるか? 夢を見ている最中に「あーこれは夢だ」って夢の中で夢だと気付くあれのことだ。 実は今それを体験しているとこなんだよ。 夢の舞台はどこか知んないけど、暗い部屋、俺は寝てるようなんだが、そこへドアを開けて誰かが入ってきた。 顔はなんかボヤけてよく見えないんだが、女ってことだけはなぜか分かった。 あと髪の毛は茶髪のロング、黒じゃないのが惜しいところだ。 んで、彼女が枕元に近づいてきて、「なにすんのかなー?」と思ってたらさ。 なんとキスしてきたんだよこれが! 一度目は触れるか触れないかくらいの、んで今は「ちゅっちゅ」と愛らしい唇を必死に俺の唇に重ねてきてくれている。 くぅ~~、たまんねぇ。エッチな夢サイコーッ! 夢の中だって自覚できてるから、俺はそりゃもう必死に夢の場面が切り替わらないように祈ったさ。 夢ってのは放っといたら、映画のように勝手に進んでいきやがるからな。 この前見た夢なんて、麻奈美としゃべってたと思ったら、いきなり怪物に襲われて泣きながら逃げてたし。 おっと、話が逸れたな。 まぁつまりだ、俺は男の大多数がそうするように、もちろんそのエッチな夢を心ゆくまで満喫することにしたのさ。 夢に出てきた彼女は愛らし~い唇で繰り返し繰り返し俺にキスをしてくる。 可愛い、超可愛い。 もっと、もっとチューしたいぜぇぇ! 俺は夢に現れてくれた彼女へお返しするようにこっちからもキスした。 「ん、んんっ!?」 起きたのかと一瞬緊張したけど、そんなこともないみたいだった。顔に当たる寝息は規則正しい。 寝てる……けど兄貴からキスしてきてる! なにこれ、すごい! 「バカ兄着、驚いちゃったじゃん。んぁっ、でも、でも兄貴があたしの口にすいちゅいれる。あたしもぉ、もっと兄貴とキチュしたい。ん…、んんん。ちゅ、ちゅッ、ちゅッちゅッ……、ちゅちゅうう」 おおい、なんかえらい積極的じゃねーか。 俺がキスすると、彼女からすんげー大量にキスの雨が降ってきた。 ひゃっほー、こりゃたまんねえ。 俺も負けじとどんどんキスしていったね。 「んはぁ……、あに、きぃ。もっと、もっとあたしゅの吸って。あたしいっぱい、キシュしたい。んちゅ…、ちゅうう、ちゅ、くちゅ……、ちゅちゅ、ちゅるるううぅ」 間近にある兄貴の顔を見ると、ピクピクと瞼の下で目がほんの少し動いているみたいだった。 ま、まずいかな、起きちゃう? でもこんなの……、止められるわけないじゃん。 「ちゅ、ちゅっ、ちゅちゅっ。チュプチュプ。あっ…、ふみゅ、んはっ……きもひイイよ、兄貴とキスするの気持ちイイよぉ」 うはぁ~。やっべ、超やっべ! 気持ちいい、キス超気持ちいいです! いや、実際はキスなんてしたことねえから、本当にこれがキスの感触か分かんないんだけどね。黒猫のは頬だったし。 ただもう夢とはいえ快感がね、すごいのよ。なんていうか~トロけるっつうの? 本当のキスの感触かどうかはおいといて、俺のリヴァイアサンがパンパンに膨れ上がったのは確かだ。 よ~うしっ、今度は、い、いっちょ……、ディ、ディープキスとやらをしてみっかな。 俺の夢なんだし良いよね? 良いよねっ!? 俺はレロ~と彼女の口に舌を挿入れてみた。 「あむ…、んっ、ちゅ、ちゅちゅ……、んっ、んんん!?」 驚きであたしはバッと兄貴から口を離した。 え、なに!? 今の感触って? し、舌? あ、兄貴もしかして起きたの!? に、逃げる!? でっ、ででででも……っ! いきなり彼女の気配が消えちまった。ちょ! なんで!? 舌挿入したのダメだったの? うおぉおおおい! ごめんなさぁぁいぃぃ、調子乗ってましたぁ! 頼むよおぅぅ戻ってきてくれよぉー! もう一度、もう一度だけお願いします! 明晰夢なんだろ、これって俺の夢なんでしょ? なんとか頼むよぉぉっ! 俺は突然消えた彼女に必死に呼びかけたよ。 情けないことに涙ボロボロでな。 逃げるタイミングを失ってドキドキしながら兄貴の気配を窺っていたが、起きてくる気配は無い。 口が少し開いて、舌がピクピクしてるのが見える。ちょっと寝苦しそう? しかし他はこれといって様子は変わらない。相変わらず寝息を立てている。 「大丈夫みたい…だけど、……ふぅ。し、心臓止まるかと思ったじゃん、このバカ兄貴」 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさぁぁいぃっ! 俺が悪かったですぅ! だからお願いします、お願いしますだよぉぉ戻ってきてくださいぃぃっ! 俺は必死にいなくなった彼女を求めて叫んだよ。 情けないことに鼻水ズルズルでな。 少し様子をみていたけど、やっぱり起きそうにない。ほんとに寝てるみたい。 兄貴起きてない。でも、さっきのって? ――――はっ! 兄貴、もしかしてキスしたいの? 寝てても……、あたしとしたい? あたしとキスしていいの!? したいですう! チューしたいっス! だって俺十八歳だよ!? エッチな夢なんて毎日だって見たい花も恥らう(?)お年頃なんですよ! お願いだから帰ってきてくれぇぇっ! 俺は諦めずにしつっこいくらい彼女に帰ってきてくれとわめいたよ。 情けないことにワンワン大泣きでな。 兄貴……。あたしとキスしたいんだよね? ベ、ベロチュー、し、してもいんだよね? してあげても……い、いいよ……。ゴクリ。 兄貴とベロチュー、兄貴とベロチュー、兄貴とベロチュー……。 あ、あああ兄貴と、ベベベロチュ――ッ! あたしは兄貴の顔に覆いかぶさると、 「ん、ちゅ。ん…んん、えぇ、くちゅ、ちゅ…、ちゅぴ、ぇああぁ。ひゃ、ひゃにひぃぃん」 もう一度唇を兄貴に押し付けた。 ……!? やた! よっしゃあぁぁっ! さすが俺の夢、さすが明晰夢、マジお願いしたら戻って来た、帰って来てくれた――っ! しかも、彼女の方から俺の口に舌を挿入してディープキスしてきてくれている。めちゃ気持ちいい! かぁ~~~っ、なんてエロ可愛い娘だよこんちくしょー。 もう拒絶されてないと分かり、俺はむさぼるように彼女の唇を、口内を、舌を味わい始めた。 兄貴からも舌を絡ませてきてるっ。なにこれ、夢? 超嬉しいよぉっ! あたしは嬉々としてますます兄貴の舌に自分の舌を絡ませていった。 「くちゅ、ちゅるるる、ひゃぁぁ、あにひ激しい、いっぱい、いっふぁいあたひの舌にかりゃんでくりゅ。んん、もっとぉ、もっとベロぉ、兄貴のベロからませてよぉぉ。 兄貴の、へへ、兄貴のぉぉ。ちゅぱ…、ちゅぷちゅぷ、ちゅるるるる、くちゅくちゅ。んやぁ、感じちゃう。ベロチュー、超気持ちイイよ、あにきぃ、あにきぃぃっ」 おいおいおいおい、たまらねえな。サイコーすぎだろ! 久々にいい夢みてるよね俺ってば。いやこんな超エッチなのは初めてか? 一度いなくなったときはダメかと思ったけど、帰って来てくれたしな! しかし――誰なんだろうな? 今も俺の舌に吸い付いて離してくれない、この超可愛くて絶エロな娘は……? 兄貴の唾液、兄貴の唾液、兄貴の唾液ぃぃっ! 「んぇぇ、んん……、くちゅる、ぺろぺろ、ん…、んん、こくん。あはぁ、兄貴の唾液飲んじゃったよ、くちゅ、ちゅくちゅくちゅく…、ひゃにきもぉ、あはしのらえきろんれよね? あたしだけに、ん…、飲ましぇるのぉぉズリュイんだからね? ん、くちゅ…くちゅちゅ…くちゅちゅ、んふぁ、ふむっ、んあ、ちゅ、ちゅ、ちゅるるる」 おいしい、おいしいよ兄貴の唾液。ハブラシとはやっぱし違う。 もっと欲しい、もっと……もっと――っ! ふーむ、やっぱいまいち良く分からねえな。 すぐ間近にいる彼女の顔は、ピントが合わないカメラのようにボヤけて視認することは出来ない。 髪は~、茶髪、いわゆるライトブラウンみたいだが、ん~レロレロ。 「んぇろ、れろ、ちゅる、ちゅるる。んあぁ~もっろぉ、もっろぉキスぅ。兄貴、兄貴、あにきぃぃ。もっとベロであたしの中犯してぇぇ。口いっぱいに兄貴の唾液ちょうだぁいぃ。 んむ……、むちゅ、ちゅ、くちゅるる、ちゅぽ、ちゅぷ…ちゅぷぷ、くちゅる」 兄貴が起きているときは絶対出来ない行為に、あたしはさらに陶酔していった。 ロングでライトブラウンに染めてて、可愛くて、積極的で、エロくて。 う~ん、思いあたらねえ。俺の周りにいたかぁ、そんな娘? 近くにいたら絶対分かりそうなもんだが。 秘蔵コレクションのお気に入り女優にも覚えがねえしなぁ……。 それとも、ただ単に俺の夢が創りだした架空の存在ってことか? 「んちゅる、くちゅぷ、ちゅぷぷ…、んあぁ~。しゅごい感じるぅぅ、兄貴の唾液おいしいぃぃ、んん、もっひょよこしてよぉ……、ちゅぱちゅぱ、れろ、れろ……、んく、んく。 あああ、おいしいぃのぉ、感じりゅのぉ、あたし兄貴のでたくさん気持ちよくなっれるぅぅっ」 ま、いいか。 いなくなったときはマジ泣きしたけど、こうして帰って来てくれてそばにいてくれるんだしな。 …………ん? んんん? でも――まてよ、そういえばつい最近も、こんな気持ちを味わわなかったっけ? えーっと、こう俺が泣いて頼んだら帰って来てくれて~、それが嬉しかって~。 「えへぇ、あにきぃ、兄貴の歯にもキスしてあげるね、感謝してよねぇ。んちゅ、ちゅっ…、ぺろ、れろ…れろぉ、あっ、あっん…んっ、んあ……、ちゅくちゅく。あっうんん、歯が舌に当たって気持ちイイよ。 あたしの舌で兄貴の歯、磨いちゃてるの、感じちゃうよ。んえぁ、ぺろ、るれぇろ、あん、んん……カリカリすんの感じちゃうろぉおぉ?」 なんかずっと俺のすぐそばにいたやつでさ……。 そして俺のことを―― 「あにきぃ、んあ、あにきあにきぃ。ちゅるる。もっとちょうらいってばぁ兄貴、バカあにきぃぃ。あっ、んん、ちゅぱ、ちゅぷ…ちゅぷぷ、ちゅっ、ちゅちゅちゅうううっ。 やぁ、あたしが変態あにきぃろぉ舌食べてるんりゃから、あにひは舌吸っちゃらめぇらのぉ、このシ、シスコンあにきぃぃぃぃっ」 そうそう、俺のことをバカだの変態だのシスコンだのとつけて『兄貴』と呼ぶ人物。 つまり――、俺の妹の桐乃だ。 なーんだそっか、誰かと思ったら桐乃だったのか、そういやあいつの髪もロングだしライトブラウンに染めてたもんな。 おまえ、こんな超可愛くてエロかったんだなぁ。 なーるほど。 ……………………………………………………………………………………………………。 ううおおおぉぉぉおおおいいいぃぃぃぃいいいぃぃ――――――――!? 「んっ、くちゅちゅう、ちゅぷちゅぷちゅぷ。んはぁ、んむぅ。あにきぃ、いっぱいいっぱい気持ちひいことしよ。兄貴の口の中、れ~んぶ犯してあげるかりゃ、あたしの口の中も犯しなさいよね。 ちゅる…るるる、くちゅる……、はぁはぁ……はぁ。兄貴兄貴兄貴、あにきいいぃぃっ」 ボヤけていた顔がはっきりと桐乃を形作った。つややかなライトブラウンの髪、丸顔だが十分すぎるくらいに端正に整った顔。 俺がキスを交わしていた相手は、まさしく俺の妹の―――桐乃だった! その妹の桐乃が、今まで見たことが無いくらい可愛い顔で、『兄貴、兄貴』といとおしげに何度も俺を呼び、扇情的な言葉を言いながら俺の口内に舌を挿入し、舐めまわしている。 「き、桐乃!? お、俺は! ―――!? ちょ、ちょっとまて俺、おいおいおいおい待て待て待て待てぇぇぇっ! それはマズイ、それはマズイってぇぇっ!」 夢の中の相手が桐乃と知った瞬間、俺の中のどんなスイッチが入ったかは知らんが、今までに無い快感が急激に下半身から駆けあがってきた。 「あにきぃあにきぃ、兄貴とのキシュ、ちょ~イイよぉ。しゅごく感じちゃうのぉぉ。バカ兄貴もぉ…もっとあたしとのチューで気持ちよくしてあげるからね。ちゅ、くちゅちゅちゅ、ちゅぱ、くちゅるるるるぅぅぅぅっ! あにきぃあにきぃぃ! あっ、あむっ、んむぅぅ、くちゅちゅちゅちゅううううううっ! 兄貴、兄貴、兄貴、兄貴、兄貴……、あにっ…きいいぃいいぃぃっ!」 よ、よせ桐乃! こ、これ以上は……む、無理だっ。 く、くおおおっ! だ、だめだ、耐え切れんっ! 「…………ぐ、く……うあ、ぁぁああああああああっ――――――!!」 「あにき、あに……へ、ふぇええ!? あ、兄貴!?」 突然、兄貴はうめき声をあげてカラダを身悶え始めてた。 そこでようやくあたしも「はっ」と自分が我を失うくらいに夢中になり過ぎてたことに気がつく。 ま、まままっずい、これ絶対起きる、今度こそ起きちゃうって! に、逃げなきゃっ! あたしはあわてて駆け出し、自分の部屋へと逃げ戻っていった。 もっとキスしたかったのに……グス。 「……………………」 目が覚めた。 えーっとここは……、俺の部屋だよな。 部屋はシーンと静まりかえっている。 なんかドアが開く音が聞こえたような気もしたが、部屋の外からも何も聞こえてこない。 鮮明だった夢のせいか少し頭がぼうっとしていたが、徐々に意識がはっきりしてくる。 ………―――~~~くっ、くわあああああああ――っ! やっちまったぁぁぁっ! な、なんちゅう夢見てんだよ俺はぁぁっ! 最初の方はあんま覚えてねえケド、夢の中で俺が可愛い、超可愛いと大喜びでキスしていたのは、間違いなくっ、隣の部屋で寝ている妹の……き、桐乃だっ! ぐああああああ! 俺のばかああああぁぁっ、変態ぃぃぃっ! なんか口元もベタベタしてんし、一人で寝ながら舌出してベロベロしてたってことかぁ!? うっぎゃああああ! 危ね! 俺危ねぇぇ――っ! へ、部屋で良かった。もしどっか誰か人がいるようなところだったら……。 ひいいいぃぃ! ゾゾゾッっと背筋が冷たくなった。ほ、ほんと部屋で助かったぜ! しかしよぉ……と、とんでもねえ夢見ちまったぜ。だ、だいたいなんで桐乃なんだ? 俺ってもしかして本当に……。 い、いやいやいやいやそれはない! 断じてないいぃっ! こ、これはだな、いわば夢の中での出来事であって、いくら明晰夢だからといっても出来ることと出来ないことがあってだなあっ? まして、潜在的に持ってた望みが浮かびあがったとかそういうんでもなく! て、ていうかよ、たまたまそーゆー夢を見ちまったってダケで、たまたま寝る前に桐乃とちょっと会話してたのが変に重なって、これまた、た、たまったまそーなっちまったってダケで……。 「く、くぅうう……。さ、さっさと忘れちまおう。それが俺の自我の為でもあるよな、うん」 と、俺が必死に今見た夢の忘却作業に専念していたら、股間が妙に冷たいことに気付いた。 おいまさか、やめてくれよ~……。 そーっと、パンツの中を確認してみる。 「うっげ、やっちまってるよ……」 パンツの中は見事に俺のリヴァイアサンの大海嘯で濡れていた。 ああああ、ついてねえぇぇ。夢精なんてするかよ普通? はぁ、そういやここんところ夕方は勉強、夜は桐乃のゲームに付き合ってたから処理してなかったもんな。そのせいか? 「にしても、なんだよこの量。溜まってたっていってもこんなに出るか普通?」 パンツの中はすんげ~ベトベトだった。 夢ん中でキスの相手が桐乃と気付いたとき、急激に沸きあがってきた快感に耐え切れなかったわけなんだが……。 うわわわわ、いかんいかんいかん。こっから先はあんま考えない方が身の為だ。 忘れろー、忘れろー俺っ! はぁ…はぁ……。 と、とりあえずこのパンツをなんとかするか。あ~あ、お気に入りだったのによ。 俺は替えのパンツを持ってそうっとドアを開け、家族に気付かれないようにソロソロと一階へと向かった。 風呂場の脱衣所でパンツを脱ぎ、タオルで股間を丹念に拭う。 「うへぇ~」 なんちゅう量だよ。もしかして俺って多いほうなのか? 比べたことなんてあるわきゃねーから分からんけどよ。 いや、つまんないこと考えてないでさっさと済ますか。 股間を拭ったあと、洗面台で手を洗い、新しいパンツに履き替えて短パンを履く。 ついでにシャツも用意した新しいものに着替えた。 「うっし、これで一応大丈夫だよな。――さてと、残るコレはどうするよ?」 精液が付着したパンツとタオル(それとシャツ)をつまんで、しばし思案する。 このまま洗濯かごに入れておけばいいかな? いやしかし、もし匂いでバレたらそれこそ恥ずかしすぎて死ぬ。 かといって、持っておくなんて論外だし、捨てるつっても、こんなん捨ててたらそれこそお袋にバレて、家族のみならずご近所で辱めの刑にあっちまいかねない。 あのババア、どこまでしゃべるか分かんないからな。 「ん~、さっき風呂入ったときの下着に紛らせときゃバレねえかな」 うん、それが一番無難な気がするな。 横着のお袋はかごの中身はいつもまるごと洗濯機に放り込んでるし。 そう思い立ち、洗濯かごに手を突っ込んで自分の下着近辺にブツを紛れ込ませようとした。 「んーと、この辺にバスタオルでくるんでおいて~と……」 そのとき――
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/140.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1266820218/85-88 俺の幼馴染がこんなに不人気なわけがない 俺は自宅を華麗にスルーして歩いて行き、商店街のなかにある一軒の店の前にたどり着いた。 いつもなら麻奈実と雑談しながら歩いて到着するのが、この俺の眼前にある和菓子屋田村屋なのだが、当然のごとく今日は俺一人で静かにここまで来た。 やけに学校から田村屋までの距離が短く感じたのはいつもの雑談が無かったからだろう。 いや、決して早歩きで来たから短く感じたとかないからね。途中で少し走ったのも赤信号に変わりかけた横断歩道だけだからね。 べ、別に寂しくて一秒でも早く着きたかったとかないんだぞ! ……はぁ、最近俺は自分で自分の首を絞めることがやけに多くなった気がする。 くやしい…! でも…感じちゃう! という性癖を持った記憶は無いのだが。 まぁくだらない言い訳はここらへんにしておこう。 あぁそうだよ。高校生にもなって放課後に全力疾走だ、文句あっか。 やっぱり素直に心配なわけだ。どんなに落ち着こうと考えても身体は正直だ。一秒でも早く麻奈実を見ていろんな意味で安心したかった。 いつ見ても二十一世紀から取り残されたかのような古風なたたずまいをしている田村屋の店内を覗いて見ると、珍しくカウンターのところで店番をしているロックの姿があったので俺は勝手口に回らず直接正面から田村屋に入ることにした。 「おうっす、ロック。久しぶりだな」 「……おー、あんちゃんか」 こいつとは久しぶりに会ったがいつの間にかヘアースタイルを五厘刈りで定着させたらしい。しかしながらいつもと比べ様子がおかしい。 いつものこいつはどれだけ売っても売れ残るほどのハイテンションの持ち主だ。それなのに今日は俺が話しかけても反応は鈍い。 おまけに旧式のレジスターがある会計台に突っ伏した状態で、顔をあげるようともしない。 なんだなんだ、ロックよお前まで風邪かなんか引いたのか? まさか俺の知らない間に田村家では何か凶悪なウィルスが大横行していたというのか。 今にも五厘刈りから毒キノコが生えてきそうなほどのどよんどした空気が流れる店内であったが、それまで半死のような状態であったロックの身体が突然ビクリと動き、がばぁっと顔を上げる。 「……ぁ、あ、あ、あああんちゃん!? 本当にあんちゃんなのか!!」 「うぉっ!? なんだ、なんだってんだよ急に」 突然死者が目覚めまるで親の仇を見るかのような目で睨みつけてきた。なんだロックのやつ元気じゃねぇか。 「あ、あんちゃん! もう、お、おっ、おっおっおっおおっ……」 「おっ、落ち着けロック!」 いやいや冗談じゃなくやばいって! 瞳孔開いんてじゃねぇっのって勢いでロックの両の目が見開いてやがる。 しかも呂律も回っていないもよう。第一おっおっおっを言いすぎだろ。 …………なんだ? まさかこいつこの後、「おえぇぇぇっ!」つって吐くんじゃねぇんだろうな!? いやもうなんかそんな空気がするぞ! この奇行というかおかしい振る舞いは体調がおそろしく悪いゆえの行動としか思えない。 これは実にまずい。マジで泣きたい五秒前! だがしかしこのまま何もしないほどあきらめの悪い俺ではなく、バケツかなんかねぇのかと店内を見回した。 そうしてロックから目を離した次の瞬間、俺にとって想定外の出来事が起こった。 「遅えぇんだよあんちゃんのバカヤロー!」 凄まじい音量の罵倒が俺の両耳に鳴り響く。よもやロックに本気でバカ呼ばわりさせる日が来ようとは。 さっきまでのあれは「遅えぇんだよ」って言いたかったのね。吐しゃ物と共に「おえぇ」じゃなくて良かったよ。 ただし俺の顔には思いっきり叫んだロックのツバが大量にとんできたけどね。 「バカはてめぇだコラァ! 汚えぇじゃなぇかよぉオイ!」 俺はただちにカウンター越しにいるロックの五厘刈り頭に対してヘッドロックをかけてやった。 「あいたたたぁっ! あんちゃんロープロープッ!!」 身体がカウンターの向こう側から引っ張られて大変痛々しいことになっているが、いつもかけているプロレス技と同じくらいの力加減にはしておいてあるので大丈夫だろう。さぁ俺にかけたツバと同じ量の涙を流してもらおうかロックよ。 しかしながら、さっきのロックが叫んだ内容の意味は理解できたぜ。 麻奈実が体調を崩してずっと学校を休んでいたのに何でもっと早くお見舞いに来ないんだって言いたかったんだろう? なんだかんだで姉想いなやつである。 でもそのことについて麻奈実からちょっとした小言を言われるならまだしも、お前にマジギレされるのはお門違いだろうが。 「あのなぁ、俺にだっていろいろ都合ってもんがあるんだよ。特に最近はいろいろあってな、今日になってようやく一段落着いたところなんだ。それで、麻奈実の調子はそんなに悪いのか? ことと次第によっちゃ今すぐ麻奈実の部屋で看病しはじめる気マンマンだから、さっさと現状を教えやがれ」 俺は長々しくそう言い終わると同時に、ロックにかけていた技をほどいてやる。するとロックは技から開放されたことよりも先に、重要なことを思い出したと言わんばかりの表情で俺に詰め寄ってきた。 「そうなんだよ! ねーちゃんがおかしいって言うか……なんつうかさぁ、とにかく変なんだよ!」 まじめな声を出すな息を吹きかけるな顔が近いんだよ気色悪い。本日二度目のこのセリフである。 それにしてもロックがこれほど狼狽するとは珍しい。どうやらすぐにでも麻奈実の様子を見に行った方が良さそうだ。 「これロック、うるさいわい! ……って、きょ、きょ、きょ、きょうちゃん! お、お前さんって奴はお、おっ、おっ、おっ、おっ、おおぉっ!」 「まじめな声を出すな息を吹きかけるな顔が近いんだよ気色悪い。それと遅くて悪かったなジジイ。ロックみたいに叫んだら、奴と同じ目にあってもらうぞ。それで、ジジイの目から見て麻奈実の様子はどうなんだ?」 おそらく今の麻奈実より元気であろうご老体が店の奥から出てきて同じ事の繰り返しになりそうだったので釘を刺しておく。 俺の目の前までわざわざ迫ってきた麻奈実のジジイは、喉元まで来ていたであろう叫びを押さえこみながら、俺の質問にしっかりと返答してきた。 「麻奈実の様子がおかしいって言うか……なんというか、とにかく変なわけよ!」 「ロックの言ったのと同じ情報しか含まれてねぇ!?」 「えぇ!? ワシってばロックと同じこと言ったの? マジでショックなんですけど!」 こいつらは本当に家族みんな天然揃いだなオイ! あーあ、ロックが「えっ!? 爺ちゃんが俺と同じこと言ったよ。マジでショックなんですけど!」って顔をしてやがる。 しかしまぁ、こんなところでこの二人のリアクション芸に付き合ってやるほどの暇も心の余裕も無さそうだ。 ひとまず俺は爺さんが出てきた居間と店内をつなぐところで、俺の顔を見て天の救いを求めるかのような視線を向けてくる麻奈実の親父さんとその後ろにいる婆ちゃんに小さく会釈をした。 田村家の居間には買い物に出かけた母と麻奈実を除いた四人と俺が机を中央に皆それぞれの顔が見渡せるように座る。 婆ちゃんが入れてくれたお茶を少し口にするが、いつもより温度が高い気がしたので冷めるのを待つことにしよう。 居間に座った俺は役に立たないロックとジジイを尻目に、親父さんから聞かされた話を頭の中で整理しながらある一つの結論にたどり着いた。 「それって……引き篭もりってことか?」 麻奈実の親父さんから聞いた話によると、俺がアメリカに飛び立った日から麻奈実の様子はおかしくなったらしい。家に帰ってくるやいなや何も言わず二階の自室に飛び込んでいったそうで、何か急ぎの用でもあったのかとさして誰も気に止めなかったらしい。 しかし、夕飯の時間になっても姿を見せずロックが呼びにいったが部屋から出てくる気配は無く、麻奈実が部屋から出てくるのはトイレか風呂に入るときだけだそうだ。 「まぁ今時の言い方だと、それが一番正しいんだろうねぇ……」 俺の言葉に婆ちゃんが困惑した表情でそう返した。 それにしても麻奈実が引き篭もりをするなんて俺は未だに信じられない。 俺の知る限り麻奈実は精神的に病んで病んで参っちまうなんてたちじゃないし、俺がアメリカに行った日から引き篭もりはじめたというのだから、あいつが何かもの凄く気の病むような出来事が起こった記憶も無い。 「本当にどっか身体が悪いってことはないんだな?」 「それは間違いないってあんちゃん。みんな心配して病院に診てもらおうかって言ったら、ねーちゃんが部屋の中からだけど『身体は本当に大丈夫だから!』って、すっげぇ強く言ってきたしさ」 「ふーん……飯はどうしてるんだよ? トイレと風呂のときしか出てこないんだろ?」 「お盆にのせてねーちゃんの部屋の前に置いとくんだよ。……でも、ほとんで食ってないみたいだ。ご飯もおかずも半分以上残してるし」 「なんだよそりゃ、やっぱ病気なんじゃねぇのか? 無理矢理にでも部屋に入って、様子見たほうが良いだろうよ!」 「それが無理なんだよ。ねーちゃんがどうしても一人になりたいって言うんだから。一回だけ無理矢理入ろうとしたんだけど、そしたらねーちゃん中から凄ぇ声で絶対入っちゃだめって叫んだんだ。俺、ねーちゃんがあんな大きい声出すの初めて聞いたよ……」 「むっ……そうか。…………チッ」 あまりの苛立ちと歯痒さに俺は思わず舌打ちをしてしまった。どうやら今までには無いほど麻奈実は不安定な状態らしい。 実際にその声を聞いたわけではないが、その異常さは話だけでも片鱗が伝わってくる。 なんせこんなしょぼくれて心配そうな表情のロックは初めて見たからな。 なぜこんなことになってしまったのか、俺にはまったく思い当たる節が見当たらない。それ故に明確な改善の方法も思いつかない。 しかも俺がアメリカに行った日に引き篭もりはじめるという、まるで悪魔的に絶妙なタイミングである。 原因がわからなくても、引き篭もりはじめた初日から毎日通っていれば麻奈実は今頃普通に過ごしていることが出来たかもしれない。 例え引き篭もりが続いていたとしても、麻奈実の心に何らかのアプローチはかけれたはずだ。 俺のアメリカ行きの件を麻奈実は知らないから、結果的には俺がずっとあいつを放置していたことになってしまう。というか、麻奈実にそうとられてもおかしくない。いや、おそらくあいつはそう思っているだろう。 今日の昼にかけた電話に出なかったということは、散々知らんぷりを決め込んでおいて何を今更という許せない気持ちだったに違いない。 そう考えたら、俺にはこの場にこれ以上一秒でも長く留まっていることは本能が許してくれなかった。 「……行ってくるぜ。麻奈実の部屋に」 すっかりぬるまってしまった婆ちゃんが入れたお茶をズズッと一気飲みをして、俺は力強く立ち上がり居間から廊下へと歩きはじめた。 気づいたことがある。どうやらお前の入れてくれたお茶じゃないと、俺の口には合わないらしい。 田村家の面々は俺を止める気は無い。むしろこの未曾有の危機を唯一解決できるかもしれぬ英雄の出陣を見守る平民のように、期待の込められた視線を送ってきているようだ。 他人に話したら、家族すら入り込む余地が無いのにたかが幼馴染が何になると鼻で笑われるかもしれない。 だがな、そんなことを言う輩には俺からはこの一行をメール便で百通ぐらい送ってやる。 たかが幼馴染、されど幼馴染だ。 その一行は、言うなれば長年培ってきた俺と麻奈実の絆がなせることだろう。 想像してみろよ。大して変わった会話も無く、いっつも同じようなゆったりとしただけの日々を何年もの間過ごして、飽きることなく大学までいっしょに行こうとしているんだぜ? しかも大学卒業後でも、きっと今までと変わらない日が続くと心のどこかで思い期待している。 悪いがもう俺と麻奈実はすでに家族みたいなもんなんだよ。 ……あぁ、心の中でとはいえ何て恥ずかしいこと言わせやがる。こんな状態にならねぇ限りと二度と言わないからな。 田村家の二階にある麻奈実の部屋に行くために階段を上りながら、俺が行けばきっと大丈夫などとまるで暗示か何かのようにずっとそう唱えていた。
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/319.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1290468634/748-761 30、海岸・岩場 京介「俺は常々、普通や無難が一番いいって思って生きてきた。 なのに、あの日から全てが変わっちまった……」 京介と桐乃が並んで座っている。波の音が繰り返し聞こえる。 二人の後ろには防砂林が並んでいて、道があり、子供や漁師 が行き来している。 京介は場に似つかわしくない絹仕立ての着物を着ていて、 領民達の注目を浴びている。 桐乃「……」 桐乃は京介の言葉に涙を浮かべてジッと堪えている。 京介はそれに気づかない。 京介「いや、足を滑らせて溺れちまった俺がアホなんだろうさ。知っ てっと思うけどよ、俺の弟の光輝は勉強も武芸もできて、顔もいい。 俺なんかよりずっと跡取りに向いてるんだ。そう思ってたから、まあ ここでおっ死んでもしゃーねーかなーなんてちょっとは思ったんだ」 桐乃は京介の手を掴むと、イヤイヤするように首を振った。 京介、少し驚いて、桐乃を宥める為に頭に手を置く。 京介「いやちょっとだけだぜ? ちょっとだけ。俺だって死にたくねー もん。だから一生懸命足掻いたね。でも、後から聞いたら、こういう 時は一回力を抜いた方が正解なんだってよ。まあ、お前は俺みたいに 間抜けじゃねーか」 桐乃、溺れた時の対処法に頷く。 京介「まあ、そん時の俺は一生懸命あがいたんだわ。手足バタバタさせ て。でもちっとも助かりそうにない。水泳の練習もっとやっておけば 良かったって、あん時は思ったな。それで気づいたんだ。結局、俺っ てヤツは何か一つでも真面目にやってきた訳じゃなかったんだって。 その癖、俺は弟に嫉妬してた。情け無いったらありゃしないぜ」 京介、桐乃から視線を外し、海を見る。 京介「そう思ったとき、アイツが俺を助けてくれた」 京介の「アイツ」という単語に、桐乃は嫉妬で眉を曲げる。 京介「溺れた経験から、俺はこれからもうちょっと頑張って生きようっ て思ったんだ。まあ……助けてくれたアイツがスゲー可愛くて……ア イツに振り向いて貰おうって下心もあるんだけどよ」 京介は照れ隠しに頭を掻く。 SE 大波の音 ナレーション「違うの! アンタを助けたのはあの黒いのじゃない! あたしなの! ……人魚の桐乃姫は何度も叫んだでござる。しかし、 魔女との取引で足の代わりに声を失った桐乃姫の言葉は、京介殿には 届かなかったのでござった」 胸元を掻きむしる桐乃に、京介は気づかずに続ける。 京介「こんなこと、お前にしか言えねーけどよ。アイツは……仏門に入っ ちまった。色々頑張ったけど仕方ねぇか。初恋は実らないって言うしな」 桐乃、怒りで顔を真っ赤にして、京介の胸を叩く。 京介「俺に諦めるなって言ってるのか? けど、無理だ。俺は明日、隣の 国の姫さんと結婚しなきゃならねぇ。恋も大事だけど、国も大事なんだ」 桐乃、腕を振り切って京介の頬を叩く。 SE ビンタの音 「痛ってぇぇ~~!? 本気で叩くことねぇだろうが!!」 「はあ? うっさい、本気で叩かなきゃリアリティないじゃん!!」 舞台袖で待機していた黒猫が、妹に細波の音を出す小豆入りの箱を動かすのを止めさせるのが見えた。 稽古は一時中断。まあ中断させたのは俺だけどさ。 「きりりん氏、きりりん氏、確かにリアリティは大事でござるが、役者の顔はもっと大事でござる」 「こんな平々凡々の顔、そこら辺にいくらでも転がってるっての」 桜色の小袖に身を包んだ桐乃は腕組みをして、頬を膨らませた。 俺を平々凡々の顔と言うだけあって、この妹様の顔はこんな表情でも可愛らしい。 と、俺が部外者なら、つーか頬さえ叩かれてなかったら、思っただろう。 「京介氏も、まあそう怒らずに。きりりん氏もつい、役に入ってしまったのでござろう」 「そうそう、沙織わかってんじゃん。やっぱあたしってば、誰かさんと違って何でも出来ちゃうからさー」 「ふ……確かに、他の雌に尻尾を振って、自分を女として見てくれない男に対する嫉妬なんか 見事なぐらい感情移入できていたわよ。ハマり役だわ、人魚姫さん」 「なっ……は、はん! アンタも役になりきって頭剃ったらどう? その鬱陶しい黒尽くめも、頭の反射で少しは明るく見えるんじゃない?」 いつものように喧嘩を始める桐乃と黒猫。 何だろう……この叩かれ損は。 「大丈夫ですか、お兄さん」 あやせたんが冷たいタオルを渡してくれたよ! やったね京ちゃん!! 「あの、お兄さん……」 「ん、ああ、気にすんなって。あれはアイツらのスキンシップみたいなもんなんだから」 喧嘩する桐乃を不安げに見るあやせに、俺は説明した。 というか、同じく二人の関係を知らない黒猫妹が涙目になってて、 流石に桐乃と黒猫も喧嘩を止めたようだ。 「つーかよぉ、加奈子の出番まだかよ?」 「そうでござるなぁ、じゃあシーン36の練習を始めるのは如何でござる? 黒猫氏~、拙者は隣国の姫役で舞台に上がるので、監督を頼むでござるよ」 なんで俺達が「大江戸版人魚姫」なんかを演じているかというと、話は少し前に遡る。 その日、いつものようにオタクっ娘三人が我が家に遊びに来ていた。 そしていつものように桐乃と黒猫が喧嘩を始め、俺と沙織は二人の仲裁に入ったわけだが 沙織の様子が少しおかしいと感じた俺は、頃合いを見計らって訊ねてみたんだ。 「人の心に踏み込むには、それなりの資格がいる……」 「友人という資格じゃ、ダメなのかよ? バジーナ大佐」 「私は大尉だよ。……ふう、どうして分かったのです?」 いつも思うが、メガネを外して急にお嬢様モードになるのは反則だ。 別に大した質問じゃないってのに、心臓がバクバクして答えが見つからなくなっちまう。 「い、いや、俺達って似たようなポジションだからじゃね? 今日も桐乃と黒猫の間に入ってさ。 そん時に、なんか沙織がいつもと違うなーって、まあ、そんな感じかな」 「そんなに優しくしないでくださいまし……過剰な期待に、甘えたくなるではありませんか」 「ふ…バジーナ……いや、沙織、俺に甘えにきたまえ」 とちょっと小粋なガノタトークの後、沙織は滔々と語り出した。 要約すると、姉との思い出の劇場が閉鎖されることになって、胸を痛めているらしい。 その劇場は小さな劇場で、町や市のちょっとしたイベントに使われていたりしたらしいのだが 昨今の不況の煽りで閉鎖されることに。それは仕方無いにしても、最後にその劇場に何かをしてあげたいのだそうだ。 その為に劇場の使用許可も取った。 しかし、何をすればいいのか分からない。予算はあるので、有名な劇団を呼んだり、コンサートを開いたり そういう事はいくらでもできる。しかし、そうやって劇場に人が集まれば それが劇場にとっていい最後であると、そう言い切っていいのだろうか? 沙織はそんな風に悩んでいたのだ。 そっから紆余曲折を経て、俺達素人が寄って集まって劇なんかやってみたりすることになった訳だ。 入場料? そんなのとれる訳がねーじゃん。俺達素人だぜ? 体裁としてはチャリティーというか、ボランティアというか、そういうことだ。 近所の小学校とかにチラシ配ったりしてよ、大道具なんかも色々手を尽くして安く仕上げた。 小道具なんかも、最近は100均でなんでも揃うしな。 素人とは言ったが、メンバーは結構華やかだ。何せ桐乃たちはモデルだし、黒猫や沙織も間違いなく美人だ。 麻奈実は家から和菓子持ってきて配ってくれるし、案外、当日は人が入ってくれるんじゃないかとちょっと期待したりしている。 そんな期待がある分、やっぱハンパな演技は見せられないってんで練習にも気合いが入るって訳だ。 桐乃のビンタも、まあそんな所かもな。 俺は舞台の上で熱演する桐乃達の声をBGMに、台本を捲って自分の台詞をもう一度確認した。 「桐乃っ! あんな男、桐乃には必要ない! 必要ないよ!!」 「つーかさー、マジありえなくね? 隣国のお姫様がちょっと美人だからって あの馬鹿殿なんでノリノリで結婚しようとしてるワケ? あいつ、黒猫尼が好きだったんじゃ無かったじゃなかったのかよ? 誠氏ねってレベルじゃねーぞ」 「大丈夫だよ桐乃、あんな男、私が埋めてあげるから……また一緒に海で暮らそう? ね? もう人間になんてならなくてもいいじゃない。そうでしょ?」 「魔女から魔法の短剣貰ってきたからよー。コイツでブスッとアイツ刺せば お前は声と足が戻って、加奈子達と一緒に暮らせんだよ。 あ? 髪? うっさいなー、ちょうど切りたかっただけだっーの。 加奈子達の髪やったら短剣くれるって言うし、こういうのってアレだろ? Winwinってんだろ?」 「こうして、人魚の友達から桐乃姫は短剣を送られたのでござった」 しっかし、加奈子の言うとおり、この若殿ひでーヤツだな。 脚本の瀬菜は原作の人魚姫に少々のアレンジを加えたって言ってたが、 子供に見せんだから素直にディズニー版で良かったんじゃねーの? あ、ちなみに瀬菜が最初に書き上げた段階では、登場人物全て男でした。もちろん設定変更したけどね! 「京介お兄様」 「ん、次は結婚式のシーンだな」 と、台本から顔を上げると、そこには天女にいました。 「京介お兄様?」 沙織さん、マジ天女。 結婚式なんだから白無垢が正しいんだろうが、それだと舞台映えしないってんで 色々黒猫が頑張った結果、天女が降臨してしまったというミラクル。 つーかもう天照大御神。 そりゃ俺だって、この女神様引っ張り出すためにゃ裸踊りしちゃうぜ。 「……いかん、こりゃ若殿のこと言えねーわ、俺」 結局、短剣を使わなかった桐乃は海の中に飛び込む。 閃光と同時に、舞台が変化した。 これは手前の海の絵をフラッシュペーパーっていう、マジックとかでよく使う紙に描いてあるんだ。 火を付けると一瞬で光って消える紙で、その下に描いてある雲の絵が現れる。 空に登った桐乃は、妖精のブリジットに告げられる。 「私達は空気の精になって、暑い国の人達に涼しい風を送ったり 花の香りをふりまいて人々を爽やかな気分にさせたりするんですよ。 そうやって善行を積めば、人間と同じ魂を授かることができるのです」 つまり、人魚姫はバットエンドなんだが、救いがある結末ってことだな。 っていうかブリジットちゃんのピクシー似合いすぎ。 いや、妖精の方だよ? グランパスの監督とか、ダガーもったガンダムとかじゃなくてね? 劇場の時計を見ると、結構いい時間だ。 もう閉鎖する劇場で、予定も入ってない為に、いくらでも稽古には使えるのだが 参加するみんなにはそれぞれ予定もある。今日の練習はここまでだろう。 . . 講演まで一週間を切ったある日、俺は学校帰りに劇場を訪れていた。 今日はみんなの予定がつかないので稽古は休みだ。 舞台をやってみて分かったことが一つある。 確かに台本作ったり、道具揃えたり、衣装用意したり、演技の稽古したり、みんな大変だけど なによりもこうやってみんなのスケジュールを合わせて予定を組むのが一番大変だということ。 言い出しっぺの沙織が監督で、俺はその助手みたいなポジションになってたから、それがよく分かった。 沙織は俺よか2つも年下なのに、ホントにスゲーよな。 夕日の色に染まる劇場を眺めながら、寒さにコートのボタンを閉じた。 「お一ついかがですか?」 頬にじんわりと温かな塊が押し付けられる。 「沙織…?」 制服姿の沙織が焼き芋を持って立っていた。 「沙織でも焼き芋食べたりするんだな」 「なんですか、それ?」 クスクスと上品に口を隠して、沙織は笑った。 それだけのことなのに、俺は照れて明後日の方向に顔を逸らしちまった。 だってよ、お嬢様モードの沙織は顔は超美人だし、身体はボン!キュ!ボン!だし、俺なんかより全然大人って思ってしまうんだが それなのに中学生の制服着てるアンバランスさ! メラ系とヒャド系を融合させた結果、メドローアできちゃったよ、コレ!? 「焼き芋とか、俺らみたいなのの食べ物じゃんか」 「あら、ひどいですわ。京介お兄様は、こんなに美味しいものを独り占めしてらっしゃいますの?」 「いや、だからさ、沙織みたいなお嬢様でも焼き芋食べるんだなーって……アレ? 同じ事言ってる?」 「ふふ……だって美味しいじゃありませんか、焼き芋」 そりゃそうだ。美味いもんを美味いと思うのに、身分は関係ないか。 「この焼き芋だって、そこの角のお店で買ったものですもの。別に目黒で購入したわけじゃありませんよ」 「そいつはお後がよろしいようで」 俺達は暫く焼き芋を頬張って時間を過ごした。 そうやって並んで何も喋られないでいても苦にならないのは、麻奈実とコイツぐらいだ。 といっても、お嬢様モードのコイツにはメチャクチャドキドキするけどな。 「京介さん」 「ん?」 お兄様、ではなく沙織は俺の名前を呼んだ。 友人の兄ではなく、俺個人に何か言うことがあるのだろう、俺はそんな風に解釈した。 「ありがとうございます。色々と……」 「いきなりお礼を言われてもな。劇の事なら、俺は好きでやってるんだ。他の奴らも多分そうさ。 だから、そんなに畏まって感謝しなくていいし、その言葉は劇が成功した後で聞きたい」 「でも……私一人では、きっと出来なかったですもの。きっと、思いつきもしませんでしたわ」 「んな事はねーよ。俺は背中推しただけ」 焼き芋を食べ終わった俺は、クシャクシャと芋を包んでいたアルミホイルを潰した。 「そういやさ……お姉さんには劇の事、言ったのか?」 「え? お姉様に?」 「お姉さんとの思い出の場所なんだろ。声、かけてみたらどうだ?」 「海外にいるお姉様は忙しくて、こんな場所には来てくれな……」 「ストップ」 愁眉って言葉がある。 昔の中国に、西施っていう美人がいて、ソイツが胸に手を当てて愁いの顔で眉をひそめる様がスゲー可憐で評判だった。 そんなわけで、その地方の女の間で胸に手を当てて眉を曲げるポーズが流行ったんだが そのポーズは西施がやるから可憐なんであって、他の女がやっても美しくは見えなかった、なんて話が由来だ。 何が言いたいかっていうと、沙織みたいな美女がやれば、苦しむ様でも充分見惚れちまうって事だ。 だからね、俺結構頑張ったんだぜ。だって、沙織が苦しんでるの放っておいていいわけないだろ? 「やってもいない内から弱気すぎるぜ。声かけるだけかけてみたって、いいじゃねぇか。 姉貴なんだろ? 向こうだって、お前から一言も無しにこんな事やってるって知ったら哀しむと思うぜ」 言ってから、俺は気づいた。 それが家族なら当たり前なんだ、と言えるようにまで、俺と桐乃の関係は回復したんだと。 ちょっと前の俺と桐乃のままだったら、俺の口からこんな言葉は出てなかったと思う。 アイツが何かしようと、俺には関係ないと思っていただろうし、俺に告げないことを哀しいとも思わなかったろうな。 「思い出の劇場が無くなるのが辛いぐらい、お前はお姉さんのことが好きなんだろ? 大切なんだろ? そりゃ、今はちょっと疎遠になっちまったかも知れねえけどさ、そんな簡単に消えるもんじゃ無いだろ、姉妹の絆って」 冷え切ったと思っていた。 一緒に住んでるだけの、他人だと思っていた。 けど……それでも…… 桐乃が俺を頼ってきた時、俺は……嬉しかったんだと思う。 桐乃に、コイツや、黒猫みたいな友達ができて、ホッとしたし 親父に桐乃の趣味がバレた時、全部俺が責任おっ被ったのは…… 結局、俺はアイツとは他人なんかじゃなくて、 どんなに関係が冷え切っていても、アイツはやっぱり妹で、俺は兄貴で 俺がアイツの為に行動する理由なんて、それで充分だった。 「もし沙織が連絡して、音沙汰一つ無い、沙織が頑張ってるのがどうでもいい、そんな反応だってんなら そいつは姉貴なんかじゃねえよ! そんな家族捨てちまえ! なんなら俺ん家の子になるか?」 ……アレ? なんか勢い余っておかしなこと言ってねーか? 「そりゃウチはお前ン家みたいな金持ちじゃねえけどよ、絶対にお前に寂しい思いなんかさせねぇぜ! 俺がさせねぇ! 俺がお前の兄貴になってやる。なぁに、桐乃の無茶に散々つきあわされているんだ。 今更お前一人増えたところで、全っ然問題にならないね! むしろ自慢の妹が増えて鼻高々だ!!」 「きょ、京介さん……」 俺に肩を掴まれた沙織が、食べかけの焼き芋を地面に落とした。 「あ……わ、悪りぃ。驚かせちまったな。それに、お前のお姉さんのこと、勝手な想像で悪く言い過ぎた」 「いえ……私、京介さんの言うとおり、お姉様に連絡してみますわ」 イチョウの葉が舞い咲くような微笑みで、沙織は俺を見つめ返してきた。 ああ、やっぱり美人は愁いの表情なんかより、笑顔が一番だな。 一方その頃、桐乃は―― 「アイツ、今日は予定無い筈なのになんであたしより帰るの遅いわけ? ありえなくない? あたしがこうして一緒にエロゲやろうって部屋で待ってるのにさ。 それにしても、相変わらず殺風景な部屋よねー。あいつの没個性っぷりを象徴してるみたいな? お前はエロゲの前髪主人公かっての! はーヤダヤダ、そんなんだから地味子ぐらいしか 構ってくれる女がいないのよ。他は妹のあたしぐらいじゃん? うわダサッ。 ……遅いなぁ、兄貴。 ん……なんだろ、これ。……ああ、劇の衣装か。アイツ劇場に置かないで持ち帰ってるわけ? そういえばマスケラのコスプレしてた時もノリノリだったし……部屋で着てポーズとってたりしてないよね? うっわーキモっ! 超キモッ! 完全ラストサムライじゃん。ラストはオワタの意味だけどね。 ……これ、カツラか……(キョロキョロ)……スンスン……うわっ、これ臭いキツっ! 帽子とかシャツの比じゃない。舞台練習で汗掻いているから? この兄臭、パンツレベルじゃん? ランクで言ったらA級。もう魔界に帰ることが出来ないレベル。要・次元刀。 ……待って、ってことはあたしの衣装も相当ヤバい感じ? いやいやいや、兄貴とあたしじゃ全然違うし。 兄貴が鉄人28号だとしたら、あたしは鉄人28号FXぐらいには改良されてるし、臭いも薄い。 け、けど、兄貴の臭いを嗅ぐことで、あたしの臭いを想像することはできるよね? そ、そう、だからこれはあくまで、あたしの為。あたしが恥ずかしい思いをしたくないから、 だから兄貴の衣装を嗅ぐ。うん、大丈夫、何にもおかしな所はない。 よし、じゃあ……スンスン……スンスン……き、き、き、切り捨てゴメェェェェェェェェェン!!! 兄貴・ザ・侍キタコレ! 間違ったブシドーキタコレ!! 兄貴のマスラオ包んだ兄貴の袴! 袴の臭いで、墓場まで飛んでっちゃうっ!! キラッ☆ 流星にまたがって、兄貴に急降下ぁぁぁぁん!! なにこの性感飛行! 兄貴何時の間に松本隆なみの作詞力身につけた? 超策士っ! 着物でチョンマゲなのに、兄貴の背中には羽根がある? それどんな厨二病!? きもっ そうやって、あたしのこと見下ろしてるけど、わ、わかってんのよ、あんたの心の中、君に胸キュン状態だって! はぁ…はぁ…ヤバイよ、侍兄貴ヤバイ、どれぐらいヤバイかっていうと、討ち入りしちゃうぐらいヤバイ 世界の中心で妹にチュウしちゃう忠臣蔵!みたいな斜め上の映画が中欧で注目されちゃったような状態! スーンスーンスーン……はぁ、このなんとも言えない、兄貴サムライな臭い。例えるなら荒川の橋の下の臭い。 これを世界中に発進しちゃっていいわけ? 日本古来の精神としてANIKI紹介しちゃう? 新渡戸越えちゃう!? 台湾で国兄扱い受けちゃうの!? 共産党批判して京ちゃん党作っちゃう!? わ、わかってんのよ? あんたの狙いなんて……そうやって人種的差別撤廃提案の中にこっそり兄妹婚を認めさせるつもりなんでしょ?! と、とんだ侍よね。悪党、悪党でしょ? 千早(B72)城で籠城しちゃうんでしょ? 貧乳好きとかキモッ そ、そりゃ胸は大きくないほうが着物は似合うけど? つまりアンタは妹に着物プレイをしたいわけ? 変態っ! 変態っ! な、なにが女性の着物の合わせ目は横からおっぱい揉みやすいようにできてるよ!! あたしがアンタ以外に揉ませるわけないじゃん! めちゃくちゃガードするっての! 無理だかんね? 普通にやって、あたしは犯されないから! で、でも兄貴がもし大典太抜いたら? 兄貴の大典太があたしに迫ってきたら? 裂かれるっ! 着物も処女も簡単に裂かれちゃうっ! 兄貴の童子切で処女切られちゃうっ! 兄貴マジ鬼畜っ! 兄貴もう完全に鬼丸と化しちゃった! あたし生死の狭間で兄貴の数珠丸膨れて精子命中! 三日月までトンじゃうっ!! あたし乱れまくりっ! 花の乱っ!……ハァ……ハァ……あ、後始末しないと…… 兄貴が帰ってくる前に……うぅん……その前にちょっとだけ……兄貴のベットで寝よう……」 誰も居ない舞台を、俺と沙織は歩いていた。 あの後、俺達は何となく別れたくなくて、 沙織は劇場の鍵を持っていたのを良いことに、誰もいない劇場に入ってみようと そんな、子供みたいな好奇心を理由で中に入った。 暗い舞台で、客席側の通路にある非常口を示す緑色のランプだけが存在を示している。 「劇さ……上手くいくといいな」 前を歩く沙織に向かい、俺は語りかけた。 「ええ。きっと上手くいきますわ。黒猫さんもおっしゃっていた通り、皆さんはまり役ですもの」 「……俺、あんなに酷い男じゃないぞ?」 人魚姫の好意に気づかなかったり、尼に惚れてみたり、お姫様に鼻の下伸ばしたり……さ。 「私もそう思います。京介お兄様はもっと、酷いですもの」 「おい!?」 「あの若殿の倍はフラグ立ててるでござるよ?」 バジーナの口調になって沙織は話すが、メガネを掛け直したのだろうか? あるいは、この暗がりなら、つまり自分を誰かに見られていないのなら 沙織のコスプレは、沙織の気持ち次第で着替え可能だったりするのか。 「後は……きりりん氏も、似てないでござるな」 「ああ、アイツなら声が出なくなっても、好きな奴には好きって絶対伝えるよな」 惚れた男が、自分を好きになってくれるまで待つなんて、桐乃とはかけ離れている。 「本当に……酷いお話……」 葉っぱの滴が地面に落ちたように、ポツリと沙織が呟いた。 「ちょっとだけ、救いがあるだろ。一流の悲劇より、三流の喜劇のほうが、俺は好きだぜ」 「……きりりんさんが人魚姫なら、きっと諦めないと思いますわ」 お嬢様の口調に戻った沙織が、舞台の中央で踊るようにターンをした。 「人間の世界で生きることも、好きな人から愛されることも、両方手に入れようとする筈ですわ」 「ん……確かにそうかもな」 尼や隣国の姫に身をひくなんて、桐乃には一番似合わない、か。 「でも……隣の国のお姫様だって、簡単には渡さないと……思いませんか?」 「姫さんが惚れるような男じゃねーって」 沙織が芝居がかった動きをして、ここが舞台で、俺もなんか俺じゃないような そんな気分になっていたんだろうな……俺は沙織に近づくと、手を取って口付けをしていた。 「お姫様には、もっとマシな王子様がお似合いだ」 「私が待っているのは王子様ではないの、ごめんなさい。 私が待っているのは、私を外の世界へ連れ出してくれる人。 忍者でも、怪盗でも、構わないのですよ。でも、一つだけ、ダメなものがありますの」 「それは?」 「……お兄様。お兄様だけは、ダメ」 ピタリと、BGMが止んだ気がした。 元からそんなものはかかっていなかったんだが、今まで、この瞬間までは 宮廷に流れるような、オーケストラが奏でる音楽が、存在するような錯覚が確かにあって 俺は沙織の演技に付き合っていたんだ。 「だって……」 沙織の声だけが、劇場に残る。 「兄貴とは、結婚できないから」 それは告白だったのかも知れない。 十数分前の、「俺の妹になれ」といった事に対して、「妹はヤダ。恋人がいい」と。 ただ、そう受け取るにはあまりにも…… 「誰の、真似だ……?」 答えたのは沙織ではなかった。 お嬢様の沙織でもなく、オタクの沙織でもなかった。 別の誰かを演じて、沙織は答えたんだ。 俺を「兄貴」と呼ぶ人物になって。 「沙織は、演技の才能はあるけど、シナリオの才能はないな。そいつはちょっとした超展開だぜ?」 俺の作り笑いには応じず、沙織は俺の横を通り過ぎていった。 「これは拙者の……ちょっとしたフェア精神でござるよ。情け無い恋敵に勝ってもしょうがないでござるからな。 まあその実……拙者が納得したいだけの、卑怯なフェア精神なのかも知れないでござるが」 クルリと、先ほどのターンより大分もたつき、時間をかけて沙織は振り返る。 「京介お兄様は厭。京介さんがいい……」 新雪の雪を踏んでしまうような、そんな儚げな声だった。 その声だけで、俺はどうしようもなく心をかき乱された。 この世にこんなに美しいものがあったなんて、知らなかった。 五感の内、たった一つ、聴覚だけで、 体中の骨が溶けてしまうほどに甘く、体中の肌に電気が走ったように痺れた。 電気がついてなくて良かった……顔が真っ赤で、とても見せられるもんじゃない 後で、この時について、同じ事を俺と沙織は言った。 ただ、二人の間に差違があったとすれば 俺は男の意地もあって、立ち続けていたが、沙織はその場に踞ってしまった。 その音に、何かあったのかと俺は慌てて駆け寄った。 「おい、沙織!? 大丈夫か……」 「いや……恥ずかしい……」 両手で顔を隠して、沙織は頭を振っていた。 元から恥ずかしがり屋の沙織だが、告白には相当の勇気を振り絞ったのだろう。 そんな事をさせた自分が、非道い罪人のような気がした。 「沙織……」 そして、それ以上に……その沙織の姿が愛おしかった。 今までに見た、どの沙織よりも、等身大の、俺より二つだけ年下の女の子だった。 「沙織っ!」 彼女の身体を抱きしめた時、胸の奥で何かがチクリと痛んだ。 丁寧に積み重ねてきたレンガ造りの家から、一つ石を抜いたように。 この石が無くなっても、家は崩れることはない。 だけど、この隙間から冷たい風が、家の中に入り続けるんだ……そんな事を考えた。 「京介…さん……」 これだけ近づけば、暗がりだろうと沙織の顔を覗くことができる。 そして、沙織の瞳が揺れているのが分かる。 きっと俺の心が揺れているから、こいつの心まで揺れちまってるんだろう。 「………」 その揺れが、奥に引っ込んでいこうとしていた。 すると、さっきまでの沙織まで居なくなって、 いつもの、気配りができる、俺より年下だってことをつい忘れちゃうような完璧な沙織になるんだ。 それでいいのか? 俺が抱きしめた沙織は、愛しいと思った沙織は、もっと弱さも持っていた少女じゃなかったのかよ? それを隠しちまったのは、俺が怯んだからだ。 沙織との新しい関係を選択することで、失うものがあることに躊躇いを感じたからだ。 じゃあ、それを守れば俺は幸せなのか? 無理だ。 だって狂おしいぐらいに、想っちまった。沙織を好きになっちまった。 「悪りぃ……」 それは、この場にいない、ソイツに向けて放った言葉だった。 俺はその言葉の後に、沙織の唇を奪った。 . . 「なあ桐乃、お前は俺と姫の結婚を祝ってくれるだろう? 人はこれを所詮は政略結婚というかも知れない。けど、俺は本当に姫を愛しているんだ。 それを祝ってくれる人がいないんじゃ、俺は喜べないんだ。 父上や弟も喜んではくれるだろうさ。けど、俺はお前に祝ってほしいんだ。 お前は俺の大切な……んぐ!?」 友人だから、とセリフが続く筈の所で、桐乃は俺の口を塞いだ。 ……唇で。 ませたガキ共が、観客席で沸いているのがわかる。 「な、何を……」 俺が驚くよりはやく、桐乃は舞台袖へと賭け逃げていった。 混乱する中、黒猫が慌てて照明を落として場面切り替えをするように指示し、 あやせがドス黒いオーラで、俺を●そうとしているのが見えた。 ……18年か。結構生きたな、俺。 兎に角、ひたすら土下座を繰り返し、 あやせから「劇が終わるまでお兄さんの命は預けておきますね」との言質を頂いた。 やったね! あと数十分だけ長生きできるよ!! 「……沙織、次は出番だぞ?」 花嫁衣装に身を包んだ沙織が、ソワソワと観客席を覗いていた。 理由は分かる。お姉さんを捜しているんだろう。 沙織から聞いた話では、舞台は「見に行きたい」とメールが帰ってきたそうだ。 だが、客席に沙織のお姉さんの姿はない。 しかしですね、恋人が妹にキスされても気にされてないってのはちょっと哀しーです、沙織さーん。 カラン……と、厳粛な音楽が流れるなかで、盃が沙織の手から零れた。 といっても、劇中で使用しているので、盃の中に酒が入っているわけじゃない。 「も、もうしわけありません。私、この日を楽しみにしていましたので…… 緊張で粗相をしてしまいましたわ。京介様、ダメな妻だと思わないでくださいましね?」 アドリブで結婚式の演技を続ける沙織に、 俺は(上手い返しも思いつかなかったので)ただ頷き、演技を続けた。 沙織がミスをするなんて珍しい……そう思いながら、彼女の視線を追うと 劇場の入り口に、この場には似つかわしくない上品な服(とはいえ、場違いではない)に身を包んだ 妙齢の女性が立っていた。急いでいたのだろう、肩を上下に動かしている。 沙織と同じ、アッシュカラーの髪の毛と瞳。 これであの女性が沙織の姉じゃないとしたら、とんだミスリードだぜ。 「兄上、この度の祝言、誠にめでたく存じ上げます」 弟役の御鏡が、折り目ただしく礼をする。 いや、かえって浮いてるけどね!? その完璧な時代劇の演技! 「いやメデタイ! メデタイ! 美人の嫁さんもらえて、高s…京介は幸せもんだ!」 赤城の野郎は完全にバカ親だ。っていうかケツを観客側に向けるんじゃねぇ! 「京介様、これからも末永く可愛がってくださいませ」 と、沙織は俺の手を握り…… 「ん!?!」 桐乃に続いて衆目の前で、俺の唇を奪っていきやがりました。いやん、もうお嫁にいけない。 その後、劇はまずまずの好評を得、終了し 俺は沙織のお姉さんと沙織と三人で少し話した後、打ち上げに合流した。 沙織のお姉さんとはあんまり話せなかったのが少し心残りだ。 初対面で緊張した事もあるが、向こうも忙しい時間を縫って駆けつけてくれたらしい。 俺なんかと違って、妹思いのいいお姉さんだ。 最後に「妹を頼みます」と言い残して帰っていった。魂抜けたね、そん時は。 んで、その打ち上げのカラオケボックスで 桐乃に「アレは演技だから勘違いしてんじゃないわよ!」と蹴り飛ばされ 黒猫に「本当に節操のない雄ね」と冷たく罵られ あやせに「●んでください」とナイフとフォークを投げられ 加奈子に「ついでだから殴ってやんよ」とカエル飛びアッパーを食らい 麻奈実の「ごめんね、砂糖と塩間違っちゃったみたい」という和菓子を喉に詰められ 瀬菜にふっかけられた赤城に「お前はファーストキスじゃないから我慢してくれ」と×××され 劇の成功を喜びあった。 ……うん、喜びあったんだよ、本当に。 沙織に膝に沈んだ俺をブリジットちゃんと黒猫妹にナデナデされたのが唯一の救いだったぜ。 「……って、桐乃さん、この領収書は一体?」 「今日の打ち上げ、アンタの奢りだから」 「どーやったらカラオケでこの額になるんだよ!」 「メニューの全品頼んだら?」 道理で皿が多いと思ったよ! うう…近くにATMあったかな…… 「言っとくけど、沙織にお金借りたら、アンタのこと一生ヒモって呼ぶから」 「借りねーよ!」 「んじゃ、あたし達は二次会のボウリングに行くから。あ、人数足りてるからアンタ達はこないでね」 「なっ…お前なぁっ!」 言いたいことだけ言って、俺の言い分は聞かずに出て行きやがったよ、ウチの妹様は。 俺は兎も角、沙織までハブっておかしいだろ。お前の友達だよ?! 今回の劇製作の主役っていっても過言じゃないんだぜ、沙織は! 「お兄さん、お兄さん…」 「あんだよ、御鏡…」 「これ、使ってください」 こっそり、輝きをもつカードを差し出すイケメン(外面) 「御鏡……悪いな、後で返すから」 「いいですよ。楽しかったですから」 くそっ…なにこのイケメン(中身)。この前はゴメンね。 「はぁ……」 「きりりんさん達に感謝ですわね」 「なんでだよ」 「京介さんと私に気を使ってくれたのだと思いますわ」 ……そういう事なのか? 他の連中は兎も角、桐乃は俺に嫌がらせしたいだけなんじゃねーかなぁ…… つーかバレてんのね、俺達の関係。別に隠してた訳じゃないけど 劇に集中しなきゃいけないときにゴタゴタするのもアレだと思って、しいて発表もしてなかったが。 「京介さんはきりりんさんに対してだけはニブチンですわね」 「そーかぁ?」 「そうですわ…ぁんっ…」 質量をもつパイオツを、俺のテンタクラーロッドが揉みしだく。 うーん、何度揉んでも手から零れてしまう、圧倒的な物量。戦いは数だよ、兄貴。 「んっ…ダメですわ……こんな所で……」 「まだ使用時間残ってるから大丈夫だって」 沙織の服のボタンを外し、そのたわわな膨らみを外気に解放させる。 触り心地のよい、高級そうなブラも取っ払う。 ううん、今年のクランベリーは発色がよく、小ぶりだが瑞々しさがありますなぁ~ツンツン☆ 「っぁ…ふぁっ……んっ…っぁ…」 「桐乃に蹴っ飛ばされた頬が痛てーんだよ。な? ナデナデしてくれよ」 沙織の15歳が持つには不相応な双丘に顔を埋め、擦りつける。 「京介さん…あっ…ぁっ……」 俺より背は高いし、肉感たっぷりな沙織ではあるが、それでも俺が抱えられないぐらい重たいわけじゃない。 沙織の胸を堪能しながら、そのくびれに腕を回し、場所を交換する。 カラオケボックスの安いソファに背を預け、沙織の身体を受けとめた。 「ん…じゅっ…ちゅるっ……ちゅっ…ちゅっ……」 体面座位の形になった俺達は、意馬心猿とばかりにお互いの唇を啜りあう。 「…っは…んふっ……ちゅるるっ…じゅぽっ…んぽっ……」 口膣に刺激を受ける度、沙織が身をよじる。 それに追従する沙織のバスト揺れ、もう艶福、艶福。 「もう…いやですわ、京介さんったら。私の胸ばっかり……私と私の胸と、どっちが好きですの?」 「お前に決まってるだろ」 ジト目(←ふつくしい)の沙織を宥めるため、髪を手で梳くと、くすぐったそうに身を縮めて俺に身体を預けてきた。 「じゃあ今回は許してあげますね」 そういって、あどけない少女の顔をちらつかせながら、一方で俺の胸元をはだけさせているのが沙織という女である。 「京介さんにお返しです……んっ…ちゅっ…ちゅっ…」 「ぁう…」 いやはや、年下の女の子に乳首舐められるというのも、乙なもんですなぁ……いや、Mじゃなくてね? 「ふふ…京介さん、可愛い……」 「ダイの大冒険、もとい、大の男に対してそりゃねーだろ」 これは挑発か? たけしの挑戦状なのか? よーし、受けてやろうじゃねぇか。 俺は沙織の背中に手を潜り込ませると、背筋を人差し指でそっと撫でた。 「ふぁんっ…やっ……そこ、ダメですわ……弱いの…っふ…知ってますのに……京介さんのいじわるっ…」 「ほらやっぱりな。お前の方が可愛いだろ?」 「…やぁっ…そんな…はんっ……可愛いだなんて……」 ウェーブのかかった浅鈍色の髪が崩れるほどに、俺の「可愛い」という言葉を否定する沙織。 まあ実際可愛いんだから、嘘は言ってないんだ。 けど、美人とは誉められても、可愛いとは言われ慣れてないのか、こうやって極度に恥ずかしがる。 その姿がまた愛らしいのなんのって……何この無限ループ。 「ああもう、俺の彼女は可愛いなぁ! 沙織は愛らしいなぁ!!」 「そ、そんな大声で叫ばないでくださいっ!」 「いいじゃんか、カラオケボックスなんだしさ。ボックスじゃなくても叫ぶけど」 「京介さんっ…んぐっ…ん…ふぁ……」 彼氏に反抗しちゃう悪い口は食べちゃうもんね。 とか言いつつ、ペロペロしながら沙織の服を脱がせる。俺も中々手慣れたもんです。 「こんなに固くして……京介さんのエッチ……」 あれー? 俺の下半身がスースーするぞー? ザ・ワールドかキンググリムゾンでも食らったのか!? くそー、俺がエッチだって? お前の方がとんだ淫乱娘じゃないですかヤダー 「ぁ…っん……こんなに脈うって……京介さんの……熱い……」 真珠のように白く長い指で俺のヴァジュラを絡め撫でる沙織。もう雷でちゃいますよ、その指使い?! どこで覚えたの?! 今すぐにでもあるるかん操作できちゃう腕前ジャマイカン! 「んっ…ふぅ…っんぁ……はぁ…」 しかし、そのこなれた手つきの割りには、顔は恥じらいで染まっていて、 チラチラを俺と俺の息子を交互に見やっている。 その事を前に指摘したら、やはり恥ずかしいのもあるが、俺の反応を見て気持ちいい場所を探しているんだと。 まったく献身的なお嬢様だぜ。その上、真面目で学習能力が高いときたもんだから、俺は耐えるのに必死だ。 「ふぅ…ふぅ……先っぽからヌルヌルしたのが……んっ…止まりませんわ……」 熱っぽく語る沙織は、亀頭を親指の腹でやわやわと撫でて刺激しながらも リズミカルに根本から手全体を使って肉棒をしごき続ける。 「ふふ…まだダメですよ、京介さん」 沙織は手を離すと、俺から離れ、姿勢を変え始めた。 「ん……何か企んでるな?」 俺に見透かされたのが嬉しいのか、沙織は口をωにして悪戯っ子の顔を見せた。 多分、これが一番ありのままの沙織なんじゃないかと思う。 相手に喜んで欲しいという健気さと、気づかれないのは寂しいという我が侭と、その二つを許して欲しいという甘えと そんな子供のような無邪気さを、俺は大事にしてやりたいと思う。 今はエロ方面に発揮されてるけどね、その無邪気さ。 「ほぅら、京介さんの好きなおっぱいですよー」 手淫だけでもイッパイイッパイだった俺のハヌマーンを、二つの柔肉が包んでいた。 こ、これは、天に選ばれた女性のみが使えるという……双包肉安天圧(パイズリ)!?!?! 「馬鹿なっ、民明書房(おとこのこのおとも)でしか見たことがない絶技が、現実にっ!?」 床に膝を付いて高さを調節し、沙織は両手で自分の胸を押さえて上下に動かし始める。 「んっ…ふぅ…っん……どうですか? ……もっと強く挟んだ方が……」 「い、いやいい……丁度いい。……沙織の肌、なんでこんなにもっちりスベスベなんだ……気持ちよすぎる……」 「そ、そんな恥ずかしいですわ……んっ…で、でも…はぁっ……京介さんが喜んでいただけるなら……っぁ…嬉しいです」 グッ、グッ、としごき上げる度に微妙に乳圧を替えて刺激してくる沙織と目が合う。 すると少し照れたように上目遣いではにかんできて、精神的にも相当やられてしまう。 「沙織…沙織……」 「…っん…ふぁ……ビクビクしていますの……もう我慢できませんと、京介さんのが……おっしゃってますわ……はぁんっ…」 胸元に先走りの汁が垂れ、カラオケボックスの強めの照明がそれを淫靡に照らしていた。 沙織は自分の胸から出て存在を主張する俺の分身を、その形の良い、やや厚めの唇で包んだ。 「うおっ…沙織、それはヤバいっ……」 「じゅるっ…じゅぽっ…ぬぽっ……ぐちゅ…じゅっ…じゅっ…ちゅるるるる………」 沙織の口内で精製された熱い粘液が、俺の先走り汁と混じって泡を立てる。 飲み干せなかったそれが、沙織の口の隙間から零れて顎を伝った。 沙織には似合わない、その下品な様が俺の劣情をかき立てる。 「沙織っ…もう出るっ!!」 俺の宣言に、沙織は一際大きく頭を振って陰茎を飲み込むと、引っこ抜かれるんじゃないかと錯覚するほど強く吸入した。 「う…うあぁっ……」 体中の血管を鼠が走り回るような、悪寒にも似た悦楽を感じながら 俺は沙織の口の中へと白濁を撒き散らしていった。 「むぐっ…うぷっ…んっ…あほっ……ぇ……けほっ……」 その量に、始めこそ喉を鳴らしていた沙織だが、受けとめきれずに自分の胸へと精液を垂れ流してしまった。 「だ、大丈夫か、沙織?」 「けほっ…んっ……いつもより、多いですのね……」 「……案外冷静なのか?」 苦笑するが、誰かが置き忘れていったポケットテッシュを見つけて、引っ張り出すと沙織に渡す。 「ん……大丈夫ですわ」 しかし沙織は受け取らず、ペロリと舌なめずりをし口周りの精液を為取ると コクコクと喉を馴らして嚥下していった。 「やっぱり…いつもより粘りが強いような気が致しますわ……」 「場所が場所だからじゃねーかな……はは…」 苦笑いしながら、俺は沙織の意見を肯定してやる。 本来そういうことのする用途ではない場所で、個室とはいえドアにはガラスがあり、 万が一何かのキッカケで店員が入ってくるかも知れず……などという要素に興奮しなかったかといえばNOだ。 「ふふ…京介さんの赤ちゃんの素がいっぱい……」 沙織は玩具を見つけた子猫のように、自分の身体にかかった精液を掬っては舐めている。 「んちゅ…ふっ…んっ……」 「すげ…」 乳首に垂れた精液を口にするために、自分の胸を持ち上げて吸い付いたのには、思わず声を上げてしまった。 マイリヴァイアサンも唸りを上げてしまった。 「沙織……今度は俺がお前を満足させてやるぜ」 サムズアップして白い歯を覗かせた俺に、沙織が郵便ポストかってぐらい真っ赤になる。 ば、ばか、なんか言った俺まで恥ずかしくなってきたじゃねーか。 上半身精液塗れの癖に、なんでそんな初々しい反応すんだよ。ちくしょー可愛いじゃねーか。 「こんにゃろ、足腰立たなくなるまで溺れさせてやる!」 沙織のすらっとした足を抱えると、そのまま持ち上げて、椅子の背まで押し付ける。 床じゃ可哀想だしな。もっとも、今日はここに沙織をホールドしちゃうぜ! 細かい刺繍が施された沙織のショーツは既にヌレヌレで、 早くひっぺ返して、俺のスプリガンをぶち込んで欲しいと嬌声を挙げていた。 「沙織……大好きだぜ。どこにだって、お前を連れて行ってやるからな。恋人として」 「京介さん……はい! よろしくお願いしますね」 じわりと、焼け石が投じられたお湯のように温かい気持ちが繋がり溢れていくのを感じた。 俺は沙織の一番奥へと、ゆっくりと肉槍を進めて…… 「兄貴、ゴメン、ちょっと忘れ物!!」 盛大に開かれたカラオケボックスの扉の音に、俺達の時間は静止した。 「あ、あ、あ、アンタ、人の友達に何しちゃってくれてんのよー!!」 「アホかー! お前な、俺達二人を残したってことはそういうことだろうが! 忘れ物したとしても空気読みやがれっ!!」 「どこの世界にそういう事でここまでするって思うヤツがいるのよ! キモッ! 変態性欲兄貴っ! 盛り過ぎっ! アンタ前世は猿なの!?」 「お、お、おちついて、京介さん、きりりんさん……!」 「ウルセー! てめえはその猿の妹なんだよ! ざまーみろ!!」 「いいから、ソレしまえ! バカぁぁぁぁぁぁ!!!」 「はっ! いいぜ仕舞ってやる! 男のココが、一番収まる場所にな!!」 「きょ、京介さ…あんっ!!」 「なっ…なっ…なにしてんの変態ぃぃ!!」 「お前だって親父とお袋がこうやって生まれてきたんだよ! 現実を直視しやがれ! 俺は兄貴として妹に性教育をしてやってるだけだ、わははははははは!!!」 「死ねェェェーーーーーーーーー」 「わっ! バカっ、マイク投げるな……痛っ!!?」 嵐のように桐乃は去っていった。俺の頭にたんこぶを残して。 「だ、大丈夫ですか? 京介さん……」 「へ……まあ、これでアイツともまた普通の兄妹に戻れるかな」 色々歪な方法だったけどよ。 「京介さん、まさかワザとああいう態度を……」 「……まあ、ちょっと羨ましいって思ったからさ」 目を丸くする沙織に、力なく笑ってみせる。 「沙織とお姉さんがさ、やっぱ仲良くていいなって思った。 俺達も……喧嘩ばっかしてるけどさ、そういうの続けばいいって 欲張りだけど、思っちまったんだよな。誰の影響なんだか……」 俺と沙織が付き合うことで、俺と桐乃の関係が、桐乃と沙織の関係がギクシャクするのは厭だった。 昔の冷戦状態に戻るのなんか真っ平御免だ。 ま、そういうことだな。 「俺はアイツの兄貴だし、お前の彼氏なんだ。ずっとな」 フィナーレが終わって、アンコールが起きてもずっと、そいつだけは変わらない。 そう、俺は決めたんだ。 「……はい」 沙織は頷くと、俺のたんこぶを優しく撫でた。 おしまい
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/335.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1291723688/415-423 俺は高坂京介。ごく平凡な高校生だ。 いきなりだが、俺にはこの世で苦手なものが三つある。 まずは妹の桐乃だ。 眉目秀麗、スタイルファッションセンスともに抜群、 スポーツ万能、学業優秀。友達がいっぱいいて、 全校生徒の憧れの的で、教師からも受けがよくて、 部活では大活躍、校外ではモデル活動なんかもやっちゃって、 みんなから頼られてて、誰からも好かれてて そんな超完璧で、超カッコよくて、超かわいくて、超美人・・・・ と自称しているのが俺の妹だ。 いや、否定はしねえよ。 だけど、ここまで自分で自分をほめられるってどんだけだよ。 しかし、そんな妹も欠点っぽいところがあった。 「オタク」なのだ。それも重度の。 アニメはおろか、中学生の分際でR-18のエロゲにまで手を出してやがる。 そんなこんながあって、俺は妹の「人生相談」に乗ってやっているうちに 妹にいろいろとお願いされるようになった。 今日も妹にお願いされてアキバまで新作のエロゲを買いにいった帰りに 電車に揺られている最中だ。 いっとくがパシリじゃねえぞ。断じて違う。 ―――ああ、俺の苦手なものランキングの話だったな。 次に嫌いなのは、煙草を吸う奴だ。 体に悪いとわかっていながら煙草を止められない奴は猿にも劣る、 と俺は思っている。 そして、最後のもう一つは―――――― 「何だこのバカやろーー!! ふざけんじゃねーよ!!」 怒鳴り声のする方向を見ると若い女が騒いでいる。 どう見ても酔っぱらいだ。俺の苦手な・・・・ うっ!目が合った。ヤベ。こっちに来る。 「ちょっとー、なにジロジロ見てんのよぉ」 座っている俺にのしかかってきた。 酒臭ッ! おまけに香水もキツイ!! 「ちょっと、やめてくださいよ!」 「んー?『やめてくださいよ』じゃなくて、 『やめてください、お願いします』だろー?」 「・・・や、やめてください。お、お願いしま・・・」 「あんた、地味目だけと近くで見ると整った顔じゃん」 整った顔? 俺が? そんなこと言われたのは初めてだぞ。 酔っぱらうと人間の審美眼って損なわれるものなのか? 「いいことしてあげる。ムチュー」 ―――ッ!! この酔っぱらい女、俺の頬に吸い付いてきやがった。 それもきつく、何度も吸いやがった。 「ちょっと、やめてくださいよ!」 「んー?『やめてくださいよ』じゃなくて、 『やめてください、お願いします』だろー?」 「・・・や、やめてください。お、お願いしま・・・」 なんて日だ。 桐乃のお使い(断じてパシリではない)でアキバに行くと かなりの確率でトラブルに巻き込まれる。 二度と行くもんか、と何度も思っているが、妹様を前にすると どうしても拒否れないんだよな。弱すぎだろ、俺。 「遅い! どう? 買ってきたの?」 俺のただいまの挨拶よりも先に桐乃の苦情に近い言葉が投げかけられる。 まあ、そんなことは慣れっこだ。 「ほらよ」 「あはーん。これこれ。早速インスコしよっと。フヒヒヒ」 そのキモイ笑い、やめてくれないか。 第一、アキバくんだりまで足を運んだ俺にはお礼の一つも無しかよ。 まあ、そんなことも慣れっこだ。 「・・・ちょっと、アンタ・・・」 その声の主である桐乃を見ると、阿修羅と見紛う顔をしていた。 本物の阿修羅なんて見たこと無いけどな。 「なんだよ」 桐乃は鼻をヒクヒクさせた後、こう言ってきた。 「香水・・・。ドコでつけてきたの?」 「馬鹿言え、俺が香水なんてつけるわけが・・・」 ―――ッ!! そうだ。あの香水がきつかった酔っぱらい女の移り香だ。 だが俺にはやましい点なんて何も無い。 「電車の中で酔っぱらいに絡まれたんだよ」 「ハア? 酔っぱらいのオジさんがそんな香水をつけていたっての?」 「オジさんじゃねえ! 女の人に絡まれたんだよ!!」 「何それ。ドコのエロゲ? そんな言い逃れが通用すると思ってんの?」 「言い逃れじゃねえよ。本当の話だ」 「そもそもなんで女の人に絡まれるワケ? まさか痴漢したとか?」 トンデモねえことを言い出すヤツだ。 俺は一方的被害者なのに、コイツに話すと痴漢犯罪者に転落かよ。 「どうも怪しい・・・」 父親の血を引いたのか、不審者に対する捜索が始まった。 俺の全身を下から上までガン見している。 そして俺の顔を四方から見た途端に桐乃の顔が強ばった。 「キ、キスマーク・・・?」 げ!! まさかあの女に吸い付かれたのが痕になった?? 俺は慌てて、無意識に吸い付かれた頬を手で隠した。 より正確には「無意識に吸い付かれた頬を手で隠してしまった」だ。 「ふーん。自覚があるんだ・・・」 やっちまったぜ。語るに落ちるの仕草版ってヤツだ。 「アンタ、妹の買い物中に女といちゃついていたの? キモいんだよ、死ねええええ!!」 あの女に吸い付かれた頬にビンタを炸裂させた桐乃は、 振り返ることも無く自分の部屋に帰っていった。 最悪だ。 アキバまでエロゲを買いに行かされ、酔っぱらい女に絡まれ、 妹からは感謝の言葉も無く、挙げ句に邪推されてビンタって、 ああ無情を地で行っているぞ、俺。 ビンタを喰らった顔を鏡で見た。 広範囲に赤く腫れているのはビンタのせいだろう。 キスマークは・・・? なんだよ、ビンタで上書きされたせいもあるだろうが、 相当ガン見しないと確認できないレベルじゃないか。 アイツ、これを見つけ出したってのかよ。もう千葉県警に入れよ。 ロクなことが無かった今日のことを忘れるために、早めに床についた。 「おにいちゃん、おんぶして」 1.おんぶしてやる ← 2.甘えるな、と一喝する 「ふふん。ありがとー」 「オマエは甘えんぼだなぁ」 「だってアタシ、おにいちゃんがだいすきだもん」 「ねえ、おにいちゃん、こっちむいて」 「なんだよお?」 ムチュ 「な、何するんだよ??」 「ふふん。アタシのまほう」 「魔法?」 「このまえ、まーおねえちゃんがおにいちゃんにしたのとおなじこと」 「えっ、オマエあれを見ていたの?」 「うん。だからアタシがもういちどすれば、まーおねえちゃんにかてるもん」 ムチュ ムチュ ムチュ 「くすぐったいな。上書きかよお」 「うわがきって、なあに?」 「・・・なんでもないよ。さ、家に帰ろう」 「うん!!」 ピピピ ピピピ ピピピ 目覚ましに起こされた俺は、なんて夢を見たんだと自己嫌悪に陥った。 エロゲそのものじゃないか。それも妹モノの。 どのタイトルなのかは思い出せないが。 でも選択肢が出てきたところからして、エロゲなのは間違いあるまい。 身支度をして廊下に出ると、桐乃と出くわした。 やべ。昨日の今日で邪推に基づく怒りが鎮まるはずもない。 罵倒・暴力を覚悟した俺だが、桐乃は俺の顔を見た瞬間、 顔全体を赤くして階段を駆け下りていった。 チッ。なんだよ。まだ怒っているのかよ。 「いってきまーす」 桐乃がいつもよりも早めに家を出て行った。 さしたる理由もないが、俺もたまには早めに登校しようと玄関を出た。 家の前には桐乃と一緒にラブリーマイエンジェルあやせたんがいた。 「な、な、なによアンタ??」 桐乃がワケのわからない物言いをしてきた。 俺がイレギュラーに早く登校しちゃいけないのかよ。 「おはようございます、お兄さん!」 おお、朝からラブリーマイエンジェルあやせたんに会えるとは ああ無情な昨日を吹き飛ばす幸運だ。 「ああ、おはよう」 挨拶を返し、さてどんな話題を振ろうと思案しながら ラブリーマイエンジェルの顔を見たら・・・ 見る見るうちに彼女の目の光彩から光が消えていった。 なにこれ? 一体俺がどんな地雷を踏んだと言うの? 「お兄さん、なんですか、ソレ・・・?」 「ソレって?」 「トボけるんですか? よく見なさい!!」 あやせは自前のコンパクトを開き、鏡を俺に向けて突き出した。 ―――ッ!! コレ、キスマーク? なんで? 夕べの時点でガン見しなければ見えないほど薄くなっていたのに、 なんで夕べよりも明らかに濃くなっているの?? 「一体どういう説明をしてくれるのですか?」 「あ、いやコレは・・・」 「うるさい! 色魔!! 死ね!!!」 罵倒のジェットストリームアタックに続き、ビンタが炸裂した。 説明を要求したくせに、聞きもせずにビンタってどんだけ。 頬を張られた俺は地面に倒れ込んだ。 目の前には、スラリと細長い桐乃の美脚。 モデルの細い脚とはいえ、コイツは同時にアスリートでもある。 脚の効果的な使い方には長けているはずだ。 俺は踏まれたり、蹴られたりするのを覚悟したよ。 ? あれ? 何もなし?? 拍子抜けだ。 いっとくが、踏まれたり蹴られたりすることを期待していた ワケじゃないぞ。 「さ、桐乃、行こう!!」 桐乃はあやせに急かされ、手を引かれて走り去っていった。 親友のあやせの暴挙に圧倒されたのか、桐乃は終始無言だったが、 あやせに手を引かれている桐乃は、申し訳無さそうな表情で 俺の方を何度も振り返っていた。 あーあ、今日もああ無情か・・・ 学校から帰ると、リビングに桐乃がいた。 「・・・あのさ、今朝のことだけど・・・」 「朝から女子中学生にビンタされる高校生なんてキモすぎってか?」 「いや、そうじゃなくて・・・」 「じゃあなんだよ?」 「その・・・すごい久しぶりだったから加減がわからなくて・・・」 「はあ?」 「あやせに殴られたのもアタシのせい・・・と言えなくもないし」 桐乃はバツの悪そうな表情をしてうつむきがちに言った。 ナニ言っちゃっているの、この妹様は? 「意味わかんねえ。そもそも、あやせが誤解したことにオマエは 何の責任もないだろ」 「だから!・・・ほら、アタシがあやせと一緒に登校するなんて イレギュラーなことじゃん? そこにアンタがかなり早く出てきちゃって、 あやせと顔を合わせちゃったのはアタシのせいと言えるじゃん? でも色んなことが重なっちゃった事故だからしょうがないし」 本格的に意味がわかんねえ。 まるで何かの言い逃れをしているかのようだ。 俺とあやせが出くわしたこと、あやせが誤解したこと、 あやせがビンタしてきたこと、どれも桐乃のせいじゃない。 あえて犯人探しをするとすれば、いきなり濃くなったキスマークだろ。 でもそれは、俺の体のせいに決まっている。 『OVER WRITE』【了】
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/567.html
http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1316537661/539-563 もしあんたが童貞ロードを爆走中の時に黒髪のモデルで、 超が二桁くらいは付く美少女で自分の事を死ぬほど(或いは殺したいほど) 好いてくれる15歳の彼女が居た場合はどう思うだろう? 多分、こちらがお願いすればどんな事でもしてくれるかも知れないが 単なる言いなりではなくおざなりなツンデレと言うわけでもない。 ―――そんな一見、理想的な彼女が居た場合は……………… 俺の彼女の名前は新垣あやせ、俺が大学生になった時、 同時にあやせが高校生になった時、俺たちは付き合う事になった。 あやせに429回"ぶち殺しますよ"と言われ23回"死んでるやる"と絶叫され 2回"好きです"と言われて俺らは恋人になった。 物理的に52回殴られて、5回死にかけた。 これは今は大学進学をきっかけに一人暮らしを始めた俺の部屋に、 あやせが遊びにきてエロDVDを発見されて罰せられてたのだが 何とか仲直りした直後の話だ。 俺の部屋にて 「京、キョウ、きょう、今すぐしたい クチュ(舌を入れる)、(処女あげる)」 「あやあや………結婚してくれ クチャ(舌を絡める)、(早く結婚したい)」 その時、何度か俺の携帯が鳴るがあやせが放り投げた。 「あやせ、本当に良いのか?(念押し)」 「…………コク(肯く)」 『わかった、あやせ愛してる』と言いかけ、行動に移そうした 刹那、チャイムの音 『京介!いるんでしょ?』と桐乃の声がする。 「お、お、お兄さん………(超焦)」 「ああああ、う、せ………(茫然自失)」 俺はしばらく固まっていたが『パチン!』あやせに53回目に殴られた衝撃で 何とか思考を働かせようとする。 「か、考えたら桐乃は俺の部屋のカギ持ってない筈だから……… あいつには少しばかり悪いが居留守でだ、大丈夫だ!」 と言った途端にカギが開く音がする 「マジかよ―――何で(疑問)、(絶望)」 しかしカギは開いたがチェーンロックのお陰で いきなりこの場面に鉢合わせするのだけはどうやら避けられたらしい。 「お兄さん………どうしますか?(意外に冷静)」 「しぃー。多分、あのままなら諦めて帰るしかねぇだろうから(安堵)」 と安心したのもつかの間 ピピピ―――さっきあやせが放り投げた俺の携帯が鳴り出す。 『やっぱいるんじゃん!あんた、まさか可愛い妹がわざわざ訪ねて きてあげてんのにぃ居留守とかしてないでしょうね?!』 と言うか―――チェーンがロックされてる時点で家にいるのは当然なんだ。 動揺してた俺は多分そういう当たり前の事すらその時は気付いてなかった。 「何故だか分からないですが、桐乃はお兄さんの部屋のカギ持ってるみたいですね。 それに携帯のせいで居留守も出来ないと、もうしょうがないですね。 ―――もうこうなったら(何故か嬉しそう)」 「ああ―――し、しょうがないな、こうなったら(げんなり)」 「お兄さんから正式にわたしの事を………桐乃に(お願い)」 「しょうがないから、あやせ………ちょっと悪いが隠れてくれ!!(お願い)」 「「?」」 「はっ?(驚) な、何でわたしが隠れないとダメなんですか? わたしはお兄さんの彼女でしょ!!!(怒髪)、(天を衝く)」 「しぃー! あやせ―――言いたい事は分かるのだが、流石に裸のままって(焦) って?あ゛や゛せ゛、、く゛ひ゛し゛め゛て゛る゛は゛あ゛い゛し゛ゃ」 「き、鬼畜、変態、クズ!! わたしの事好きって言ったのにぃ………さっきは処女奪おうとした癖に!!!!(殺)」 「わ゛か゛っ゛た゛か゛ら゛、は゛な゛し゛な゛ら゛あ゛と゛で必゛す゛(超必死)」 俺は首を絞められながら殺意の言葉を吐く裸のままのあやせを クローゼットの中に押し込むと何とか服装を整えて 「はぁ~よく寝た…桐乃かよ、何か用か?」 ととぼけながらドアを開けた。 「遅い!何やってんの、あたしが何度も電話してるのに出ないしさ。 それに変な声だしぃ、あんた風邪でもひいたの?」 「そ゛う゛か゛…ゴホン、だ、大丈夫だ。と、兎に角俺は寝てたんだよ! (自分に言い聞かせる)」 「それに涎ついてるじゃん、お兄ちゃんはお子様でちゅね(笑)」 「ほっとけ(あやせの唾液が主な成分)、(拭く)」 「へぇーあんた寝る時に手錠して寝るんだぁ?(疑惑)」 「え?(ギク)べ、別にイイだろ…」 「ふ~ん、、、やっぱキモ(軽蔑)」 「で、何の用だよ、わざわざそんな事言う為に訪ねてきたのか?」 「何、その言い方? あんたが全然実家に連絡しないから心配して見に来てあげたんじゃん ちゃんと感謝しなさいよね? で・いつまで手錠かけたアホ面のままのあんたとあたしは 立ち話しないといけないわけ?(笑)」 「ち、ちらかってるから、、ちょちょっと待て、な?(汗)」 考えたらあやせはクローゼットにいるがあやせの服や靴はそのままなのだ ―――どう考えてもヤバイ 「ぷぷ、、ちょっとその超必死な感じ、あんた、あたしに見られて ヤバイ事でもしてたの?(嘲笑)」 「う、うるせぇ………良いからそこでちょっと待ってろよ!!」 と言って一回ドアを閉めようとしたのだが、俺の妹は――― 「へぇ意外に片付いてるじゃん。想像とちょっと違うんですケド?(興味) おじゃまします~♪(津々)」 「おい、コラてめぇ!な、何やってるんだよ!(怒)」 ヤバイ―――もう玄関であやせの女物の靴を見られた瞬間に終わる と思っていたのだが 「何か、住人と同じで地味過ぎくない?この部屋(もの悲しさ)」 「そりゃ悪かったな………」 俺が心配していた事態にはならなかった。 どうやらあやせは自分の靴や服を一緒に持って隠れてくれたらしい。 俺の彼女はああ見えてやっぱり優しいのだろうか? 「この家はお客さんにお茶も出さないわけ?あ~喉渇いた!」 「出しゃ良いんだろ、出しゃ…まったく」 と言って気付く テーブルには俺が飲んでいたコーヒーとあやせの紅茶のカップがある事に ―――桐乃の視線はその方向に見止まった。 このカップはあやせがプレゼントしてくれたペアカップなのだが ―――カップに書かれた天使の柄が今の俺には死神に見えた。 「あんた――これ?」 「…………(色々終わった)」 こんな事なら最初から紹介すりゃ良かった。 普通に紹介するのとクローゼットからあやせが裸で出てくるなら どう考えても前者の方がその後に何かあるにしても全然マシなのは間違いない。 「片付いてると思ったら横着してカップくらいちゃんと洗いなさいよね(呆れる)」 「へ? あ、ああそうだな、一人で住んでると………色々面倒でさ(超ヤバかった)」 「あ~もうしょうがないな―――この調子じゃちゃんと食べてないんでしょ? こんな事だろうと思ってさ、ほらこれ(買い物袋)」 「な、なんだよ?それ(買い物袋)」 「もう鈍過ぎ、、だから、あ、あたしがご飯作ってあげようと思って来たんでしょ! ふ、普通はこんな事絶対にしないけど、お母さんが心配してたしさ」 と言いながら冷蔵庫を開けて何やら思案し始める妹。 「あれ? 結構色々色々入ってるじゃん、なんか、、(意外)」 そうなのだ―――と言うか実は冷凍庫に隠していたエロDVDを あやせが俺の為にご飯作ろうとして発見されたから ―――あの騒動だったわけで。 そして本当に時々だが同じ大学に通う麻奈実が俺の部屋に 遊びに来る事が実はあったりする。 と言うか黒猫も理由があってうちには何度か来てたりするのだが 我ながらよくこんな危険なジャグリングをやっているなと思う。 そして見事に失敗―――まぁ起きたことはしょうがない。 そんなわけでちょっと落ち込んだ様子を見せる桐乃に 俺はあやせがいる事も少し忘れて……… 「あ~すげぇ腹減ってたんだ、おまえ意外に気が利くな。 んで何作ってくれんの?」 指に巻かれた絆創膏を見てしまえば、流石にもう良いから帰ってくれとは どうしても言えなかった……… 「そ、そう? でも、でも意外は余計だっての。あたしクラスになると何でも作れるんだけどさぁ あ(んた)京介はカレー好きでしょ?だからカレー作ってあげるから!」 ―――俺はこれが後々面倒になる事は桐乃の笑顔を見ながらその時 すでに覚悟していた。 「あんたいつまで手錠してんの? それだと食べにくいじゃん――ふざけてないでちゃんと食べてよね! あんたの大好きな可愛い妹が作ってあげたんだから、わかってんの?」 「か、カギなくした………(実はクローゼットにある)」 でカギ持ってる人がクローゼットからこちらを覗いていて ドア||-♯)(殺) みたいな感じで見ている。 「大学生にもなって、ほんと相変わらず頭悪いよね、あんたってさ(苦笑) ほ、ほらあ~ん」 「へ? 何やってんの?おまえ(?)」 「あ~ん(赤面)、、、あ゛~ん゛(怒)」 「………(聞こえないふり)」 これ以上あやせの機嫌を損ねて大丈夫なのか? どうか躊躇していると 「ほら、あ~んって言ってるでしょ!何度言わせんの(超怒) あんたがバカだから食べにくそうだからやってあげんてんのに、 あたしがせっかく親切にしてあげてんのに、、さ!!!」 「へいへい、頂きます(パク)」 「ど、どう?(緊張)」 「美味しいよ、すごく(恐怖の汗)、(戦慄の涙)」 「な、何泣いてんの、あんた? そ、そっか、、あたしの手料理食べたら当然だよね(笑顔) そんなのに美味しいならさ、、京介が食べたくなったら、また言いなさいよね? 気が向いたらまた作ってあげるからさぁ、にゃはは(上機嫌)」 桐乃が珍しいほどの上機嫌でいると桐乃の後ろにあるクローゼットの 隙間から人ってあれほど無表情になれるんだとちょっと感心するほどの 恐ろしい形相のあやせと俺は目が合った。 「そいやさ―――何でおまえが俺の部屋のカギ持ってるんだよ。 俺は渡した覚えねぇぞ」 「お母さんに貰った、大体あたしの学校とあんたの家って近いじゃん、 だから帰る時についでに様子見てこいって言われたんだからしょうがないでしょ! お父さんもあんたがお、女連れ込んで何かしてないかとか言ってたしぃ」 「ぶー(吹き出す)」 そうなのだ―――桐乃が高校と俺の部屋はかなり近い。 ついでにあやせも同じ学校なのだが、まぁそれも偶然なのかも知れないが。 「あ、もう汚いでしょ!」 「わ、わりぃ…喉に詰まった」 「はぁ~ほら、ほら、、、京介ちゃんは赤ちゃんでちゅね(照)、 (俺の口元をハンカチで拭く)」 「ご、ごちそうさまでした(・人・)、普通に旨かったわ(感心)」 「ふふ(嬉)あ、そだ、アイスも買ってきたから、、あんたも食べるでしょ?」 『な、なんかおまえってしばらく会わないうちに………』 女らしくと言うか気遣い出来る様になったなと言いかけて辞めた。 もう実は色々今更遅いのかも知れないのだけど。 「何かさ、居ないなら居ないで全然イイと思ってたけどさぁ やっぱあんた居ないと、、、あたしは絶対違うんだけどさ! お父さんもお母さんも淋しそうでさ―――あたしは絶対違うけどっ!」 「そ、そうか―――色々ありがとうな桐乃。俺もたまには実家帰るわ(頭撫でる)」 「あ、あんたも、あたしが海外行った時、す、少しは淋しかった?」 毒を食らわば皿まで―――殺されるなら死んだ上に鞭で打たれる覚悟で 俺は……結局、桐乃のこの顔見たらある意味逆らえなくなるのが 我ながらやっぱりシスコンなのだと思う。 「ああ、滅茶苦茶淋しかったぜ、だからおまえはなるべく遠くに行くなよ (更に頭撫でる)」 「ふ、ふ~ん、ふふ、、どおっしようかなぁ~?(ニンマリ)」 「―――あっそ(と言いつつ髪ぐしゃぐしゃにする)」 「な、何やってんの!バカ!やめろ、やめてってば(でも笑顔)」 しかしまったく間が悪い。 恋人と初めて結ばれようとしてた直後に妹とカレーを食べてマッタリしつつ、 痛いバカップルみたいなやり取りをクローゼットから恋人が見てるって ―――これは一体何プレイなんだろう? 「ほ、ほんと、あんた大学生?もうガキじゃん―――あ、そだ。 ほらお子様にあたしからプレゼントあるから、これ!(ノーパソ)」 「なに?これ!?(ノーパソ)」 まさか……エロゲー入ってるパソコンじゃないだろうな 「あたしの厳選したゲームとアニメ入ってるから!良いのあったらさ、 また更新するから、遊んだり見たら、、か、感想とかちゃんと言いなさいよ!」 「はははは……はぁ(ため息)」 エロDVD一枚で死にかけたのに、こんなの万死に値すだろ、 あやせに言わせれば 起動させてみるとエロゲーとアニメがぎっしり、ついでに 待ち受けが―――桐乃? 更に桐乃に繋がるスカイプのIDも入れてある シスコンの俺には至れり尽くせり あやせの逆鱗に触れる事間違いなしの構成だった。 「あたし新しいの買ったしさ、、、だからこれはあげる! あ、あたしだと思って大切にしなさいよね?わかった(満面の笑み)」 「ああ、ありがとう………大切に使うよ」 「うん、それと、、えっと、さ、あんた、、、、、」 「なんだよ?」 「、、、、や、やっぱ良い、また今度でさ」 多分こいつの言いたいことは分かる。 そしてその答えはクローゼットの中に居るわけで でも一回隠した以上はここでご本人に登場して貰うわけにはいかなかった ―――説明するにしてもいくら何でもタイミングってものがある。 外に出て、桐乃を見送る時 「あんたが元気そうで安心した、、」 「俺もおまえが元気そうで安心したわ。 ついでにちょっと見ない内にメチャクチャ美人になったな」 俺も大学生なのだ、妹にお世辞のひとつでも言える様ならないと ―――と言うか単純に桐乃に久しぶりに会ってテンション高くなった。 シスコンの悲しい性が主な理由かも知れないが 流石に屋外だからあやせには聞こえないだろう。 「と、当然でしょ!誰に対して言ってると思ってんの?(照)」 本当にしばらく見ない内におまえは良い女になったよ、桐乃 ―――ちょっぴり誇らしい気分で妹を見送った後 さて……と、俺の可愛い彼女はどうなってるんだろう? さて………俺はどうなってしまうんだろう? 速攻で部屋に戻ってクローゼットを開けた時――― 青ざめたあやせの表情―――俺は不機嫌な事を心配したのだが ―――それよりも悪い事があやせは裸のまま寒さで震えていた。 「おい、大丈夫か?!!あ、あやせ!!!!(心配)」 「……………………(ガクガクブルブル)」 俺は手錠をはめたままの両手で必死にあやせの裸体をさすると あやせに思いっきり突き飛ばされた。 「さ、触らないで………変態!触るな!!!!(怒)」 「頭にきて機嫌が悪いのは分かるが、このままじゃヤバイだろ!! 後で何度でも殴られてやるから、今は大人しくしろ!(必死)」 俺は無理やりあやせを抱き寄せるとベットの方に抱きかかえて 毛布をかぶせて、また身体をさすってやる。 「ほ、ほんとうに……………や、やめて…(艶めかしい声)」 「え?ま、まさか(変な期待)」 変な気分であやせの全身をさすりながら触っていると 「ち、違う………………と、と、と・!」 「"と"?がどうしたんだよ?!」 「といれ―――おトイレ行かせて!!!!!もうバカ!死ね」 ―――と思いっきり蹴りを入れた後 あやせは真っ裸のままトイレに消えていった。 しばらくしてあやせが戻ってきたので俺は 「あやせ…色々正直すまんかった(超土下座)」 「……………………」 無言で服を着始める………あやせ ―――こりゃ相当怒ってるな。 「まぁ何というかあいつも、桐乃も久しぶりに俺に会ったから(しどろ) 兄妹愛と言うか家族の触れ合いみたいな、も、もんでさ(もどろ)」 「『ちょっと見ない内にメチャクチャ美人になった…な』」 「へ?」 「『あたしが海外行った時…す、少しは淋しかった?』(桐乃の真似)」 「ぐ……」 「『京介ちゃんは赤ちゃんでちゅね』(桐乃の真似)」 「……もう辞めてくれ…(懇願)」 「『あ~ん、ほらあ~ん』(桐乃の真似)」 「ぎゃぁぁっぁぁぁ(超錯乱)」 「……………………………気持ち悪い(小声)」 「だ、だから謝ってるだろ、そんなに怒らなくても(分かるけど)」 「ほ、ほんとは―――桐乃が帰ったらすぐに続きしようと思ってたのにい 裏切り者、裏切り者、裏切り者―――(25回連続の裏切り者)」 「俺はそりゃシスコンだよ―――それも重症のなッ! でもそれを分かった上でおまえは俺と付き合ったんだろ!(逆ギレ)」 「DVDの時は素直に謝った癖に!!お(兄さん)変態のあなたは 桐乃やお姉さんやあの泥棒猫といちゃついても、こうやって逆ギレして ―――色々理由を付けては………わたしをまた裏切るんでしょうね!(軽蔑)」 何かこいつ一時期の桐乃みたいだな―――桐乃よりも桐乃らしいと言うか 下手に家族じゃない分だけ妙に女の嫉妬や悋気がよく分かってしまう。 俺が麻奈実や黒猫と親しくしていた時に見せた桐乃の怒り。 あの時は単に麻奈実が嫌いなだけと思っていた。 あの時は単に親友の黒猫を取られるのがイヤなのだと思っていた。 今のあやせを見るとそうじゃなかったと今更気付かされる。 黒猫と付き合って別れた後、その話を麻奈実と帰り道で話しながら 俺は黒猫は麻奈実に似てると漠然と感じた。 ―――黒猫は麻奈実の如く察しが良くて、 ―――麻奈実も黒猫の事をまるで自分の事かの様に話す。 そして、あの時麻奈実は俺の事を好きとも言った。 だから俺には予感があった ―――いつか桐乃が納得したら、桐乃が認めてくれるなら、 麻奈実か黒猫に告白する未来が来るんだろうと。 それほどあの二人とは気が合ったし一緒に居て心地良かった。 でもそうはならなかった、麻奈実が言った あやせならみんなが笑って暮らせる家庭を"無理やりにでも"作るという話。 ―――あの時は笑い話だった筈だが……… あやせは麻奈実の様に桐乃に遠慮をして何年も我慢しなかったし、 黒猫の様に桐乃に配慮して付き合って別れるなんて事もしなかった。 俺に対して思慮なんて見せずストレートな愛情をぶつかってきた。 俺がそれに応えない場合は同じ分だけ憎悪も向けてきた。 23回の"死んでるやる"は桐乃とあやせの間で板挟みになって 煮え切らない態度を取った俺に対してあやせが言った数なのだ。 同情と言えばそうかも知れないし、責任と言えばそうかも知れない 純粋に恋人への愛情ではないかも知れないが……… 彼女を放り出して一人にすれば確実にあやせは不幸になる……… だから桐乃との約束すら破って俺はあやせと恋人になった。 この感情を何と呼ぶのか分からないが ………………まさかここまで嫉妬深いとは ―――正直これに比べたら桐乃は超デレデレな可愛いらしい妹なのだと 納得せざるをえない。 「と、兎に角落ち着けよ、冷静になろうぜ、な、な?(なだめすかし)」 「うるさい!変態喋るな!クション(くしゃみ)」 「おまえ………やっぱ風邪ひいたんじゃ…?(心配)」 「もうお兄(さん)………変態のあなたには関係ありません。 申し訳ないですが、別れさせて下さい(冷血にきっぱり)」 「あやせ………そんな悲しい事言うなよ(抱きつき)」 キスしようとして思いっきり舌噛まれた。 ファーストキスはレモン味と言うが あやせとの4回目のキスは鉄の味がした。 流石にキスしたくらいで許してくれるほど、甘くはない。 あやせは、そんじょそこらのやわな彼女とはワケが違う。 「さようなら、シスコンの変態さん。 あなたと付き合った期間ほどわたしの人生で無駄な時間はありませんでした。 あなたにわたしの初めてあげようとしてたなんて、 わたしって本当にどうかしてました。 今、思い出して考えるだけでも虫酸が走って吐き気がして気持ち悪い。 だから、だからもう絶対に、絶対に、絶対に連絡しないでくださいね」 続き
https://w.atwiki.jp/fushimi_eroparo/pages/166.html
http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1273071103/250-257 「あやせ妹萌化計画」 「お兄さん相談があります」 そう言ってあやせは俺に相談を持ちかけた。 以前、着信拒否されていて猛烈に落ち込んだ事もあったが、 頼れる友達の兄としてあやせに必要とされているのだと思うと嬉しさの余り顔がニヤけそうになる。 「て、お兄さん聞いてます?」 突然のしかもあやせからの電話だったので少々驚いて無言になってしまった様だ。 「あ、ああ。聞いてるぜ。俺に出来る事なら何でも言ってくれ」 「そう言ってくれて安心しました。これは他の人には頼めないお話ですので」 うおー!俺にしか頼めない事だとー!?もしかしてラブリーマイエンジェルあやせたんが俺の事を……。 「で、相談って何だい?」 電話中で顔は見えないが顔がニヤけるのを隠してクールに相談の内容を訪ねる。 「ええ、ちょっと言い辛いんですけど……」 そう言って俺に相談を伝えるあやせだったので俺は期待に胸をふくらませて居たのだが。 俺の願望とは違い、秘められた愛の告白等の相談では無かった。 要約すると、桐乃が留学中に一度も連絡を取ってくれず唯一メールを送ったのも親友である自分では無く俺だった事。 帰国の際にも呼んでくれれば仕事をキャンセルしてでも駆け付けるつもりだったのに、実際に知らせたのはオタ友の方だけだった事。 それはつまり自分は桐乃に頼りにされて無いのでは無いか。 いいやむしろ、自分が桐乃の趣味に理解を示さなかった故に距離を取られてるのでは無いかという話を心痛そうな声で訴えて来たのである。 「それで……うっぐ……桐乃の親友で居るには……もっと私から歩み寄らないと……えっぐ」 最後はほとんど涙声だった。 くそぅ、電話じゃなければ俺の胸の中で泣けみたいに慰み者……じゃなかった慰められたのに。 「いやぁ、でもあやせ。お前は学友や読モ仲間として十分桐乃の親友として支えてくれてるんじゃないか?」 「それじゃ……それだけじゃダメなんです!桐乃の一番の親友は私だけなんだから!肝心な時に桐乃の役に立ちたいんです!」 そりゃ俺も桐乃の難題をあやせに解決して貰えるなら代わって欲しいくらいだけどな。 「正直言って無理じゃないか?俺も桐乃に無理難題を押し付けられたがとてもあやせに解決出来るとは思えない」 その難題の一つはお前自身だったりしたけどな、と言うのは心の中で呟くに留めておく。 「む、無理じゃないです。お兄さんに出来たという事は、私にだって!頑張れば出来るはずです!」 そうは言うがそんなに簡単には行かないだろう、彼女には決定的な弱点があるしな。 「え、エロゲを桐乃と一緒にプレイする事も?」 「うぐっ、そ、それだけは勘弁してください」 ほらやっぱりだ。エロゲや同人誌を穢らわしい物だと思っている以上、オタク関係の問題には関わるのが難しいだろう。 コスプレコンテストの際には一応タナトス衣装を用意するまでは覚悟を決めたらしいが。 結局、加奈子をたぶらかしてあの際どいメルルの衣装を無理やり着せたしな。 それがあやせの限界だ。 「だろうな、だから桐乃もオタ関係の話はお前に頼れないんだよ」 「わ、私も何とか桐乃の気持ちを理解しようと努力したんですよ?で、でもどうしても二次元の女の子を見ても可愛いと思う前に拒否反応が……」 「なんだ一応試してはみたのか」 あやせはあやせなりに桐乃のオタ趣味に理解を示そうとはしていたみたいだ。 「か、勘違いしないでくださいね!やったのは桐乃に頼んで借りたPS2のギャルゲー(?)ですから!」 まあ、それも元はエロゲで移植版なんだろうけどな。 「エロ無しでもダメだったのか、そりゃもう重症……もとい一般人としては正常じゃないか」 「け、けど、桐乃の気持ちが理解出来ないと……桐乃の親友の座をぽっと出の泥棒猫に奪われそうで……」 最後の方ぼそっと酷い事言ったな、泥棒は兎も角猫なのは間違ってないが。 「桐乃を一番上手く操れるのは私なんだから……ブツブツ」 「ん?何か言ったか?」 「い、いえ!何でもないですよー、ウフフ」 うおっ、ブラックあやせに変わりだしたよ。駄目だこいつ早く何とかしないと……。 「よし!お前の悩みは大体分かった!お兄さんに任せない!」 「はぁ、相談に乗ってくれるのは嬉しいですけど、貴方の妹になったつもりはありませんよ」 おっと口が滑った、俺もどうせなら妹より彼女になって欲しいぜ。 ん?彼女……? 「そうかこの手があったか!」 「!!? な、何か思い付いたんですか?」 上手くすれば一石二鳥、いやこれは俺にとっても千載一遇のチャンスだ、じっくり慎重に行かないとな。 「ああ、最高のアイデアが思い浮かんだぜ」 「ま、また変態な発想じゃないですよね」 うぐっ、タナトスコスチュームの事まだ根に持ってるのか。まあ、確かにあれはセクハラと言われても仕方ないが。 「まあ、そう言うなって。方法は突飛かも知れないが、自体の解決には有効な策だ。怒らないと約束してくれるなら教えるぞ」 「怒るかどうかは置いておいて一応聞いておきます」 うわ、せっかく前置きしたのに無効にされた!まあ、話さないと話が進まないが。 「方法だけ言うと……。あやせ、俺の彼女になれ(キリッ」 つい台詞にキリッという擬音が発生するほど真面目に言ってしまったぜ。 「はぁあ?それ本気で言ってるんですか?だとしたら今まで聞いた口説き文句の中でも最低です」 ぐほぁっ、多分嫌われてるとは思っていたがここまでこっ酷く振られるとエロパロネタすら思い付かないほど凹むわ。 「だから怒るなって言ったのに……」 「そりゃ怒りますよ、私が本気でお兄さんを頼って相談したのが馬鹿みたいじゃないですか」 俺とした事が事を急ぎすぎたか。 「まあ、そう言うなって。順を追って説明すればこうするのが一番だと、お前だって分かってくれるはずだ」 「絶対分からないと思いますけど、通報の前に言い訳くらい聞いてあげます」 え?俺通報されちゃうの?女子中学生に告白すると通報されちゃうのか!? 「う、うむ、ごほんっ 前にも説明したかも知れないが。桐乃は何もエロいのが好きなエロエロ中学生なわけではない」 「あ、当たり前です!」 「だ、だろ?なら何であいつがエロゲをやってるかと言うと、あいつの本質は妹萌えなんだ。そこの所をしっかり理解して欲しい」 「はあ、そこまでは何とか理解出来ます。でも何故私がお兄さんの、その……彼女にならないといけなんですか?」 良くぞ聞いてくれた! 「そう、そこなんだよ。妹萌を理解するには妹を作るのが一番だ!だが、あやせには妹が居ない!そうなると、作るしかあるまい」 「つ、作るって何考えてるんですかこの変態!!死ねェェェェェエェェェェエ!!」 耳を劈く様な罵声が携帯電話越しに届き少々頭痛がする。電話じゃなかったら確実に蹴りを入れられてたな。 電話で相談に乗ってて助かったぜ。 「お、落ち着けってあやせと子作りすると娘になっちゃうだろうが。妹を作るというのはそういう意味じゃない。 お前には妹が居ないが俺には居るだろ?つまり桐乃を義妹にすればいい」 「え、あ、何だそういう事ですか。私てっきり……」 てっきり……? 「本性を剥き出しにしたお兄さんにレイプレイされてしまうのかと」 「ちょ、レイプレイは動詞じゃねえええええ!つかそういうのよく知ってたな」 「これは海外でエロゲ批判が出た時に名指し非難されたタイトルですから、内容を思い出しただけで怖気がしますが……」 確かにレイプレイはエロゲの中でも鬼畜な部類に属するのかも知れないが、あやせがエロゲを毛嫌いする理由はこれか。 「話を戻すぞ。桐乃が妹になるとなれば、あやせでも妹萌を理解出来ると考えたわけだ。しかし、そうするには俺と付き合う以外の方法は無い」 どうだ、我ながら完璧な理論だろうグハハハ。 「桐乃が妹……桐乃が私の妹に……うふ、ウフフフ」 うおっ、あやせの変なスイッチが入っちまったよ。 「て、義妹になるだけなら別にお兄さんと付き合う必要無いじゃないですか!私が頼めば姉妹ごっこくらいしてくれるはずです!」 ぐ、痛い所を突かれた。何とかして説得しなければ俺とあやせのラブラブ計画が水の泡だ。 「いや、それはどうかな。桐乃は、あれで結構恥ずかしがり屋な所や頑固な性格があるしアドリブに滅法よわいからな」 「流石、腐っても実の兄ですね。桐乃の性格では快くごっこ遊びに付き合っては貰えないかも知れません」 「だ、だろ?だけど、お前が毛嫌いしている俺と付き合うとすれば。お前の覚悟もちゃんと伝わると思うわけだ」 「う……うーん……」 30秒ほどあやせは逡巡した様だが。最後には納得してくれたみたいだ。 「わ、分かりました。桐乃の気持ちを理解する為なら仕方ないです。けど、彼女になると言っても振りだけですからね。もし指一本でも私に触れたらその時点で通報しますから」 うお、あやせさんマジ怖ええよ。 「あ、ああ。振りだけでも十分嬉し……じゃなかった十分お前の覚悟が桐乃に伝わると思うよ」 「か、勘違いしないでくださいよ!別にお兄さんの事が好きだから付き合うんじゃなんですからね! これは桐乃と私の仲を深める為なんですからね!」 ズキューンと言うSEがした気がした。あやせのツンデレまじやべぇ! ヤンデレだとかSMだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。 「よし、それじゃあ桐乃が仕事が休みで家に居る時に決行しよう。それから、お前が家に来る事は桐乃には黙って置くんだぞ」 「え、何でですか?」 「忘れたのか、これからは桐乃の友達としてでは無く俺の彼女として家に来るわけだから桐乃に断りを入れる必要は無い」 「うぐ、凄く嫌ですけど。恋人の振りをするならそうするのが適切かも知れません」 「だろ?それじゃそういう事で、桐乃のスケジュールはそっちで確認してくれ。じゃあまたな」 「あ、最後に一つだけ言わせてください」 何だ?何か念押しか? 「今日は相談に乗ってくれてありがとうございました。お兄さんの事を少しだけ見直しました」 「お、おう。いいって事よ。他ならぬあやせの頼みだからな」 こ、これって高感度UPって事か!?あと何回高感度上がればエロシーンに行けるんだろうなワッフルワッフル。 「はい、それじゃまた」 そうあやせが言って通話が切れた。携帯の通話時間を見ると30分以上も話していたらしい。 電話とはいえ、今までのあやせたんとの会話時間で最長じゃないか? これだけでも十分幸せだと言うのにあやせたんが俺の天使になってくれるとか、俺もう死んでもいい。 と言うのが先週有った話だ。 あやせが桐乃のスケジュールを調べてくれたお陰で部活も読モの仕事も無い日が分かったわけで。 それが今日だ。 都合よく桐乃はリビングのソファーでふんぞり返りながら雑誌を読んでいる。 と、その時ファミファミーファミファミマーと言うチャイムの音が鳴った。 桐乃がすぐに立ち上がろうとするが―― 「多分俺だ」 と言って俺が玄関に向かう。 玄関のドアを開けると、やはりあやせだった。 一度家に帰って着替えたのか、清楚そうな白いワンピースの上に薄い水色のカーディガンを羽織るという出で立ちだ。 制服のあやせたんも良いが私服のあやせたんマジ可愛い!前回は電話だったからあやせ様の御尊顔を拝する事が叶わなかったが。 このあやせの姿を目にしたら俺がラブリーマイエンジェルあやせたんと呼称してしまうのも分かって貰えると思うぜ。 「こんにちは、お待たせしました」 そう言ってはにかむ様な笑みを見せる。 「お、おう。取り敢えず上がれよ」 余りの可愛さに思わず声がうわずってしまった。 「はい、それではお邪魔しますね」 取り敢えず、予定通りリビングにあやせを通す事にする。 リビングのドアを開けると、桐乃が興味津々と言った態度で訪ねてくる。 「ちょっと誰がくんの?あたし聞いてないんだけどもしかして黒猫?」 「ははー、それはどうかな?お前も良く知ってる人物だと思うぜ」 そう言って俺はドヤ顔をした。 と、そこにあやせが入ってくる。 「どうせ黒猫なんでしょ……ってあやせ!?」 今まで俺を訝しげに睨んで喋っていた桐乃の目が丸くなる。 「え、どうしちゃったの?今日うち来るって言ってたっけ?」 ・・・ 「あ、桐乃ちゃんこんにちは」 「あやせがあたしの事ちゃん付けする何て珍しいね、どうしちゃったの?」 動揺を隠しきれていない顔で桐乃が訪ねた。 「あ、あー、説明するとだな――」 ・・・・ 「ちょっと待ってください京介さん、私から説明します」 そう言われたら黙るしか無い。 「桐乃……、今まで黙ってたけど実は私、京介さんと付き合う事にしたの。 だから桐乃は彼氏の妹さんになるから私の事はお姉ちゃんって呼んでね」 「あ……あ、あ……ぁ」 桐乃は口を酸素の薄くなった水槽の金魚の様にパク付かせて喋ろうとするが言葉にならない様だ。 「ど、どうしてこうなった!」 あんた説明しなさいよ!事と次第によってはタダじゃおかないわよという視線を俺にぶつけて来る。 ここまで動揺するとは俺も思わなかった。さっきなんか心臓が止まったんじゃないかって位青い顔してたぞ。 流石に可哀想になったのでネタばらしをしてやる。 と言うかマジであやせと付き合ってる等ど言ったら桐乃に視線だけで殺されそうだ。 「あ、ああ実はな……」 あやせが桐乃と最近中が悪くなったんじゃないかと心配になってる事。 それは自分が桐乃の趣味を否定し続けている事に原因があるのじゃないかと思っている事。 桐乃の気持ちに理解を示す為に妹萌を理解しようとこのごっこ遊びを始めた事などを順を追って説明する。 「なんだ、そう言う事だったんだ。あたしビックリしてそこの女子中学生見て鼻の下伸ばしてる馬鹿を殺そうかと思っちゃった」 殺そうと思ったのかよ!お前は撲殺天使ドクロちゃんかよ! 「でも、相談してくれればあたしだって協力したのに……」 「いや、普通に相談してもお前は乗り気にならなかったと思うぞ。だからあやせも覚悟を決め手こんな手の込んだことしたんだ」 桐乃は考え込む様に腕を組んで言った。 「うっ、確かにあやせをお姉ちゃんって呼ぶのは抵抗あるけど……」 「桐乃、お兄さん……じゃなかった京介さんは私達の寄りを戻そうと思って協力してくれたんだから怒らないであげて」 あやせからのフォローもあって、怯んだ桐乃は今回のドッキリを納得してくれた様だ。 「あやせに言われたら仕方ないしー。元はと言えばあたしにも原因もあるしね」 「と、言う訳で。俺の彼女のあやせと仲良くしてやってくれ」 「「あんたは黙ってなさい!!」」 うおっ、二人共息ぴったりじゃねーか。こりゃここまでしなくても今のままでも十分親友同士なんじゃね? 立ったままでは何なので居間のソファーに桐乃とあやせが並んで座りあやせの対面に俺が座った。 「それじゃ、桐乃ちゃん。私の事をお姉ちゃんって呼んでみよっか」 「え、もう始まってるの?」 驚いて逡巡したものの、桐乃は顔を赤らめながら呟いた。 「お……、あ、あやせ……お姉ちゃん……」 桐乃は顔を赤らめながらもじもじする様に体を捩り上目遣いで何とかお姉ちゃんという言葉を発した。 「は、はあああ、はぁはあ。桐乃ちゃん、もっと呼んで」 と、あやせは興奮気味に催促した。 「あ、あやせお姉ちゃん」 「いい……すっごく可愛いよ桐乃ちゃん、もう抱きしめちゃいたいくらい!」 そう言ってあやせは桐乃に抱きついてしまった。 俺は手持ち無沙汰にその二人のやり取りを眺めていたわけだが。これ百合の花が咲いちゃってないか。 妹キャラが可愛いという部分には気付いてくれたみたいだな、本来の目的から若干離れてる気もするが。 「あ、あやせお姉ちゃん、ちょっと苦しい……そんなに抱き着いたら苦しいよ」 あやせのしめつける攻撃に耐えかねたのか桐乃がギブを訴え始めた。 「あ、あやせさん。そろそろ桐乃を開放してやってくれないですかね。抱き枕じゃないんだからずっと抱き締めていたら嫌がるかも知れないぞ」 そう言われてあやせは桐乃をベアハッグから慌てて開放した。 「ご、ごめーん桐乃。桐乃があんまり可愛いかったから私つい……」 「はぁはぁ、息が出来なくなるかと思った」 俺を蹴り飛ばした時もそうだが、あやせは感情が昂ぶると暴走し出すんだな……。 でもあやせのベアハッグでなら俺死んでも良いな。 だが、抱き着かれた本人の桐乃はよっぽど苦しかったのか怯えてるぞ……。 「どうだあやせ、妹萌の気持ち少しは分かったか」 「ええ、確かに桐乃の魅力が倍増してましたね。お持ち帰りしても良いですか」 そうだろうそうだろう。素直に慕ってくる時の桐乃の可愛さは異常だからな。 まあ、実の兄に対してはそんな事滅多に無いけどな! 「どうぞどうぞと言いたい所だが、親父とお袋が寂しがるから止めといてくれ」 あいつが留学中なんか食卓が寂しくて寂しくてほとんど無言の食事だったしな。 「ちょっと、あたしの事を何であんたが決めようとしてんのよ」 「だってあやせがテイクアウトして良いかって聞くから」 「人の事物みたいに言うな!」 そう叫んだ桐乃は正拳突きを俺のみぞおちに決めやがった。 「ぐへぇ……い、痛ぇ」 本気で殴るなよな……これだからリアル妹は困るぜ。 「妹が可愛いのは事実かも知れないが、リアル妹は今みたいに可愛いだけじゃないってのも覚えて置いた方が良いぞ……。 だから、三次元に理想の妹像を求めたりするわけだ」 何とか迷走しつつも妹萌の実証と考察まで持ってこれたな。 「桐乃が妹なら多少暴力的でも全然平気ですよ。私の桐乃への愛は誰にも負けませんから!」 聞き様によっては告白とも取れる台詞をあやせは高らかに宣言した。 「へぇ、良かったじゃないか桐乃。ここまで献身的な親友がいて。お前ももうちょっとあやせを信頼して秘密を共有しても良いんじゃないか」 桐乃の妹物エロゲー布教活動からの俺の負担が少しでも減れば俺も楽になるしな。 「お兄さん、桐乃の秘密を知ってる様な口ぶりですけど、秘密って何ですか?」 あやせが興味津々と言うよりは親父の尋問の様な凄みのある視線で自白を促してきたぞ。ちょっと怖いですあやせさん。 「そうだな、桐乃の奴が一番喜ぶ事を教えてやろう。あいつの持ってるゲームでパンツ一枚だけのあられも無い姿で『はじめてだから優しくしてね』って言うシーンが一番萌えるらしい」 俺は(キリ)と語尾に付くような表情で教えてやった。 「このへんた……」 自分のそんなCGシーンでも想像したのかあやせの罵声とご褒美が飛んでくるかと思いきや途中でそれを遮るものが在った。 「2回死ねー!!!」 桐乃が立ち上がりざまに必殺技の様に叫びながら放った強烈な回し蹴りが俺の側頭部にクリーンヒットした。 かなり痛かったが、ここは突っ込まずにはいられない。 「それお前の決め台詞じゃねーだろ!?」 そんな訳であやせと桐乃の親睦を深める作戦は一応成功したらしい。 残念ながらミッションを成功に導いた俺に対するあやせの高感度は上がらないどころかまた俺が変態だという誤解を強めてしまっただけだったがな!
https://w.atwiki.jp/vip_oreimo/pages/42.html
掲載順SS一覧 ※投稿の第一レス番を基準にソートしています。 1スレ目 無題:1スレ目2 京介×黒猫 【桐乃嫉妬】(桐乃「え?嘘でしょ?」) 無題:1スレ目34 京介×黒猫 【黒猫とデート&看病】 無題:1スレ目62 京介×黒猫 【お兄さんの彼女、あやせ嫉妬】 無題:1スレ目89 京介×麻奈実 【田村家へクリスマスのお泊り】 (これに続く) 無題:1スレ目130 京介×黒猫 【俺の彼女はこんなに可愛い、瀬菜の反応】 無題:1スレ目141/小ネタ 俺×京介 無題:1スレ目160 京介×あやせ 【俺の彼女は妹の友人】(七夕デート→エロ展開) 無題:1スレ目196 京介×あやせ 【告白、両想い】 無題:1スレ目235/小ネタ 京介×あやせ 【告白】 無題:1スレ目241 京介×加奈子 【マネージャー】 無題:1スレ目257 京介×あやせ 【仲直り、泣きデレ】 無題:1スレ目306 京介×桐乃 【「いい兄さん」の日】 無題:1スレ目376 京介×黒猫 【コスプレ先輩】 無題:1スレ目422 京介×沙織 【アニメ上映会】(未完成) 2スレ目 無題:2スレ目5 京介×瀬菜 【プレゼント選び】(友達の妹) 無題:2スレ目46 京介×桐乃×黒猫×沙織 【これがハーレムルート】(ウィスキーボンボン) 無題:2スレ目75 京介×桐乃×あやせ 【カミングアウト】 無題:2スレ目157 京介×あやせ×麻奈実 【恋のライバル】(3人デート) 無題:2スレ目188 京介×あやせ 【マジで修羅場る5秒前】 無題:2スレ目224 京介×あやせ 【クリスマスイブの追跡】 無題:2スレ目278 京介×桐乃 【事故、眠ったままの兄貴】 無題:2スレ目309 京介×あやせ 【桐乃のお兄さんがこんなに優しいわけがない、取引】 無題:2スレ目410 京介×沙織 【自慢の彼女、偽装彼女】 無題:2スレ目449 京介×桐乃×黒猫 ※鬱展開注意 無題:2スレ目593 京介×麻奈実・桐乃・黒猫 【続・クリスマスのお泊り、尾行】 (これの続き) 無題:2スレ目628 京介×あやせ 【メリット、コスプレあやせ】 無題:2スレ目707 京介×桐乃 【ヤンデレ桐乃】 無題:2スレ目748 京介×麻奈実 【クリスマスはずっと一緒に、少し早めのクリスマス】 無題:2スレ目790 京介+桐乃+黒猫+沙織+麻奈実+あやせ 【バレンタイン】 無題:2スレ目825 京介+桐乃+黒猫+沙織+麻奈実+あやせ 【バレンタイン】(上の続き) 無題:2スレ目839 京介×加奈子 【ヨーグルト】 無題:2スレ目899 京介+桐乃+黒猫+沙織+麻奈実+あやせ 【闇鍋大会】(前編) (後編に続く) 無題:2スレ目954 桐乃+黒猫+沙織+麻奈実+あやせ 【京介の私物オークション】 3スレ目 無題:3スレ目35 京介×桐乃 【7巻if】 無題:3スレ目98 京介×桐乃×あやせ×沙織、京介×黒猫 【ドM】 無題:3スレ目119/小ネタ 京介×桐乃×黒猫×沙織 【死亡遊戯】 無題:3スレ目120 京介×黒猫 【縛りプレイ】 無題:3スレ目162 京介×桐乃 【小ネタ集】 無題:3スレ目197 京介×麻奈実←桐乃 【誕生日プレゼント選びは大変だ】 無題:3スレ目221 京介×麻奈実 【きょうちゃん、誕生日】 4スレ目 無題:4スレ目37 京介×桐乃 【7巻後】 無題:4スレ目86 京介×黒猫 【子猫の黒猫、7巻後】 無題:4スレ目101 京介×桐乃 【大学進学】 無題:4スレ目106 京介×桐乃 【泣きデレ】 無題:4スレ目129 京介×黒猫 【呪い】 無題:4スレ目138 京介×黒猫 ※残酷描写アリ注意 無題:4スレ目219 ( 前編 / 後編 ) 京介×桐乃×黒猫×あやせ 【あやせの恋愛相談】 無題:4スレ目244 京介×桐乃×黒猫×沙織 ※フェチ描写あり 無題:4スレ目299/小ネタ 京介×桐乃 【エレベータに閉じ込めてみた】 無題:4スレ目305 京介×桐乃×黒猫×沙織 【コレクション公開】 無題:4スレ目381 京介×桐乃 【嗅ぎ人】 無題:4スレ目418 京介×桐乃 【冷戦再び?】 無題:4スレ目435 ランちん 【いなくなったあの子】 ※鬱展開注意 無題:4スレ目456 京介×加奈子 【加奈子依存症】 無題:4スレ目492 京介×桐乃 【彼氏と文化祭】 無題:4スレ目575 京介×ブリジット 【嘘から出た真実】 無題:4スレ目617 京介×あやせ 【もしもあやせが幼馴染だったら】 無題:4スレ目649 京介×あやせ 【もしもあやせが幼馴染だったら】 ※エロ注意 無題:4スレ目681 京介×麻奈実 【もしも麻奈実が妹の友達だったら】 無題:4スレ目709 京介×桐乃 【闇の世界の住人】 ※鬱展開注意 無題:4スレ目838 京介×桐乃×黒猫×あやせ×麻奈実 【お前たちは俺の翼だ、またまた彼氏役】 無題:4スレ目943 京介+桐乃+麻奈実 【料理ならまかせてっ!、料理特訓】 無題:4スレ目959 京介×あやせ 【友情崩壊】 5スレ目 無題:5スレ目22 京介×加奈子 ※微エロ注意 無題:5スレ目95 京介×黒猫×あやせ 【あやせへの人生相談、修羅場】 無題:5スレ目158 京介×加奈子 【さよならマネージャー、カラオケボックス】 無題:5スレ目244/小ネタ 京介×あやせ ※エロ注意 無題:5スレ目252 京介×桐乃×黒猫×あやせ 【俺の彼女がこんなに天使なわけがない、もしあやせに桐乃のオタク趣味がばれていなかったら】 無題:5スレ目299 京介×桐乃 【もし桐乃がサカ豚だったら】 無題:5スレ目358 京介×黒猫 【クリスマス】 無題:5スレ目365 京介×沙織 【虫の知らせ】 無題:5スレ目389 京介×黒猫 【事前】 無題:5スレ目392 京介×桐乃×黒猫×沙織 【三択のサンタクロース、サンタコス】 無題:5スレ目503 あやせ 【京介と桐乃のプリクラ入手方法】 無題:5スレ目518 京介×桐乃 あやせ 【あやせが家宅侵入】 無題:5スレ目558 京介+桐乃+黒猫+沙織+麻奈実+あやせ 【闇鍋大会】(後編) 無題:5スレ目572 京介×加奈子 【マネージャー】 無題:5スレ目607 京介×桐乃×黒猫×沙織 【冬コミ1日目】 無題:5スレ目639 京介×桐乃 【おんぶに抱っこ、桐乃捻挫】 無題:5スレ目692 京介+佳乃+大介 【京介婿養子化計画】 ※佳乃・大介キャラ崩壊注意 無題:5スレ目704 京介+桐乃+加奈子 【年末の買い物編】 上の続き 無題:5スレ目788 京介+桐乃+麻奈実+黒猫+沙織+あやせ 【桐乃の告白】(前編) (後編はこちら) 無題:5スレ目803 京介×桐乃×黒猫 【実質的二股】 無題:5スレ目811 京介+桐乃+黒猫+沙織+あやせ 【桐乃の告白】(後編) (上の続き) 無題:5スレ目825 京介+桐乃+あやせ+沙織 【マジック魔法刀、誤解】 無題:5スレ目863 京介+桐乃 【両親が遭難?】 無題:5スレ目907 京介×あやせ 【桐乃への誕生日プレゼント】 無題:5スレ目917 京介×沙織 【沙織のお見合い】 ※オリキャラ注意 無題:5スレ目956 京介+浩平+加奈子 【初詣編】 (上の続き) 6スレ目 無題:6スレ目69 京介×あやせ 【あやせの引越し】 無題:6スレ目106 京介×黒猫×あやせ 【お前達が俺の天使だ】 無題:6スレ目179 京介×黒猫 【まどろみの時間】 無題:6スレ目208 京介×あやせ 【あやせ視点】 (無題:6スレ目69の後日談) 無題:6スレ目225 京介×フェイト 【酔っ払い】 無題:6スレ目266/小ネタ 桐乃 【SS投下】 無題:6スレ目304 京介×桐乃×黒猫 【コスプレ】 (これの後日談) 無題:6スレ目396 黒猫 【年賀状】 無題:6スレ目423 京介+桐乃+あやせ 【How to 妹ーーークの収録の練習】 無題:6スレ目448 京介×桐乃×あやせ 【お見舞い】 『失態』:6スレ目498 京介×黒猫 桐乃 【夢精】 ピクニック:6スレ目521 【京介+あやせ+桐乃+佳乃でピクニックへ】 無題:6スレ目624 京介+桐乃 【兄貴しっかりしなさい、平行世界の京介】 無題:6スレ目664 京介×黒猫 【黒猫のバイト、本屋】 無題:6スレ目695 京介×黒猫 【黒猫の高校選択理由、ニアミス】 俺の教え子がこんなにチョロイわけがない:6スレ目710/小ネタ 京介×あやせ 【変態講師】 無題:6スレ目772 京介+桐乃+あやせ+黒猫+麻奈実 【転校生】 ※オリキャラ注意 無題:6スレ目851 京介+ブリジット+桐乃 【ニコ生】 無題:6スレ目877 京介×桐乃 【7巻if】 ゲーセン:6スレ目946 京介+桐乃+黒猫+沙織+あやせ 【クレーンゲーム】 7スレ目 無題:7スレ目14 京介+桐乃+黒猫+あやせ+ブリジット 【超能力バトル】 決意:7スレ目28 京介+桐乃 【駆け落ち?】 無題:7スレ目95 京介+桐乃 【エイプリルフール】 無題:7スレ目124 京介×桐乃×あやせ 【あたしの兄がこんなにモテるわけがない】 無題:7スレ目157 無題:7スレ目167 京介×麻奈実 【イメチェン成功編】 青色イルミネーション:7スレ目180 京介×黒猫×あやせ×麻奈実 私は黒猫……:7スレ目263 京介×黒猫 (上の続き) 人類惑星移住計画:7スレ目391 京介×桐乃×黒猫×あやせ×沙織 【地上最後の楽園】 無題:7スレ目493 京介+桐乃+麻奈実 【大学受験合格発表】 麻奈実と松虫草:7スレ目516 京介×麻奈実 【アザレアの花言葉】 無題:7スレ目571 京介×ブリジット 【初デート記念】 無題:7スレ目606 京介×ブリジット 【妹が増えました】 解呪:7スレ目627 京介×黒猫 【コミュニティ崩壊】 ※鬱展開注意 無題:7スレ目663 京介×桐乃×あやせ 【バレンタイン】 勝利の女神:7スレ目688 京介×桐乃×黒猫×あやせ×麻奈実×沙織 【受験成功の秘訣】 受験日の朝:7スレ目704 京介×桐乃 【高坂兄妹流緊張解消法】 無題:7スレ目719 京介×加奈子×ブリジット 【3倍返し】 無題:7スレ目749 桐乃+麻奈実 【お菓子作りの先生】 無題:7スレ目794 京介+桐乃 【打ち切り漫画】 無題:7スレ目809 京介×あやせ 【崩れた手作りケーキ】 仕事見学:7スレ目841 京介×桐乃 【お兄ちゃんマネージャー】 5巻アナザー:7スレ目843 京介×桐乃 【近親恋愛√】 弟めいかぁ:7スレ目855 京介×あやせ 【アポトキシスコン4274】 きょうちゃんとお出かけ:7スレ目886 京介×メガネ 【メガネが本体】 無題:7スレ目904/小ネタ 京介×桐乃×あやせ×メガネ 【俺の幼馴染のメガネがこんなに可愛いわけがない】 無題:7スレ目920 京介×黒猫 【未来の義妹候補】 無題:7スレ目949 黒猫+あやせ 【親友たちの晩酌】 無題:7スレ目974 京介+桐乃+あやせ+麻奈実 【高坂家の節分】 8スレ目 無題:8スレ目9 京介×桐乃 【さよなら初恋】 無題:8スレ目41 京介+桐乃+黒猫+沙織 【ゼノギアス】 無題:8スレ目54 京介+黒猫 【私が選んだ道】 無題:8スレ目65 京介×あやせ 【行為と感情】 無題:8スレ目83 京介+桐乃 【ライダーベルト】 俺の妹のフィギュアがこんなに完成度が高いわけがない:8スレ目95 京介×桐乃 【精巧フィギュア】 私が兄貴にこんな表情をするわけがない:8スレ目101 京介×桐乃 【私の表情】 無題:8スレ目124/小ネタ 京介×あやせ 【アパガード】 無題:8スレ目148/小ネタ 黒猫三姉妹 【投影雛人形】 あやせの海岸物語:8スレ目158 京介×あやせ 【鎌倉ラブストーリー】 私の兄貴がストーカーをされるわけがない:8スレ目226 京介×桐乃×黒猫×千早 【ストーキング注意報】 ※オリキャラ注意 無題:8スレ目256 京介×? 【バーテンダー】 ※クロス物注意 俺たちのすれ違いがこんなにベタなわけがない:8スレ目269 京介×黒猫 【"約束の証"】 無題:8スレ目318 京介×ブリジット 【よい子のための性教育】 無題:8スレ目325 京介×ブリジット 【小さな暫定婚約者】 俺の妹の友達がこんなに狡猾なわけがない:8スレ目349 京介×沙織 【難攻不落な想い人】 無題:8スレ目365 京介×沙織 【キモオタ街道爆進中の兄貴の私生活を覗き見してみた】 無題:8スレ目376 京介×桐乃×黒猫×麻奈実 【バレンタインプレゼント】 無題:8スレ目429 京介×麻奈実 【田村家にお泊り】 無題:8スレ目447 京介×桐乃 【罰、上の桐乃サイド&後日談】 無題:8スレ目465/小ネタ 桐乃+あやせ+加奈子 【デンジャラス被写体少女】 無題:8スレ目467/小ネタ 京介+黒猫+麻奈実 【ゼーガペイン】 ※クロス物注意 俺の彼女がこんなに小悪魔なわけがない:8スレ目503 京介×加奈子 【恋人の距離】 無題:8スレ目513 京介×リア 【京介エンジン】 無題:8スレ目525/小ネタ 京介×麻奈実 【玉砕上等移奪宣言】 無題:8スレ目530/小ネタ 京介×桐乃 【節電のためなら仕方ない】 無題:8スレ目546 京介+桐乃+黒猫+沙織+加奈子+ブリジット+瀬菜 【リアル志々雄】 無題:8スレ目560 京介×あやせ 【かまってちゃん】 無題:8スレ目577 京介+桐乃+黒猫+あやせ+麻奈実+沙織+加奈子+ブリジット+瀬菜+浩平 【桜花爛漫の集い】 俺が幼女に恋した日:8スレ目587 京介×ブリジット 【実録・ロリコン男子ができるまで】 無題:8スレ目611 京介+大介 【"俺たち"の晩酌】 無題:8スレ目625/小ネタ 京介×桐乃 【ドサクサエンゲージ】 俺が妹と夫婦なわけが無い!:8スレ目643/小ネタ 京介×桐乃 【家族で義妹で俺の嫁】 俺が妹と夫婦なわけが無い!2:8スレ目654/小ネタ 京介×黒猫 【涙を流せる場所】 無題:8スレ目674/小ネタ 京介×桐乃 【今宵のオカズはチューペット】 無題:8スレ目699/小ネタ 京介+桐乃+大介 【高坂親子派出所】 無題:8スレ目702 京介×あやせ 【宵闇のダークマイエンジェル】 仁義なきウマウマ:8スレ目721 京介+黒猫+中猫+下猫 【五更シスターズユニット】 一日遅れのWhite Day:8スレ目744 京介×あやせ×麻奈実 【ショートタイムカプセル】 無題:8スレ目784 京介×フェイト 【ワナビのくせになまいきだ】 無題:8スレ目805 京介+沙織 【Mr.ブシドー見参】 無題:8スレ目816 京介×加奈子 【専属起爆剤】 無題:8スレ目842 部長×黒猫 【二人のクソゲー製作】 無題:8スレ目853 京介×桐乃×黒猫×あやせ×麻奈実×沙織×浩平 【みんなの特等席】 無題:8スレ目866 京介×加奈子×ブリジット 【マネージャー独占禁止令】 無題:8スレ目898 京介×あやせ 【ベストフェイスメーカー】 無題:8スレ目944 京介×ブリジット 【Don t POI!】 無題:8スレ目966 京介×ブリジット 【二人だけの秘密】 無題:8スレ目991 京介×桐乃 【中古車旅行計画】 9スレ目 桜が咲く頃に:9スレ目16 京介×あやせ 【初恋の継続期間】 無題:9スレ目51 京介×加奈子 【波乱万丈マネジャー生活】 真剣な兄貴がこんなにかっこいいわけがない!:9スレ目75 京介×桐乃 【空回りパンティズム】 お昼休みは恋人と:9スレ目89(前編 / 後編) 京介×黒猫 【ランチタイムラバーズ】 無題:9スレ目120 京介+桐乃 【桐乃からの電話】 無題:9スレ目138 京介+桐乃 【高坂家専属副料理長】 無題:9スレ目149 京介+桐乃 【パラレルワールド、これの別ルート】 無題:9スレ目167 京介+桐乃+黒猫+沙織 【槇島沙織のガンプラ講座】 高坂桐乃の消失:9スレ目208 京介+桐乃+黒猫+あやせ+麻奈実 【普通じゃない世界】 無題:9スレ目241 京介+桐乃+黒猫+あやせ+麻奈実+沙織 【超究俺芋魔法大戦】 無題:9スレ目267 京介+リア 【アメリカンワンダーズ】 無題:9スレ目290 京介+桐乃+黒猫+あやせ+麻奈実+沙織+加奈子+ブリジット+フェイト 【京介さんは、某海賊マンガに多大な影響を受けているようです。】 無題:9スレ目334/小ネタ 加奈子 【ダイワハウチュ】 無題:9スレ目417 京介×ブリジット 【偽装デート? いいえ、擬似デートです】 if・闇猫更生?編:9スレ目446 桐乃×黒猫 【PSPあやせ√その後】 無題:9スレ目449 無題:9スレ目474/小ネタ 京介+桐乃 【仮面ライダーシスドー】 無題:9スレ目403 京介×あやせ 【再現デート】 リトルプリンセス:9スレ目511 京介×ブリジット+あやせ 【ブリジットからの相談】 無題:9スレ目552 京介×日向 【ある雨の日】 やがて この体も 風に:9スレ目588 京介 会いたくなっちゃった:9スレ目608 京介×(麻奈実・黒猫・沙織・加奈子・あやせ・桐乃) 【深夜の電話】 チキンと地味子の急展開:9スレ目625 京介×麻奈実 【積極的な麻奈実】 無題:9スレ目673 京介×ブリジット 【謝るブリジット】 無題:9スレ目683 京介+桐乃+沙織+黒猫 【夢の記録】 無題:9スレ目744 京介+珠希 【おうじさまのおこしかた】 無題:9スレ目784 京介+あやせ 【もしもあやせが妹だったら その1】 無題:9スレ目840 京介+あやせ 【もしもあやせが妹だったら あやせの予約券】 無題:9スレ目853 京介+瀬菜 【横浜デート 瀬菜目線】※キャラ崩壊注意 春うらら:9スレ目887 京介×あやせ 【あやせと結婚?】 無題:9スレ目938 京介+あやせ 【もしもあやせが妹だったら その2/前編】 無題:9スレ目944 京介+あやせ 【もしもあやせが妹だったら その2/後編】 10スレ目 無題:10スレ目20 京介+珠希 【暇だなぁ~】 ※キャラ崩壊注意? 無題:10スレ目43 京介+ブリジット 【コスプレ大会出場】 バーテンダー桐乃編:10スレ目81 ※カプなし クロス物 キャラ崩壊注意 無題:10スレ目177 【エロゲが届かない】 無題:10スレ目257 【沙織の人生相談】 無題:10スレ目347 京介×あやせ 【告白】 優柔不断√:10スレ目368 京介×沙織 【手錠で繋がれて】 無題:10スレ目469 京介×黒猫×珠希 【ロリっ娘性欲処理班】 無題:10スレ目493 京介×加奈子 【さよなら現世、こんにちは二次元】 安価で妹に悪戯する:10スレ目554 京介×桐乃 【安価は絶対】 無題:10スレ目583 京介×あやせ 【プロポーズ】 無題:10スレ目609/小ネタ 京介+あやせ 【Rider Kick】 無題:10スレ目614 京介+あやせ 【井戸端アニソン歌唱会】 無題:10スレ目632 京介×黒猫+瀬菜+浩平 【肌の感触の上書き】 無題:10スレ目647 京介+部長+真壁 無題:10スレ目684/小ネタ 京介+桐乃+瀬菜+浩平 【疑似妹スタンプ】 無題:10スレ目738 京介+あやせ 【あやせのハイキック】 無題:10スレ目757 京介×あやせ 【あやせと手錠と人生相談】 無題:10スレ目753/小ネタ 桐乃 【病院が来い】 無題:10スレ目783 京介×あやせ 【デートの練習】 俺の女神がこんなにも美しいわけが無い:10スレ目811 京介×あやせ 【呼び出された京介】 無題:10スレ目837 京介×桐乃 【喪失と再起】 無題:10スレ目860 京介×リア 【元気速達ライナー】 無題:10スレ目898 京介×あやせ 【コスプレカップル】 無題:10スレ目926 京介×珠希 【恋の証明】 無題:10スレ目943 京介×珠希 【でこぼこ恋愛事情】 無題:10スレ目957 京介×日向 【耳そうじ】 無題:10スレ目990 京介×桐乃 【エキセントリックシスター】 ※エロ注意 11スレ目 無題:11スレ目37 京介×沙織 【無駄にエロい耳かき】 無題:11スレ目60 京介+桐乃+大介+佳乃 【自慢の息子】 無題:11スレ目97 京介×加奈子 【最高適任者】 無題:11スレ目119 沙織 【チカラの観測者】 無題:11スレ目133 京介×加奈子 【加奈子と添い寝】 ※微エロ注意、未完 無題:11スレ目150 京介×桐乃 【二人で夕食】 無題:11スレ目163 京介×きらら 【メイドが嫁】 無題:11スレ目174 桐乃+黒猫 【厨二布教】 無題:11スレ目185 京介×桐乃 【遠い記憶】 無題:11スレ目232/小ネタ 京介×あやせ 【PSPあやせ√後日談】 無題:11スレ目242 京介×桐乃 【助力の罰ゲーム】 無題:11スレ目278 京介+桐乃+黒猫+あやせ+沙織+加奈子+瀬菜+日向+珠希+浩平+御鏡 【星に願いを】 無題:11スレ目281 京介×桐乃 【誰かの願いがかなう頃】 福引:11スレ目286 京介×あやせ 【振り出し】 願い~序~:11スレ目302 京介+桐乃 【ブラッディプレリュード】 無題:11スレ目321 京介×あやせ 無題:11スレ目352 京介×桐乃 【前日譚、その後っぽいもの】 無題:11スレ目365 京介×桐乃 【京介×桐乃 Part1?】 ※リンクエラー。修正求む 無題:11スレ目436 京介×麻奈実 俺が妹と間接キッスなわけがない:11スレ目512 京介×桐乃 無題:11スレ目545 京介×黒猫 【もしも黒猫さんが性的に積極的だったら】 ※キャラ崩壊注意 ※エロ描写注意 無題:11スレ目575 京介×フェイト 【京介君は年上の女性って、どう思う?】 無題:11スレ目650 京介 【兄妹プリクラ流出】 ※カプなし? 真実のホーリーエンジェル:11スレ目679 京介+桐乃+あやせ 【「妹のウェディングドレス」あやせ視点】 とあるアキバの休日:11スレ目690 三浦(部長)×謎(?)の熊女+真壁+瀬名+黒猫 【秋葉原での邂逅】 3月31日のライオン:11スレ目706 京介+桐乃+黒猫+麻奈実+沙織 【記憶喪失の京介?】 無題:11スレ目717 京介×あやせ? 【あやせのクイズ?】 神無月:11スレ目727 京介×あやせ 【この二人に縁結びの神様はご無用】 献身のエンジェル・パラディン:11スレ目753 あやせ×ロック+京介+黒猫+麻奈実+桐乃 【まさかのロック編】 キャッチャー・イン・ザ・ポテト:11スレ目794 京介×桐乃+黒猫+沙織 【デート編】 ラブリーマイエンジェル:11スレ目818 京介+あやせ+真壁+赤城 【借り物競争】 Love Letter 桐乃+黒猫+沙織+京介 【ぼくの家族】 Trisection 京介×桐乃×麻奈実 【兄と妹と幼馴染み】 無題:11スレ目924 京介+ブリジット+あやせ+桐乃 【不純な健康ランド】 無題:11スレ目959 京介+桐乃 【夕焼けの河原にて】 12スレ目 赤ずきんちゃん(過去編):12スレ目17 京介+桐乃+麻奈実 【おとぎばなし】 俺の妹が酒乱でエロゲなわけがない:12スレ目35 京介+桐乃 【お酒は大人になってから】 私の気持ちが兄貴を好きなわけがない 改:12スレ目79 京介×桐乃 【現在(いま)のあたしへ そして、未来のあたしへ】 無題:12スレ目98 京介+あやせ 【あやせがもう一人の妹だったら】 ゆく年くる年:12スレ目134 京介+桐乃 【初詣は済みましたか?】 バレンタインデー:12スレ目244 京介+桐乃+あやせ 【あやせ、まさか?】 Rescue Cat(禁止カード) VS Gem-Knight L.L 京介×黒猫+日向+珠希【女は男を変えたがるもの】 I ve fallen in Love with Lovely my holy-fallen Angel 京介×あやせ 【A Nexus extra】 Cry for the Moon/Luna 京介×あやせ+沙也佳 【あやせの告白】 妹・戦国無双大戦 黒猫+京介+桐乃+沙織 【黒猫のルール】 天使の誘惑 京介+あやせ+??? 【二人の秘密】 名探偵あやせ:12スレ目698 京介×あやせ 【コスモス畑でつかまえて】 或る災難:12スレ目752 京介×桐乃+あやせ 【親友の兄貴が、こんなに格好いワケがない。】 ※ レイプ未遂注意 無題:12スレ目771 珠希+日向+黒猫 【黒猫姉妹】 或る妹の選択:12スレ目787 桐乃+御鏡 【7巻サイドストーリー】 或る二人の夜:12スレ目806 京介×桐乃 無題:12スレ目830 京介+桐乃+黒猫 あたしの友達がこんなに名シェフなわけがない:12スレ目834 桐乃+あやせ+加奈子 オペレーション・タナトス:12スレ目850 桐乃+あやせ+加奈子 加奈子の友達がキモオタのわけがない:12スレ目870 京介+桐乃+加奈子+彼方 この年まで知らなかったわ:12スレ目880 京介×黒猫+日向+珠希 【五巻サイドストーリー】(これはひどい) 無題:12スレ目895 京介×あやせ 或る彼氏の闘い:12スレ目899 京介+父猫+母猫+日向 【9巻サイドストーリー】 無題:12スレ目920 京介×桐乃 †あたしの姉がチキンってわけじゃない†:12スレ目929 京介+桐乃+黒猫+日向+珠希 俺の後輩の入浴シーンがそんなにエロくない・・ぞ?:12スレ目958 京介×黒猫+日向 13スレ目 無題:13スレ目9京介+桐乃【御鏡さんとの漫才は面白い】 無題:13スレ目42 京介+フェイト 無題:13スレ目62京介+桐乃 無題:13スレ目73 京介+桐乃 無題:13スレ目84 京介+加奈子 無題:13スレ目97 京介+日向 日向に眼鏡が届いたら:13スレ目125 京介+日向 ぺドと言われて泣いたから:13スレ目141 京介+珠希 小ネタ:13スレ目156京介+桐乃 無題:13スレ目165カプ不明 夢の中でみつけたもの。:13スレ目179京介+桐乃+あやせ+加奈子 京介日記:13スレ目201 京介+桐乃 無題:13スレ目212 京介+桐乃 14スレ目 ビバ・夏!! 14スレ目50 京介+桐乃+黒猫+沙織+加奈子 突撃・乙女ロード!after:14スレ目111 無題:14スレ目152 無題:14スレ目163の Air 京介×あやせ+その他【冬の雨】 変奏曲京介×あやせ 【夢のカケラ】 過ぎ去りし遠くの日々への前奏曲京介×麻奈実+桐乃+黒猫+あやせ【Boy Meets Girl Again 1】 僕のビアンカ京介×麻奈実×???+桐乃【Boy Meets Girl Again 2】 ※オリキャラ 雪月抄京介×麻奈実×???+桐乃【Boy Meets Girl Again 3】 ※オリキャラ ラナルータの恋人京介×麻奈実×???+桐乃【Boy Meets Girl Again 4】 ※オリキャラ